2011.6月のスケジュール

■■■ リーダーライブ ■■■

6/25(Sat) 武井努4
大阪 心斎橋 COMODO 06-6258-8088
20:00~ 2,500-
[メ]武井努(Sax)、堀智彦(Pf)、原満章(B)、御薬袋一男(Ds)

■■■ その他のライブ ■■■

6/2(Thu) 武井~馬田DUO
寝屋川 萱島 OTO屋 080-6126-1529
20:00~
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)

6/3(Fri) たけタケともみ
大阪 天王寺 The BAR ARITA 06-6772-8807
20:00~
[メ]清水武志(Pf)、東ともみ(B)、武井努(Sax)

6/4(Sat) MITCH’s Lil Brats Brass Band
大阪 アメリカ村 Blow Bar 06-6211-4300
Open 18:00 / Start 20:00 Adv.3,000-/Door 3,500(w/1drk)
[メ]Mitch(tp)、Atsushi(tp)、Tsutomu Takei(sax)、Kenji Suzuki(sax)、 Tb Cozy(tb)、Akihiro Tuda(tb)、Michiyasu Nagata(b,drum)、Oji(s.drum)、Tamotsu(tuba)
[DJ] Show-Nen. Nashi&Goreng and more

6/5(Sun) 竹田達彦4
■GREAT JAZZ SERIES vol.3
吹田 メイシアター 大ホール 06-6380-2221
Open 15:00 Start 15:25 Close 20:00
前3,000 / 当3,500
[出演]Aqua Jazz Orch. / Heart Beat Dixieland / JJS / Pair Shape / Somosmbo / Flores / Fresh Breeze / Steps / Marvelous Duo / Golden Senior

6/6(Mon) hikari(Vo)
大阪 心斎橋 アメリカ村 Soap Opera Classics 06-6121-6688
Open 18:30 / Start 19:00
adv 2,000 / door 2,500(別途1drink&1food 1,000)
[出演]栗山まき/hikari/加藤謙太(opening act)

6/9(Thu) Words Of Forest
神戸 三宮 Big Apple 078-251-7049
19:30~ 前1,800 / 当2,000
[メ]森本太郎(Ds)、清野拓巳(Gt)、三原脩(B)、武井努(Sax)

6/10(Fri) MITCH(Tp,Vo)
大阪 淀屋橋 ROYAL HAT 06-6204-1327
20:00~ フリー (チップ&カンパ制)
[メ]MITCH(Tp,Vo)、武井努(Sax)、永田充康(Ds)、杉山悟史(Pf)、宮上啓仁(B)

6/11(Sat) しのMINT
大阪 芦原橋 studio & cafe MAKE 06-6562-3294
19:00~ 前2,300/当2,800
[メ]大倉詩乃美(Vo)、清水武志(Pf)、折笠誠(Perc,Cello)、武井努(Sax,Fl)、林三菜子(B)

6/15(Wed) MITCH(Tp,Vo)5
大阪 梅田 ニューサントリー5 06-6312-8912
Live Time 19:50~20:30/21:00~21:40/22:10~22:50 1,800
[メ]MITCH(Tp,Vo)、永田充康(Ds,Vo)、武井努(Sax)、杉山悟史(Pf)、宮上裕仁(B)

6/16(Thu) Roko(Vo)4
■Cherry Jam 周年!
大阪 堂島 CHERRY JAM 06-6346-2323
19:30~
[メ]Roko(Vo)、宮川真由美(Pf)、福呂和也(B)、武井努(Sax)

6/17(Fri) Soul Fever
大阪 北新地 Mr. Kelly’s 06-6342-5821
1st 19:30/2nd 21:15 入れ替えなし
前4,000/当4,500
[メ]松田一志(Vo)、東原力哉(Ds)、西田まこと(Gt)、村瀬正樹(Key)、羽田北斗(B)、武井努(Sax)、堂地誠人(Sax)、横尾昌二郎(Tp)、江崎愛(Cho)、河合かずみ(Cho)

6/18(Sat) 福呂和也(B)3
大阪 北浜 RUMBA 06-6222-6700
18:00~ カンパ制
[メ]福呂和也(B)、武井努(Sax)、森本太郎(Ds)

