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ファースト・マン

firstman

先日夜に時間があったので、また映画を観に行ってきた。今月頭に公開されたばかりの「ファースト・マン」。その名の通り月面に初めて足跡を刻んだアポロ11号のアームストロング船長の話。ずいぶん昔に同じテーマを扱ったたしか「アポロ11」という映画があって、それの焼き直しみたいなのかなと思っていたが、いやいや全然違ってアームストロング船長と彼の家族、そして彼と同じく月を目指すパイロットとその家族たちの人間ドラマだった。

もちろん訓練のシーンや、ロケットのシーンなど、迫力に充ちてCGなのか実物なのか見分けのつかないぐらいの映像もすごくよかった(昔の映像を元に作り直してるのかな)けれど、それ以上にパイロットやその家族の間の描かれ方がとてもよかった。単に困難なミッションを苦難を乗り越えて成功させたぜ、イエイ!的な映画ではなく、改めて考えてみると、そもそも人間が生きていけないような宇宙や月面というところに行く、しかも今から50年前の技術でというのはものすごいチャレンジなことだし、生きて還って来れる保証など何もない。そんなことに挑戦する人々(計画する方はいいけど、現場はたまったものではない)がいて、それを見守る家族がいて。

アームストロング船長を初めアポロ計画のパイロットたちって、未だに人類史上もっとも人間の生息地域から遠いところまで行った人たちなのよね。たった3人とかでお互いを信頼して、苦難を共にして。想像を絶する事柄。そういうことを観ているわれわれに追体験させるというか、たんにかっこいい物語じゃなくて現実的な無茶な話として理解させようとこの映画はしてたのかも。

あと、こういう映画でありがちな派手な演出はほぼなく、ドキュメンタリータッチであったのもよかったし、音楽がよかった。60年代の素敵な音楽に溢れていた。そして何より印象的だったのはアームストロング船長たちが月面に着陸して、ハッチが開いた瞬間に無音になったこと。そう、月なんてほとんど大気がないから音がない。そのシーンを観て、ああ、たしかにそうだな、と。感動的な音楽を挿入するよりよっぽど現実味があってとてもよかった。

この映画もっと長くていいから細かなところ描いてもよかったかも。パイロットたちもだけど、彼を見守る妻や子供達の心情ももっと描いてほしかったかな。戦場じゃないにしてもそれよりも過酷なところへ夫を行かせるパートナーたちの気持ちはどんなだったか。そして帰ってきたときにどんなだったか。いろいろ考え感じさせる映画だった。よかった。

メリー・ポピンズ・リターンズ

marypoppinsreturns

体調は悪かったけれど、夜になるとましになったのでちょっと用事を済ますついでに気になってた映画をみてきた。「メリー・ポピンズ・リターンズ」。実は最初のメリー・ポピンズ自体みてないので、大丈夫かなーとおもったけれど、全然大丈夫だった。さすがディズニー映画とおもえる安定感というか、誰が見ても楽しめる映画になってたと思う。

話は焼き直しじゃなくて、オリジナルの20年後の世界を描いたもの。オリジナルで子供だったジェーンとマイケルは大人になっていて、マイケルには子供もいる。マイケルには3人の子供もいて幸せに暮らしていたが、妻をなくし、挙句に大恐慌の煽りをうけて風向きがかわり、家族から笑顔が消えて行く。。。。

ストーリーよりも、やはり映画全体を包む音楽や歌、映像の面白さが際立ってたかな。もちろん特殊効果つかってるけど、これ見よがしにじゃなくて、逆に昔の映画風のドジ臭いアナログ感があってよかった。音楽もほんと素敵で、やっぱ生楽器で奏でられるものはいいな。うるさくないし(これは音量の話じゃない)。アニメとの混じり方も素敵だったし、アニメ自体もたぶんかなり意識して昔のディズニーアニメのトーンというか、いわゆる”感じ”がうまく出てたと思う。24コマで少しだけ荒い感じがしたけど、どうだったんだろう。

もちろんロンドンの街の再現には大掛かりなセットも使ってるけどCGも使ってると思う。けど、全体の色彩感に違和感なくて、ほぼ実写のように見えるのはなぜ何だろう。最近のCG多用の映画ってもう実写に見えない(あたりまえだけど、あんまり実写感がでないように逆にしてるような気がする)。この映画では、往年の実写でフィルム上映の、アナログ的というかあったかい感じがするのがとてもよかった。

