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上橋菜穂子 – 天と地の守り人

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上橋さん、守り人シリーズの最終章。ロタ王国編、カンバル王国編、新ヨゴ皇国編と3冊になっているけど、面白くて一気読みしてしまった。

ここまで6つの守り人シリーズ・旅人シリーズを経てのこの3冊はここまでが大いなる伏線だったかのように、以前のお話が絡んできて、この北の大陸にある三つの国の命運と新ヨゴ皇国の皇子チャグム、そしてバルサの運命を巻き込んでいく。ここにきて一気に壮大なドラマ感がでてきた。いままで大きな世界の一部の物語っていう感じだったけれど、ついに大きな世界から見える視点に、というか、頭のどこかにこの守り人シリーズの世界が宿って、グインの世界のように、きっといまこの世のどこかにある別の場所、というような感覚になった。

南の大陸の強国タルシュの囚われの身になった皇子チャグムは隙を見て海へ飛び込んで脱走し、行方知れずとなっていたが、無事ロタ王国へとたどり着いていた。しかしそこから苦難の道が。タルシュの侵攻は着実に進んでおり、もはや北の大陸にある一国ずつでは抗うことができないと感じたチャグムはまずロタ王にと足を進めるが、この国の内紛問題に阻まれ、おまけに刺客を差し向けられる。そして済んでのところでバルサに助けられた彼は王の弟と謁見し、やがてサンガル王国へ。

一方、現実世界と並行して存在しお互い影響しあう異界ナユグに春が訪れているいま、こちらの世界は温暖になりいつもより暖かな冬。そして急な雪解けが進んでいた。それはサンガルの別世界山の王の世界でも同じであり、異変を訴えるものが次々とでていた。南からのタルシュの侵攻と、北からの天変地異にはさまれた形になった新ヨゴ皇国。チャグムはこの危機をどう乗り越えるのか。父との確執は。

本当に手に汗を握る展開というか、いままで読んできた各国の物語がこの話でひとつにまとまるあたりが素晴らしい。見事としかいいようがない。いまから読んでみると、ああ、あそこにこんなエピソードがあったなあなど灌漑深い。最初の「精霊の守り人」で幼いチャグムと旅をした日々がもうずいぶん前のことのように実感してしまってる。物語を通して長い年月を過ごしたな(実際10年ぐらいか)と。

バルサの人となりはなんとなく最初からイメージが決まっているけれど、チャグムに関しては全然変わった。最初はかわいい子供のイメージだったけれど、いまは線の強い若い男って感じ。どのキャラが好きかと聞かれるとバルサかもだけど、一番成長していいなーと思うのはチャグム。タンダがもっと成長したりするかとおもったけどしなかったなあ^^;

最初は同じファンタジーもののグインシリーズと比べてしまったりしてたけれど、このシリーズはこのシリーズで良さがよくわかってきた。アジアぽいところ、魔法がでてこなくて(呪術はでてくるけど、おどろおどろしくない)、異世界がわりと現実的に存在するところ。タルシュと新ヨゴ皇国の緒戦の描写は見事で映画を見ているかのようだったし、ただの素敵なファンタジーというだけでなくて、すごくリアルな感じがあるのがとてもよかった。まさに大人も読めるファンタジー。

このシリーズ3冊はあとがきのかわりに、上橋さん、荻原規子さん、佐藤多佳子さんの対談が掲載されているのだけれど、お互いファンタジー作家としての経緯とか影響をうけたものとか、自己分析とか他人の分析とかやっていて面白い。ファンタジーを書いている人たちってもっと不思議ちゃんというか現実離れしてる感じがするかと(比較ばっかりして申し訳ないけど栗本さんはそうだよねえ)思ってたけど、この方たちは全然そんな感じがしない。まだ日本にファンタジーがなかったときから外国ファンタジーを読んでというあたりで、この守り人シリーズもなるほどねーとか思う。「指輪物語」「ナルニア王国物語」あたりだそうだけど、ほんとなるほどなー。まあ両方読んだことないけど(指輪物語は3冊目で断念した)。この対談読んでるとそれもまた読みたくなってくる。荻原さん佐藤さんの本も読みたいな。

このシリーズ、アニメ化もドラマ化もしたけれど、普通本で読んでるものはこのイメージ壊したくなくて映像になったものはよっぽどじゃないと見ないようにしているけど、まあこのアニメもドラマも少し機会あってみたりしたけれど、本で出来上がったイメージがこれらに壊されることはなかった。ぼくの中にはちゃんとバルサやチャグムやタンダ、トロガイ師が生きている。読み始めた時はこんな熱量感じなかったけど、いまではすっかり虜。この先にあるあと二冊ほども読みたいし、上橋さんの他の作品もはやく手に取りたい。