6/22(Wed) E.D.F.
大阪 なんば Jazz Spot 845 06-6633-6288
20:00~ 2,200
[メ]清水武志(p)、西川サトシ(b)、武井努(Sax)、田中洋一(Tp)、光田臣(Ds)

6/23(Thu) 山内詩子(Vo)
大阪 天満 じゃず家 06-6377-1130
20:00~ 2,500(1drk,1food付)
[メ]山内詩子(Vo)、牧知恵子(Pf)、武井努(Sax)

6/24(Fri) たけタケ
大阪 桃谷 M’s Hall 06-6771-2541
20:00~ 1,800-
[メ]清水武志(p)、武井努(Sax)

6/27(Mon) たけタケ
愛媛 松山 千舟町 Bar Tommy’s 089-935-6220
2,000 (1st 21時/2nd 23時 2回ステージ入れ替え有り)
[メ]清水武志(p)、武井努(Sax)

『種を蒔く』ライブ

昨晩はMPP主催の東日本大震災チャリティーライブ、題して『種を蒔く』ライブでした。『種を蒔く』・・・主催の徳本さん(実は彼女は大学軽音の後輩である)の言葉によれば、こういうときに「花を咲かそう」とか「立ち上がろう」とかそういう言葉でいうほど自分は力強くできないけれど、種を蒔けばきっとそこから力強く芽がでて花が咲くでしょう、だからみんなで種を蒔きましょう、という想いからつけたとのこと。すばらしくいいトーンだと思いました。

今回のイベントの話を振られたときから、どんな風にできるか?普通でいいのか?誰が力を貸してくれるのか?という心配事ばかりだったのですが、ひとりひとりがそんな大きな力や気持ちをもっていなくても、気にしている人たちが少しずつ気持ちと力を持ちよれば、すごく素敵なものができてくるのだ、ということが身にしみてわかりました。自分がしょうもない心配していたのが恥ずかしいです。

台風近づく悪天候のなか、わらわらと集まって準備やリハも十分でないなか、カレー呂のお客さんや出演者の知り合いの方々など、たくさんの人が集まってぎゅうぎゅうの状態ではじまったイベント。最初にSugami(Vo)&泉尚也(el-b)のユニットの透き通った豊かな演奏があり、次に僕と大友孝彰(Pf)、千北祐輔(B)、吉川元(Ds)カルテットでの演奏をちょっとやって(自分の曲やらせてもらったけれど、若い力に押してもらってすごく楽しい音になった)、ボーカルの古田てるみを迎えてぐっとくるナイスな演奏がありました。そして最後はうだうだのセッション(笑)。宣言どおり酔っ払いでやってきた光田臣(Ds)や金澤琴美(Vo)、絹川くん(el-b)なんかに参加してもらいました。

そして間の時間には岡田幸史さんとロンドンズのみなさんでのコント。実はこれが一番観たかったのですが、2回ともめちゃめちゃシュールで面白すぎました。パキューン!(見た人しか意味わからないです)。そしてカレーも今日だけ特別の合いがけ(イチジクのやつと・・・なんかのキーマ、忘れてしまった)が抜群においしかったです。

客席もステージもそしてカウンターの中もみんな一体となって聴いて笑って喋って飲んで食べた、楽しいイベントでした。そしてこれが微力でも震災のなにかの役に立てればと思います。お越しいただいた皆様、出演してくださったみなさん、協力いただいた方々、カレー呂のみなさん、本当にありがとうございました&お疲れ様でした!!

また、こんな機会をMPPと協力して作っていきたいと思います。

MPP:Music Power Project

カレー呂

カレーがうまいのです!

トリオ@芦原橋cafe Make

昨晩は芦原橋cafe Makeにてリーダートリオライブでした。26日のPOCHIに引き続きだったので、3人の息もさらに合ってすごく楽しいライブになりました。いらしてくださったみなさま、Makeのみなさん、本当にありがとうございました。

自分のライブをやるということが最近またえらくプレッシャーがかかるようになってきてしまっているのですが、昨夜のように自分の曲たちを自分の好きなように演奏して、それを楽しんで聴いてくださるみなさんがいて、一緒に楽しんでくれる仲間がいて、というのはすごく幸せなことだと心底思い、やってよかったなーと思えました。ごく当たり前のことなんですけれどね。