こういうディズニー映画みたあと映画館でて現実に戻ったとき、なんかディズニーランドから出た時と同じような感じがする。映画やテーマパークという違うものであっても、同じ世界観で形作られているってことかな。か、音楽の音色が似てるからかな。なんか健康的でハッピーで、甘いお菓子のような感じの音色。

オリジナルのほうみてみたいな。

ボヘミアン・ラプソディ

bohemianrhapsody

公開からすごい話題になっていて気になっていた映画をやっと見てきた。クイーンはまあまあ世代だけど特に追いかけたり、聞いてきたわけじゃないけれど、MTVでPVなんかは流れていたし、知っている曲もあるし。また友人が「完全に猫映画」といってた謎の言葉も気になって。

とにかく観に行ってよかった。クイーンそのものの成功ストーリーももちろんだけど、フレティー・マーキュリーの数々のエピソードが面白かったし、彼の性的なことや、家族との軋轢、そして奥さんとの関係などいろいろ描かれていて見応えがあった。奥さんとの関係がやがて男女を超えて、苦楽を共にした人間愛の関係になるのがよかったな。そして何よりはメンバー役の役者さんたちのなりきりようが素晴らしかった。もうメンバーにしか見えないもん。もしクイーン知らない人がみたら、彼らが真のメンバーだとおもってしまうかも。素晴らしかったな。

そして全編を飾る音楽が本当に素敵だった。曲は知っててもどういう歌かは知らないものがほとんどだったけど、そこに含まれるメッセージに心打たれることが何度も。もっと聞いておけばよかったかなーとも。いいな、クイーン。改めていろいろ聞いてみたい。映画のラストを飾る伝説のイベント「ライブ・エイド」のシーンがほんとすごかった。完コピやもんなあ。実際に演奏もしてるだろうし。ほんと外国の音楽をテーマにした映画の役者さんのなりきりようというか音楽への取り組み様はすごい。

やっぱり言葉には敵わないのかな。自分が演奏してあそこまで強烈なメッセージを伝えらえるとは到底思えない。音楽の種類が違うといってしまえばそこまでだけれど、あのすごいパワー、メッセージ性には憧れる。そしてフレディーが繰り返し言う「自分はパフォーマーだ」という言葉も。クイーンになりたいわけじゃないけど、なんとか少しでも近づきたいものだ。同じくステージに立つ人間としては。

バジュランギおじさんと、小さな迷子

bajrang

街へ出ていて時間もあったので何か映画でも観たいなと思って探していて、時間もちょうどよかったし、なんかポスターが可愛かったので観に行った。公開から間もなかったので珍しく混んでいた(きっと空いているだろうと勝手に思っていた)けど、入る時も「インド映画なんだー」ということしか思わずだったけど、いや、これはほんと観てよかった映画だった。

第二次世界大戦後インドとパキスタンに別れて独立してしまった二国。もとは同じ国民であったが宗教の違いもあって対立がつづいている。そんなパキスタンの山岳の寒村の女の子がある事柄から口がきけなくなり、インド側にある寺院へお祈りに行くということになったことから話が始まる。無事お参りも終わるのだが、まだ幼い女の子はふとしたことから取り残されてしまうことになる。パスポートももたず知らない街に取り残された女の子、口も聞けず佇んでいるところに、バジュランギおじさんが現れ、面倒だと思いながらもやがて彼は彼女を家へ連れて帰ってやろうと思いはじめる。

そうたくさんのインド映画をみたわけではないので、なんの耐性もなかったのだけど、いわゆる歌とダンスのシーンが始まったとき、ありゃ全編これなのかなー、失敗したかなーとか思ったけれど、ダンスのシーンも歌も素晴らしく、丁寧に作られているし(なんとなく80年代のアナログでちゃんと作ってるPVみたいに感じた。いらん特殊効果もないし)ノリノリで見れる。知らない素敵な文化に触れた感じ。

子役のハルシャーリー・マルホートラがとても可愛く、セリフなしでの演技がほんとナチュラルでよかったのと、主人公演じるサルマーン・カーンがまさにスターというかかっこいい青年を見事に演じててすごいよかった。宗教的なこと、国同士のことなど何も知識なく観ても、それらがちゃんと明確にわかるように設定されているし、バカ真面目なぐらい一旦こうと決めた青年が女の子を連れて行こうとする姿に、懐疑的だった人や、邪魔をしていたひとたちもやがて巻き込まれ、二人は国境をこえてパキスタンへ、、、でも話せない女の子の家を探すことは困難極まる。それでも諦めない彼と、あくまで無邪気な女の子が本当に素敵。