なんせ大きなお話を語ってもらった気分。とても面白かった。ありがとう上橋さん。

新潮文庫 2011

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上橋菜穂子 – 蒼路の旅人

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上橋さんの守り人シリーズの7冊目。チャグムの物語、いよいよ物語は大きく進む。

密偵達の密かな報告から、海の向こうの隣国サンガル王国がいよいよ南の大陸の大国タルシュに征服されんとしているらしい。そしてほどなくサンガル王からの親書が届けられ、援軍を送って欲しいと頼まれた新ヨゴ皇国。それは必死の叫びのようにもみえるが、罠かもしれない。

一方その新ヨゴ皇国内部では第一皇子であるチャグムと第二皇子トゥグムとの間で帝の世継ぎの争いが生じていた。それは当の本人たちではなく、どこにでもある国のトップ達の間の派閥争い。そんな中でのサンガル王からの手紙にたいする帝に意見をしたチャグムは、帝の怒りを買い、サンガルへの遠征軍に入れられてしまう。それは同時に彼を支える派閥(海軍が主だったが)の一掃も計るものだった。援軍ならばよいが罠であれば負け戦はできず、かといって、海の王国であるサンガルに海戦で勝つのは難題。

やがて心配は現実となり、王からの手紙は罠であることが判明し、チャグムとその祖父であり後ろ盾であり海軍大提督であるトーサは苦渋の決断の末、自分たちを人質に残りの艦隊を帰国させたのだった。囚われの実となった彼らの命運は。

これまでの物語では北の大陸の国々の話ばかりであったが、ここにきて最初から地図には描いてあったけどほぼ話にでてこなかった南の大陸のことが描かれ、一気に世界の広がりを感じられるようになった。アジアぽいイメージの北の国々とちがって、ある意味エキゾチックな感じで描かれる南の国々があらわれることによって、世界が多様になったというか、複雑な模様になったというか。

自らが井の中の蛙ということがわかったチャグムがどういう心理になったのか。それにより彼はどう行動していくのか。チャグムの今後を大きく左右する出来事がこのお話でたくさんでてきて、そして最終章への布石となっていく。世界はどう変化していくのか、しないのか。この先がすごく気になってこの巻を読んですぐに、最終シリーズに入るつもり。息つかせない展開。

新潮文庫 2010

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上橋菜穂子 – 神の守り人

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上橋さんの守り人シリーズ、5、6卷。二冊で上下巻になってる。

女用心棒バルサはひょんなことから人買いから幼い兄妹を助け出す。彼らはロタ王国では虐げられている民だった。一方そのロタ王国では最近奇怪な事件が起きていた。牢獄である人物が磷付になったのと時をおなじくしてその牢獄が全滅していたのだ。しかもそれはまるで人間の手で起こしたことのようには見えない有様だった。

現実の世界とそれに並行して存在する異界ナユグ。この二つは微妙に関連しながら存在しているが、ナユグ側に春が訪れ始めてその影響が現実世界にも及んできている。そんな中バルサが助けた兄妹の妹アスラは異界の恐ろしい神を宿す者になっていたのだ。現実世界の子供達として庇護しようとするバルサと彼らを追うロタ王国の猟犬(カシャル)と呼ばれる者たち、そして王国を影から密かに支えてきた兄妹の民族たち。王国の未来をも左右しかねない彼らの力をあらゆるものが狙ってくる。この窮地をどうするのか。一方薄々としかこの一大事を感じていない当の本人アスラは自分が神を宿すことの意味をわかっていない。

ようやくこの物語ぐらいになってきて、この守り人シリーズが描く物語の世界の広さとか、国々や人々の違いなんかがわかってきて、”読んでいる物語”という感覚から、グインのように”世界のどこかにある世界”という感じになってきた。そうすると俄然物語が面白く感じるようになる。国や時代というおおきな流れと人という小さなものの対比というか、大きな流れに抗おうとする人間の姿というか。頑張れバルサ!とか思ってしまう。

そして物語は進むに従って三すくみのような様相を呈してくる。現実的な解決策がいいのか、個より全体を重んじた方がいいのか、それともやはり個が大事なのか。アスラはその兄は、そしてバルサはどうするのか。