新しく書いた曲たちもいい感じになっていきそうだし、前からやってる曲も宮上氏、小前氏がすごく理解してくれて、自分の想像以上におもしろく演奏してくれるので、見ていて楽しくて仕方ありませんでした。こんなライブできるなら、まだまだ演奏やっていけるなーと思えた夜でした。

まだまだやりたいこと、目指すことはたくさんあるので、そんなに頻繁なペースでなくても自分のライブやっていきたいと思います。またまたよろしくお願いしますね >みなさま

 

MCしてます(下手(^^ゞ) photo by AKIちゃん
MCしてます(下手(^^ゞ) photo by AKIちゃん

 

 

 

トリオ@明石POCHI

今夜5/26は結構久しぶりに明石のPOCHIでリーダートリオでした。リーダーライブやるのも久しぶりだし、POCHIはもしかして今年初めてだったのかな?今日もちょっとうっとおしい雨の中、ドキドキして行ったのですが、変わらない感じでN店長もお店の子たちも、オーナーもごきげんで楽しい夜でした。

システムがちょっと変わって3ステージだったのですが、結局前面オリジナルばっかり(まぁスタンダードをちょっとやったけれど)やってしまいました。でももうここまでいつもどおりできてしまうと、自分の曲たちがスタンダード。久しぶりやった曲もあったけれど小前くんも宮上くんもちゃんと憶えていてくれるので、すごく楽に、そしてすごく楽しんで演奏できました。曲が出来てすぐではなくて、こうやって何度もやって時間が経っていくと、みんな各々の曲のイメージが出来てて、それらを演奏しながら持ちよってやれるのが何よりうれしいです。

今日は結局新ネタは1曲だけだった(カリプソの曲、タイトルまだなし)けれど、いい感じになりそうな予感。もうすこし詰めるというか、足せる部分ある(小前くんからアイデアもらった)ので、それが出来たら完成のような気がしています。めちゃ単純な曲だけにどう育つかが楽しみです。

で、このトリオ、明後日28日にもやります。大阪 芦原橋cafe Makeで19:30~。自由に楽しく紡ぐ音を聴きに来てくださいね。待ってますー。

演奏終わって、ふぬけな3匹

江國香織 – いつか記憶からこぼれおちるとしても


たとえるなら江國さんの紡ぐ文章というものは、ひとくちで食べられるほど小さな、でもゆっくり味わえばほのかにでもはっきりとしためくるめく香りと味を楽しむことの出来る甘いお菓子のようなものなんじゃないかなと思う。一見するするっと流れる文章のなかに突然現れる確固たるおかしなテイスト(でもそれがおかしくは感じない)や、はじまった瞬間から周りの音が消えてなくなるほど隔離され確立された孤独感や、ゴール間際になって初めて思い知る長いゆがみの曲線たち。それらの香りや味がたくみに(それが狙ったものなのか、自然に生まれるものなのかはともかく)並べられ、一口くちにいれた瞬間から江國さんの世界のとりこになってしまう。

あと、漢字とひらがなとカタカナの選び方、バランスが絶妙だと思う。とくに好きなのは「ずぼん」そして「りぼん」(この物語には「りぼん」が何度も出てきた)。往々にしてカタカナで表記されやすいこれらのことばをひらがなにしたときに、その音のおもしろおかしさや、すこしだらっとした感じや、かわいらしさを醸し出せることを知る(「ぼん」という発音がそうさせるのかも)。割とひらがなが多いのはきっと本人のくせもあるのだろうけれど(女の人の独り言に含まれる子供っぽさのよう)、本を開いたときの文字がつくる模様が、がしがしした感じがしないためかも。物語もそうだけれど、目に触れる形としてもあまりひっかかりがないようにしている感じがする。

さて、この物語は女子高生たちの初冬のちょっとした物語たちだ。まだ大人でない分、素直にそして残酷になれる彼女たちの姿がさらりと描かれている。こうして彼女たちは生きているのだろう。何かを訴えることもなく、とくにおおきな事件が起こるわけでもなく、結論が生まれるわけでもないけれど、その6つの短編を読んだ後にはなにかほのかに心がわさわさする感じが残る。でもそれを確かめようとするとはかなく消えてゆく。これが江國さんの魅力なのか。