150分を超える大作だけでちっともあきず、やたらと派手なシーンがあるわけでもなく、丁寧に主人公たちとその周りの状況を描くストーリーに中だるみもなく、ラストのシーンまですっきり観られた。ラストのシーン、よかったなあ。なんかアジアの感じがするなあ。インドだったら拍手喝采起こるんだろうなあw 観に行ってよかった。

映画館でてずいぶんしてから小銭入れを無くしてることに気づく。どっかで落としたのかと探し回るがない。映画館やほか行ったところに問い合わせてもないので諦め掛けていたが、夜遅くに映画館から「ありました」と電話。ああ、よかったー。

東野圭吾 – 探偵ガリレオ

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なんか読まないうちから敬遠している東野さん。人気もあるし面白いらしいのだけれど、なんだろう、ちょっと遠慮がちになってしまっている。でも人からどうぞーともらったので読んでみた。それにこれはテレビドラマになってたの見たことあったので興味もあって。

一流大学の理工学部物理学科にいる助教授・湯川(途中からガリレオというあだ名がついてることになってた)が、同級生でもある警視庁の草薙から解決できない難事件のヒントを依頼され、それを科学的な側面から解決する。もえる、うつる、くさる、はぜる、ぬける、の5つの言葉で表される事件が彼の元へ持ち込まれる。

科学的であったり物理的である現象をつかっての犯罪を前提にかいているので、物語的には深くはないけれど、理系的な話が面白いと思える人には楽しいかなとおもう。もう少しドラマ的なものがあったらもっと面白いのかなーとも思うけれど、これくらいあっさりしてるほうがいいのかも。ミステリーのアイデアとしては面白い。

テレビの影響で湯川が福山雅治とダブってしまうけれど、いやいやもう少し朴訥とした感じのほうがいいような気もする。ドラマでは警視庁の草薙じゃなくて新人女性刑事の内海(柴咲コウ)だったけれど、原作の同級生設定のほうが自然だなあ。テレビってこいうことするのね。解説で俳優の佐野史郎氏が書いてるけど、彼曰くガリレオは佐野さんのイメージで書いたと作者は言ってるそう。じゃあ、佐野さんでやってほしかったなあ。なんか福山さんだと出来すぎなんだよねえ。ああやだやだテレビって。

文集文庫 2002

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いしいしんじ – うなぎのダンス

unagidance

いしいさんはいくつか読んだことがあったけれど、こんなのは初めて。対談集なのだけれど、いやいやこれがw

20組のゲストの方と対談しているのだけど、きんさんぎんさん(懐かしい!)から始まり、赤塚不二夫さん、柳美里さん、トランプマン(懐かし!)、、、といろんな人とつながりあるんだなーとか面白く読んで(対談もなんかまともな感じではなく、ただの雑談みたいな感じなのをそのまま文章に起こしてる気がする!)いたのだけれど、進んでいくと、勝新太郎、、、あれ?亡くなってたんじゃ?、、、とか、謎のロッカーだの、やたらセラピストだの怪しげというか面白い方がでてきたり、挙げ句の果てには凸版印刷機まで。対談というより脳内インタビューになったりしてて、いしいさんだいぶやばいなーって感じ。

でもなんかおかしいのだけれど、この対談を通してすけ見えるいしいさんのキャラがなんか楽しくて、ついついなんでもオッケーと思ってしまったり、かわいいなとおもってしまったり。全くもって謎の方です。

河出文庫 2008

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花村萬月 – ワルツ

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ずいぶん前に読んだので備忘録的に。

戦後すぐ、占領下の東京が舞台。特攻隊に選ばれた方死に損なった男・城山。朝鮮人である自分を隠し自分が何者であるか悩み強くなりたいと願う男・林。そして疎開先から単身流れてきた天涯孤独の美女・百合子。彼らがその怒涛の時代に出会い、惹かれあい、憎しみあい、また交わっていく。三人の人生がからまる様子を踊るワルツにたとえて。

現在の個人主義がすっかり台頭してしまった世では、戦前戦後のような、たとえそれが間違っていたとしても貫く義であったり礼であったり、そんなものはよしともされないし、思い出しもされない。でも人と人との間には憎しみであっても愛情であっても義理であってもたしかに熱いものがあふれていて、そうして人間は生きてきた。どこかに死に場所を求めるにしろ、この世で成り上がっていくにしろ、何かと戦うにしろ。