面白くって上下卷一気読みしてしまった。はやくも続きが読みたくなってきて困ってるw

新潮文庫 2009

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田中啓文 – 道頓堀の大ダコ(鍋奉行犯科帳)

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鍋奉行シリーズの二冊目。今回もほんとなにも働かず(?)食ってばっかりいる大坂西町奉行である久右衛門が、その食道楽ゆえの能力を発揮して謎に満ちた事件を解決する。

「風邪うどん」「地獄で豆腐」「蛸芝居」「長崎の敵を大坂で討つ」の4短編。どれも楽しいけど、やっぱり反応してしまうのはうどんなのよねえ。田中さんなので時そば(うどん)のモジりか何かでくるかと思ったけど、そうではなかったw。この事件を解決するために町中のうどん屋にいっぱいずつうどんを提供される下りあたりがおもしろい。たしかに麺って時間によって印象がだいぶかわってしまうのでネタにするには難しいけど、お出汁なら冷えてもわかるかもね。お出汁の取り方も詳しく書いてあって楽しい。個人的にはやっぱり四国のうどんの方が好きだけど、大坂のうどんも好きで、やっぱり大坂はお出汁の食べ物って感じ(四国のは麺の食べ物って感じ)。

豆腐も蛸もお菓子も(西洋のや日本のも)、でてくる食べ物も描写がというより、ほんと美味しそうに(ときには不味そうに)登場人物たちが食べるものだから読んでるほうは字面よりも絵として食べ物ができきて、おもわずよだれが口に溜まってしまったりw。

そして前作でもおもったけれど、この江戸時代の大坂の風俗や町をほんと見事に描写していて、現在の場所として知っているところが昔はどうだったとか、かわってないなーとか想像しながら読めるのも楽しく素晴らしいと思う。昔の町のことなんてこうやって文章で想像させてもらうしかないわけで、夜の町の暗さや、道頓堀の賑やかさなどなど、解説で我孫子さんが少し言及しているように田中さんはすごく深く考証をしているんだろうなーとおもう。なので、へんに引っかからずに数百年まえの大坂に楽々とトリップさせてもらえる。そう、読んでいても時代小説って感じじゃなくて、現在と地続きの昔話を今の話のように話してもらってる感じ。続きも楽しみ。たまには奉行さんが大失敗したりしないんかなw

集英社文庫 2013

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田中啓文 – UMAハンター馬子 完全版

 

UMA – 未確認生物、それらを追っている訳でもないのだが、いく先々(あることを探し求めている)でUMAらしきものやそうでないものに出会う、ただひとり”おんびき祭文”の伝承者を名乗る、蘇我屋馬子とその弟子イルカ。彼女たちのいく先々で出会うものは、ネッシー、ツチノコ、雪男、クラーケンなどなど、UMAとしてその正体も存在も謎だとされる生き物たち(なかには魔界のモノも混じってくるけど)。それらをなぜかやたらと湧き出す知識によって暴いていく馬子。そしてそこにつきまとう謎の男。彼らはなにを探し求めているのか。そしてそれはどういう結果を招くのか?

怪獣やら異形のものやら呪いやらジャズやらなんやら、サックスを吹いていてもまるで叫びか呪術かのような音を追い求めている、そんな田中さんはきっとオドロオドロしいものに興味を惹かれるんだと思う。そして同時に未知なるモノへのロマン。ネットやらなんやらで地上のことはいろいろ明るみにされていってるけれど、いやいや実は我々が見知ってることなんて宇宙のほんのちょっと。でも、そういうことさえ忘れ去られて、なんでも指先一つで調べられてしまうと思い込まされているこのご時世に、ああ、こんな世界がたしかにあった、いや、あるんだ、ということを再認識させてくれるのがこの馬子たちなのかも(大げさ?)

各エビソードはさておき、煮しめたような、皆が想像する最大公倍数的な典型的な大阪のおばはん、馬子のキャラが強烈で、それを読んでるだけでおもしろい。でもこれ面白いって思えるの関西や大阪の人間だけなのかなあ。こなもんやの馬子はもうちょいおとなしいというか、小学校の近くにあった駄菓子屋のおばちゃんぽい感じやったけど、ここでの馬子はもう怪獣のよう。実は小学校のときにお世話になった先生に被るのよねえw