個人的にはひとつめの短編「指」が好き。

装丁の黒猫(白いソックスを履いている)がかわいい。

朝日文庫 2005

Billboard LIVE OSAKA

今日(というか昨日)はBillboard LIVE Osakaで、ボーカリストの真奈尚子さんの「小さな酒場」発売記念ライブのお手伝いをしてきました。

というのも今回のCDでは演奏をカンザスシティバンドさんがやっていて、さらにカップリングの曲(昔で言うとB面てやつですね)をそのバンドの下田卓氏が作曲したそうなのですが、今日のライブでそれを少し小編成にしたホーンセクションを入れようということになったとき、下田氏から武井君どお?と声を掛けてもらったのです。なんてうれしい!下田氏とは2月にバンバンバザールが主催した「ヒジョーにお手隙でショー」でご一緒し、えらく意気投合した(そのときに自分が結構昭和歌謡、ムード歌謡が好きなことを知った)のでした。

なので今回ちょっとだけの出番は下田氏お得意のめちゃムード歌謡のアレンジで、いわゆる”むせび泣くテナー”ってやつがフューチャーされるシーンもある曲でした。こういうの実はやったことほとんどないのですが、えらくイメージが湧くのが驚き。もともと演歌ばっかりやってたんちゃうかー、というぐらい。実は好きみたいなんですねぇ。というか子供のころはテレビの音楽番組は生バンドだったしなぁ。一緒にセクションをやるJAZZY KANAI氏と下田氏にも、「いやー、似合ってるねぇ」なんて言ってもらえてえらく調子に乗ってしまいました(笑)

普段やってる音楽とはまったく違うチャンネルの演奏なのですが、知らないから新鮮なのか、もともと血にあるから馴染むのか、すごく楽しかったです。ライブもすごく暖かなもので、真奈さんの歌声にしびれました。

あー、いい夜でした!

セクションのJAZZY KANAI氏、下田氏、ぼく

梨木香歩 – 西の魔女が死んだ

初めて読む梨木さん。映画になったか何かでタイトルを知っていたので本屋さんで手に取った。装丁もすごく素敵。タイトルだけ見てなんだかジブリの「魔女の宅急便」みたいなお話を想像してしまっていたのだが、ぜんぜん違って、魔女の血を引くおばあちゃんとその孫のお話だった。

クラスのしきたりになじめずに学校に行くことができなくなった少女まいは、ある日大好きなおばあちゃんの家で過ごすことになる。おばあちゃんは実は魔女の血を引く家系の生まれであり、同じ血を引くまいも魔女の修行を受けることになる。こんな風に書くと魔法だ呪文だ魔物だーみたいなお話である感じになるけれど、描かれる世界は現在そのものであり、魔女は魔法を使うわけではなく、ひとよりすこしだけ優れた能力を持っている(それは訓練して得られる)というような設定なので、実際ありそうなことだなーとおもえてしまう。

おばあちゃんと孫が山で・・・というとよしもとばななの「王国」を思い出してしまうのだけれど、実際魔女という言葉の出てくる/こないがあるけれど、生きていくうえで大切なことを考える、ということは共通したテーマだと思う。幸せとは何か、現代の便利な暮らしによって我々が失っている(忘れている)ことは何か、そんなことを考えさせようとしてくれる。

まいの成長の物語だとするとちょっと短すぎるなーと思うし、ページが増えてでももっと山でのおばあちゃんの知恵や生きる上での工夫(これらは少し昔の人たちは普通にできたことだ。いまの人間はみな忘れてしまった。本当に簡単なことなのに。)を書いてほしかったし、「生きていくこと」「幸せとは何かを考えること」というテーマについても読みすすむ時間を通してもう少しじんわり噛み締める時間が欲しかったな。

というのは、なんだかあっさり読めるというか、たぶん読み解きたいテーマの割には表面の物語が簡単で流れていってしまうから(というように読んでしまった)かもしれない。読むスピードと読み取るスピードが一致しにくくて画があんまりでなかったからかも。