物語の三人が運命に翻弄されながらも一生懸命に生きていく姿、それがうまくいったりいかなかったり、いろいろあっても、そういう姿と意思に心打たれる。熱くなる。正しいとか正しくないとかじゃなくて、どう生きていくかを悩んで一生懸命に生きる姿に。ほとんど任侠物語みたいなところあるけれど、芯の部分は人間の物語。

戦後のどさくさあたりの雰囲気が、生々しく感じられるのもいいなあと思う作品だった。

角川文庫 2008

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宮部みゆき – あかんべえ

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宮部さんの江戸もの。深川に出店した料理屋「ふね屋」。長年の念願であった出店だったが、最初の宴でいきなり抜き身の刀が出現して暴れまわるという怪異現象がおこって宴はめちゃめちゃに。いきなり出鼻をくじかれ、客もさっぱりになったふね屋に今度は霊払いの宴の話までもちあがって、、、、お化けのでる料理屋として有名になってしまった。

一方この料理屋の娘おりんはある日高熱をだして生死をさまよい、不思議な夢をみる。それはまるで三途の川のようだった。そこで不思議な男に出会う。その夢を見て以来、おりんはこの料理屋で起こる怪異の原因は亡者だと知るようになる。あかんべえをする少女、美しい侍、艶やかな姉さん、あんまをして病人を治癒するおじいさん、そして例の騒動のもとになったおどろ髪の侍。

すこしずつ彼らと打ち解け、なぜ彼らがここにいるのか、どうしたいのか?そういうことを知るようになっていき、やがて昔の大きな事件へと繋がっていく。

彼らは何者なのか?成仏できるのか?おりんは、料理屋ふなやはどうなるのか?

ミステリーとしても、時代を感じる小説としてもよくできてるなーとひたすら感心。目の覚めるような話の展開をしたり、大きな感動を呼ぶわけでもないけれど、しみじみとした味を感じる。怖いけど怖くなくて、優しい気持ちになれる作品。よかった。

新潮文庫 2007

楽天ブックスで詳細を見る(上巻)(下巻)

岡嶋二人 – ちょっと探偵してみませんか

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岡嶋二人さんの短編推理小説。25の短編が収録されていて、そのタイトルからわかるように、読者に謎解きを挑んでくる。犯人はだれか?なぜ犯人だとわかったのか?謎はどう解く?などなど。全部シチュエーションもパターンも違うお話だし、短いのさっと読めるのだが、なかなか答えを出すのは難しい。いろんな知識やひらめき、読解力が必要だったり。

短いのでさっと読めるのもいいし、どの短編も秀逸なので飽きない。これすごいなあ。

講談社文庫 1989

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五代ゆう – 永訣の波濤(グイン・サーガ143巻)

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そして一気に143巻へなだれ込む。一冊刻みで読んでいると「ああ、もう終わっちゃった」と思うけれど、二冊続けて読めるのは幸せ(たんに本屋に行ってなかった、というだけですが)。

ヤガと黄昏の国、そして並行してマルコたち一向のヴァラキア到着が描かれる。偉大なカメロンはみなに惜しまれながら故郷の海へと還って行った。物語の中でここまで男気あって正義でかっこよかった男がいなくなるというのは、なかなかすごいこと。でも彼はこのグインサーガという大きな物語の中では普通の一人の男ということだったのかも。物語を進めるものたちはもっと稀有な存在のものばかり。現実世界もそういうものなのかもしれないが、違うかもしれない。

スーティを守っている瑠璃が見せた彼の兄弟の惨劇により、幼いスーティはさらに幼い弟を助けようと決心する。そこにつけ込んできたのはグラチウスだったが、この闇の司祭もなんか昔よりひょうきん者になって、完全な悪じゃなくなったような感じ。おもしろい。ヤガではイエライシャに救われたブランやヨナ。フロリーたちだったが、彼らを助けんとしたスカールたちとはまた入れ違いになってしまう。が、ついに彼らも出会えそう。

なんだかキタイの竜王に見捨てたれた感のあるヤガだけど、どう決着がつくのか。蛇人間や竜騎兵たちはどうなるのだろう。はやく次巻ががよみたいのです。五代先生がんばってください!

ハヤカワ文庫 2018

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