各UMAに対する憧れも、それを現実的にみた正体らしきものも、いろんな夢やロマンを馬子の口を借りて田中さんが語っていくのが楽しい。そして最後にアレがでてきて、ウルトラQだかなんだかのような展開になるのがもう笑うしかなくてー。やっぱり大阪城や高いビルは破壊されなきゃならないですよねえ。完全に最後の方は脳内映像再生になってました。

各章の間に挟まれる解説というか私見もおもしろく読ませてくれるし、このUMA愛に溢れた作品とてもいいです。この完全版ができるまでに紆余曲折しまくったようだけど、よくぞ最後までいってくれたって感じ。なんかうれしい。馬子はそして幸せになれるのかな、石切あたりで商売やってたりするんかなあ、なんて思いながら街をいきかうおばはんを眺める日々なのでした。

ハヤカワ文庫 2005

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秋本尚美 – グーグーだって猫である(映画版コミック)

同名原作で映画化された作品のコミカライズ版。なのでもともとの大島さんの漫画とは全然違うお話。

前猫サバの悲しいエビソードから、グーグーがやってきて、そして大島さんに身体をともなう大きな人生の転機がきたり。恋が芽生えそうになったり(これはフィクション?)、新しい漫画の話があったりするのは実話だろうけど、大島さんの作品にはでてこなかった。でも、映画としたらこういう話の流れとてもいいなあとおもう。映画はきっと見ないけど。

最後の方に弱っていく主人公に前猫サバが会いに来る、そしてお話するシーンがあるんだけれど、これがたまらない。もし飼ってた猫としゃべれたら、と思うと。彼からはどう見えてたんだろう?嫌じゃなかった?幸せだった?なんてこと聞きたい。なにをもっとして欲しかったのかな、とか。

大島さんの漫画だとグーグーの模様がちっともわからなかったけど、この秋本さんの作品が近いとするなら、かなり変わった模様の子よね。もしうちにこの猫来たらへんな名前つけただろうなあ、ウズシオのシオちゃんとかw

なんなんだろうな、猫って。不思議な家族。

角川書店 2008

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有川浩 – 旅猫リポート

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有川さん×猫、こんな本あったなんて。読まずにはいられない。

以前飼っていた猫をやむない理由で手放したことがある主人公サトル。あるとき彼の車のボンネットでくつろぐ猫と出会う。ひょんなことから彼に飼われることになったその猫はナナ。しっぽが鉤型に曲がって7みたいだから。サトルとナナはすごく仲良く暮らしていたが、5年後、またサトルはナナを手放さなければならなくなる。そこでサトルはナナとの出会いの車・銀色のワゴンに乗って知人の家を回り、ナナをもらってくれないかと旅をするのだった。

ああ、これだけ書いただけでも泣けてくる。犬は飼ったことないからわからないけれど、飼っている猫をだれかにもらってもらわなきゃならないなんて、なんて寂しい状況か。あの、勝手気儘に暮らしているように見える猫も、一緒にいるとお互いの気持ちがよくわかる。そして時間が重なるにつれ明に暗に深く繋がっていく感じがする。お互い何かを共有して分け合ってるような。そういう猫のいる空間といない空間は全然ちがう雰囲気がしてしまう。

もちろん主人公はサトルなので、サトル周りで話は進むのだけれど、たまにナナの一人称で描かれるシーンがある。猫の目線で。この猫目線がよくできてるというか、有川さん猫なんじゃない?と思うぐらい猫の気持ち、生態なんかがよく描かれてる、うれしくなるぐらい。猫の好きなこと・嫌いなこと、子猫はまだバカであまり人語を解さないこと(というのと同時に猫は人語を解するということ、でもそれを人間はわかってないということw)、犬とも会話できること(もちろん犬もしゃべること)、外国の猫とはあまり通じないこと(人間も同じね)などなど。柴田よしきさんの猫のシリーズもよく生態見てるなーと思ったけれど、有川さんはより人間にちかく感じているような。

猫と旅をする。憧れることの一つ。残念ながら今まで飼った猫はみんな外が怖い子だったので、連れ出そうものならえらいことになったけれど、いつかそういことしてみたい。運転する車の中で猫が自由にうごきまわって、窓の外眺めたり、椅子で寝てたり。たまにリードをつけてどこか散歩したり。きっと旅好きな猫もいると思う。出会うかどうかはわかんないけど。いつかそんなことができたら、、、、楽しいだろうなあ。どこ連れてってやろうかな。デザイナーの平松さんが飼ってるノロが羨ましかったもんな(平松夫妻とノロは旅好き、ヨーロッパにも行った)。