読み始めてしばらくは、文体がとっつきにくいのか句読点が多いのか何が原因ははっきりしないけれど読みにくいなぁと思っていたけれど、多分お話の進み方(物語上での実際の時間的経過というか映像的な進み具合)と読み取るスピードが一致しにくかったからなんだろうなーと気づいた。作家さんによって文体なんて違うの当然だけれど、物語の進み方と描写とのしかたによってはするする読める場合と引っかかって読みにくい場合(感じがどうのということではなく)があるような気がする。

文庫版にはこの物語の後日談「渡りの一日」という素敵な短編も収録。すこし魔女に近づいたまいの姿が読めます。これ素敵なお話。

新潮文庫 2001

エンガワホッコリライブ

昨日5/22に滋賀の寺庄でE.D.F.のライブがありました。かねてからの天気予報の通り、自宅を出るときから大雨で、行くのが嫌になるほどだったのですが、京都を過ぎがころから雨は少しマシになり、草津線に乗るころには小降りになっていきました。JR草津線に乗るころには、いったい何年ぶりに乗るのかなぁ、などと思いながら揺られる車窓を楽しめるぐらいになっていました。

訪れたのは寺庄にあるM重さん宅で、到着したときにはすでに準備も最終段階、まもなく開演でお客さん(近所の人たちともいう)もやってきていました。晴れだったらM重さんのお宅の庭先での、ほんとの意味での”エンガワホッコリライブ”になる予定だったのですが、まださらさらと雨が降っているのもあり、向かいにある農業倉庫を急遽お借りしてのイベントとなりました。

大正琴の演奏(実は生ではじめてみた)や当主M重さんのバンドが出演したり、ライフジャケットのイベント(M重さんたちは「子供たちにライフジャケットを!」という企画を主催してはるのです)があってそれに参加したり(これがめちゃ楽しかった)、フリマや各種出店があったり(どれも美味しかった)、まるで小さな町のお祭りのような感じですごくいい雰囲気でした。晴れてたらもっとよかったなーとも思いましたが、それでもいい感じだったです。

で、ラストにE.D.F.の出番が。それまでいい感じでこの時間を過ごさせてもらってたので、ステージに上がってもすごくほっこりゆるやかな感じでのスタート。農業倉庫といっても古い日本家屋なので、音の感じもしっとりしていい音で、すごく気分よく演奏できました。もちろんPAの夢屋さんNちゃんの力があったことはいうまでもありませんが。

清水さんを中心としたカヌーや車やらの仲間や、音楽の知り合い、地元の人たちなんかに囲まれながら、決して大げさでなく適度な大きさで奏でられる音楽というものが、どんどん地面に染み込んでいく感じを感じながら、どこでももっと単純に音楽と人と自然とのつながりが楽しめたらいいのになぁ、と思いました。どうしても「ライブをする」とかいうとどこかから借りてきて据え置いたようなものになってしまいがちな昨今、こんな密着した、というか、みんな同じ地面に立っているように思えるイベントがすごく貴重だなと思いました。M重さんの熱い想いがあったからこそだと思います。こんな簡単なことをいまさらながらまた実感させてもらえてうれしかったです。

イベント終わるころには雨も上がり、名残惜しいみんなはうだうだううだうだしていましたが、カラスもカーと鳴く時間になったので、寺庄をあとにしたのでした。

みなさんほんとにありがとう。

(写真 by Mamisan)

伊坂幸太郎 – 終末のフール

伊坂さん2冊目。「ゴールデンスランバー」の衝撃がすごかっただけに、さて次はどうかなーと思って手にとった(特に順番も何も考えていない、目に付いたから)のだけれど、これもまた読み出したとたん見事にハマってしまい一気に読んでしまう。

なにより設定がおもしろく「8年後に小惑星が衝突して人類が絶滅するほどの大惨事が起こる、と発表されてから5年経った世界」。あと3年でみんな死んでしまうと分かっている状況でどんな風に人は生きているのか、案外普通にしてたりして?ってあたりがその通りなんじゃないかと思えてしまう。もちろん大混乱は起こり人は嘆き悲しむだろうけれど、そこでドロップアウトせずに怖れを飲み込んで日常を暮らす人がいたって不思議じゃない。

みんなが死ぬとわかっている世界。明らかに異常だけれど、そんなときこそはっきり「生」を感じるんじゃないかと思う。じたばたするのを通過すれば、自然と手の中には自分が大切にしたいと思っているものだけが残るのではないだろうか。諦観があるがゆえに優しさと厳しさとを併せ持つことができ、自分や他人その他の生きる姿を見つめることができるのじゃないだろうか。

物語としては地味に怖いSFと人間模様のような体裁になっているけれど、一貫して「生きている/生きていく、とは何か」ということを問われているように思う。最後のほうで出てくる「頑張って、生きろ」「死に物狂いで生きる」「生きていくことは義務である」「生々しい」という言葉でつづられるように、いま僕たちはシステムに守られ明日を保障されたようなつもりになり、目先のうれしさや悲しさ、お金のあるなしなんかに翻弄されて、生き物としてほんとうに「生きていくこと」の大切さ/大変さを見失っていると思う。生きてゆくことに必死になっている人は「幸せになりたい」とかとは思ってないだろうというレベルの話で。

と書くと、あまりにもシリアスな感じになってしまうのだけれど、それらをまったく感じさせずに普通の街の普通の様子、普通の人たち、状況がちょっとだけ変、という中で物語を生み、しかも8つの物語が独立しつつもうまく重なって(同じヒルズタウンという場所に住む人々の物語である)、エピソードが進むにつれ盛り上がってエエ話になっていくあたり、伊坂さんほんとに頭いいなぁ(すごくいい意味で)とひたすら感心しきってしまう。胸の中にしまったテーマ(気持ち)を全く明示せずに巧みなデコレーションだけで浮き彫りにした、みたいな。

あまりにも物語に夢中になってしまったため(とくにその設定に)、読んでいる最中にふと顔を上げたときでさえ「ああ、あと3年足らずか・・・」と妙にリアルに実感してしまい、まさにいまがそのときであると勘違いしてしまうほどだった。SFといえばSFなのに、妙にリアルな感じ(自然な感じ、のほうが近いか)がするのが伊坂さんの筆の魔力といえるのでは。ゴテゴテしがちな素材なのに、ぼくたちと同じ目線(というかトーンというか温度)で語るが故の自然さがより読者を引き込みやすくしているのじゃないかな。無理がないというか。

同様に出てくる人物たちの描かれ方、その人物のなりや喋り方、物語の中での存在の感じそのものがすごく普通に隣に住んでいるひとのことのように思えてしまう。描き方というよりは伊坂さんと同年代だから、自分も実際にそんなふうに世の中/人々と接している(そういうように見えている)からなんじゃないかと思う。

ああ、面白かった!!!!

集英社文庫 2009

宮部みゆき – 理由

かなり分厚いし、描写が事細かなので結構読むのに時間がかかってしまった。途中でへこたれそうになったけれど、半分を超えたらスピードアップしていき、結局終わるのが惜しい感じまでしてしまった。

ある超高層マンションで起きた一家4人殺害事件をルポ形式で描いている。本当にあった事件を、事件の後に追ったように読めるのが新鮮(事件とともに時間的推移するパターンのほうが多いと思う)。なので、その事件の時間軸の中にいるようにも読めるし、すべてが終わった後のレポートのようでもあるし、微妙に視点を変えているので長くても飽きることがない。

ひとつの事件(事柄)にいったいどれぐらい多くの人間が関係しているのか。それを丁寧に紐解くと、ちょっとしたことでも実にたくさんの人間が関わっているものだ。しかも関わっている人たちは近くにいたとしてもぜんぜん知らない関係であったりもする。なので実際のものごとを隅まで調べきるというのは実に難しいことなのだろう。そういう記者になってしまったかのような錯覚まで覚える。

この物語では一家に見えた人間たちが実は他人同士であり、その家の住人ではない人間たちであり、なぜ彼らが死ななければならなかったのか、一体どうやって死んだのか、ということが物語の入り口のわかり良さ(というか単純に見える加減)から想像できないぐらい根が深く横に広がっていて、それが物語を複雑に、よりリアルに見せている。結局この事件で何か得た人はいたのか?長い長い物語をたどっていくと、その「理由」が少し垣間見える。でも大きな事件なのにその中心点はあいまいで、少しずつの動機が集まって重なって出来上がっている。

家族とは何か、暮らしていくとは何か、ずんと鈍い空気が読後を覆う。

朝日文庫 2002