かまはいなくなってしまったけれど、最近はPがやたらと甘えてくるので嬉しい。慰めてくれてるのか、単に寂しいのか、それとも単に暖かい腹がすきなのかw。でもくっついて来てくるということは、ぼくはまだ不吉な匂いがしないということだろうな、と猫に乗られながら安心する。猫は不吉なものには近寄らないから。ナナはそれがわかってもサトルと居ようとするのがたまらない気持ちにさせる。ぼくが猫と別れるときもいずれくるだろうけど。

きっとまだ近所に住んでいるであろう有川さんにもし会う機会ができたら、どの作品も素晴らしくて好きです、ってことを伝えるとともに、よくぞこの作品を
書いてくれたという感謝を伝えたいな。ありがとう、有川さん。

講談社文庫 2017

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宮部みゆき – 東京下町殺人暮色

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宮部さんのミステリーもの。東京の海辺に近い下町。昔は本当に下町だったけれど最近はウォーターフロントだ再開発だなんだで他所から流入してくる人も少なくない。そんな街にくらす中学生の順。彼の父は刑事でなかなか家には帰ってこない。そんなせいで母親は出て行ったままだ。

そんな下町であるときから町内で殺人が起こっているという噂が流れる。ほどなく川や公園でバラバラ死体が。そして警察には声明文が。そんななか順の家にも声明文が。なぜか。警察の捜査にも関らず犯人は一向に尻尾を掴ませない。順たちは町内で噂の家を訪ねてみることに。そこは画壇では非常に有名なある人物の別宅だった。

猟奇的なのか、それを装っているのか、愉快犯なのかそれを装っているのか、まったく犯人像がつかめないまま物語はすすみ、怪しそうな人物がでてきては消え、複雑な人間関係を見せてきたあたりで、からくりの逆転が始まるような感じ、素直におもしろいミステリーだなと思った。スピード感もあっていいし。時代を超えた因果が絡んでるあたりもうまい設定で描いてるなーと思ったり。

オドロオドロしそうだったけれど、なんだか読後感は爽やかな感じのする作品だった。

光文社文庫 1994

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誉田哲也 – インビジブルレイン

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背が高く優秀だが周りにあまり好かれてない姫川玲子警部。彼女の直感を大事にする捜査は時に絶大な効果を発揮するが、組織としては邪魔になる場合もある。彼女の班があるチンピラの惨殺事件に関わるが、調べていくに従って、昔あった事件が見え隠れする。その事件では警察の失態があったのだが、実はその陰にもっと大きな失態があったのではないか?そう気付き始めたとき、常総部からその件に触れるなとの指示が。

捜査が進むにつれ、その昔の事件との因果関係が見え隠れするなか、上層部や組織との軋轢に板挟みになる姫川と彼女の所属する班。事件はどう解決されていくのか?

心に大きなトラウマを持ちつつ刑事の仕事をつづける玲子がかっこいい。これは以前読んだ「ストロベリーナイト」からつづく作品だが、今回はもっと玲子が女性的な面を見せる。結構な厚みのある作品だけれど、テンポもよくてすぐ読み終えてしまった。

実際どうなんでしょうね、こういう組織って。たしかに大きくなった組織は自己保身を目的にした選択をしたがったりもする。警察や検察ってなかなか非を認めないってイメージあるもんな。大きな組織の前に市井の人間などどうでもいい、と、組織が組織であるために考えがち(それが個人ではなく組織としてそう結論づけてしまう)なのかもだけれど、その組織もやはり個人のあつまりなのだ。良心をもっと信じたいし、信じれるような世になってほしい。

光文社文庫 2012

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宵野ゆめ – ヤーンの虜(グイン・サーガ140)

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グイン・サーガ140巻。138巻ぐらいから一気読みしてしまった。いくつか読みたい本がある場合は、なるべくいろんな作家さん(シリーズとか)を順番にするようにしてるんだけど、このグインのシリーズだけは続けて読みたくなってしまう。まあ読むペースが速いってのもあるのだけれど。

ロンザニアで起こった不穏な空気はそのままアンテーヌへ。謎の使者はここでも陰謀の種をふりまくのか。そして無事シリウスを助け出したグインは彼をどうするのか?一方失踪をつづけるシルヴィアは、、、ケイロニアの災難は続きつづける。そしてあの闇の司祭がグインの前に。。。グインが縦横無尽に活躍日が来ると思うとまた読んでいてワクワクしてしまう。もっとたくさん出して欲しいなあ。

ハヤカワ文庫 2016

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