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2015-03

奥田英朗 – 町長選挙

奥田さんもだいぶ久しぶり。この本はシリーズにもなってるヘンテコ精神科医の伊良部一郎の第三弾。今回もヘンテコぶりを発揮して周囲を困らせているけれど、この人分かってやってんだかどうなんだか。

大手新聞会社のワンマンで人気野球チームのオーナーでもある男が恐れる闇「オーナー」、ITにより時代の寵児となった男が物忘れに頓着しない「アンポンマン」、歳をとっても若い姿でいようと努力しすぎる女優「カリスマ稼業」、そして表題作でもある孤島を二分する選挙に引き裂かれる男「町長選挙」の4つの短編。

伊良部の何を考えてるのか分からないところ、計算で動いてるのでもなさそうなのにたまにすごく的確な指摘をするところなんかが相変わらずとても面白い。4編のうち最初の2編についてはもう、あの人のことよね、とはっきりわかるモデルが現実にいる。実際描かれているように世間から(もっとも僕たちはメディアを通してしか知り得ないけど)見られてる/見えているけれど、それを本人視点から描いてるのが面白いし、もしかしたらこのお話したちのように悩んでるかもしれないし、話そのものも面白さもあるけれど、彼らはどう思ってるんだろうとか考えさせられて、奥田さんそこが狙いなのか?と深読みしてしまう。

表題作でもある「町長選挙」、ぱっと読むと非常に異常な感じを受ける(前時代的というか、関西の昔のあかん感じ)のだけれど、結局はそこに見える表面的なことではなくて、住民たちがほんとに思ってること、それをうまく描いてるなーと思う。そんなバカな!的な展開をするけれど、そこにはもう僕たちが忘れてしまったことや体験することなく過ぎ去ってしまった、村的ないいところ、そういうところを思い出したりかいま見せてくれたりする。

どの話もそうだけれど、話の主人公たちそのものよりも、人と人との関係によって社会は成り立ってるし、そういうのがないのは寂しいよ、と言われてるような気がする。

面白かった!

文集文庫 2009

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萩原浩 – さよなら、そしてこんにちは

久しぶりに読む萩原さん。裏表紙のあらすじを読んで面白そうだなーと思ったので手に取った本。7つの短編からなる。

もうすぐ子供が産まれる葬儀社に勤める中堅社員「さよなら、そしてこんにちは」、父親の長年の願いだった田舎暮らしを実現した家族だったが「ビューティフルライフ」、日々のテレビ番組に振り回されるスーパーの売れない売り場の責任者「スーパーマンの憂鬱」、子供番組のヒーローに恋してしまった母親「美獣戦隊ナイトレンジャー」、頑固な寿司屋にやってきた謎の男「寿し辰のいちばん長い日」、ひょんなことから売れっ子になってしまったイタリア料理好きの主婦「スローライフ」、坊主が娘の仏の間に板挟み「長福寺のメリークリスマス」。

どの話も主人公がちょっと変わっているというか、頑固というか、融通が利かないというか、どじくさいというか、普通の人々でまじめに生きているのに、そのまっすぐさ加減が滑稽に映ってしまう、面白い人たちを描く。その滑稽さに笑みがこぼれてしまうのだけれど、ふと考えると自分もきっとこういう部分があるんだろうな、人から滑稽に見えるほど必死になってるところとかあるんだろうな、と恥ずかしかったり、でも嫌でもなかったり、不思議な感情が浮かぶ。

で、どの話も思い切りハッピーでもバッドでもなく、うん、そんなもんよねぇ、的な終わり方をするので、物足りない感じもするのだけれど、それがまたいいところなのかも。昔話を思い出して、ふっ、と笑うような。

すすっと読めてよかった。でももう少しぎゅっとしててもよかったかも。

光文社文庫 2010

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小路幸也 – 東京バンドワゴン

初めて読む小路さん。そもそもこの本を手に取ったのは昨年だかに「東京バンドワゴン」というテレビドラマがあり、MITCHのブラスバンドでそのなかで使われる挿入曲をレコーディングしたから。そのとき面白いタイトルだなー、なにかバンドがワゴンに乗ってわいわい上京していくようなロードムービー的なものなのかな?と思っていた(つまりドラマは見ていない)。

で、本を開いてみると、バンド的な話ではなくて大家族のホームドラマだった(伝説のロッカーの父親ってのがいるけど)。これが小気味よくてテンポもよくて楽しい。もともと大家族的なものに憧れなんかもあったのもあるからだと思うけど、ちょっと事情ある家族だけど一つ屋根の下で仲良く暮らしていて、ちょっとしたさざ波が立つようなことがあっても家長(ここでは先代)の元で協力して解決していく、こんな話は単純に好き。

東京バンドワゴンは東京のとある下町にある古本屋さん。古本屋といってもちゃんとした古書も扱う本屋さん。そしてそれに併設されたカフェ。近所の人たちからも慕われるこのお店には、3代目でまだまだ現役の勘一、そしてその息子でふらふらして何もしない伝説のロッカー我南人(がなと)、その娘で未婚の母・藍子、学者肌の長男・紺、愛人の子だという次男・青、藍子の娘・花陽、そして紺のよくできた奥さん・亜美とその息子・研人という8人家族が住んでいる。

そこへ近所の子供からご隠居までが出入りしいろんな問題や謎が発生する。毎朝百科事典をこっそりもってくる女の子、いきなり家に上がり込んで来た古書好きの女性、預けた本が行方不明に、などなど。そんなものごとを家族や近所の人などで解決して行くのも楽しく、なんかほんわかあったかくていい。そこにはいま失われていっているという言われる、近所の人とのふれあい・親しさ、なんてものが濃厚にある。近所の小料理屋に親父たちが集まったりするの、とか。

本の語り部を3代目勘一の亡き妻サチが務める形になってる。読んで行くとわかるけれど、この本はまるでテレビのホームドラマそのもの。小説というよりほんとホームドラマの脚本を読んでいるような感じもする。まあそれよりは物語ぽいけれど。視覚的に想像しやすくてとても読みやすいということはあるけれど、絵では描きにくいような(もしくは行間で読ませるような)微妙な心情とか、時間的なものとか、影とか、そういうものは薄い感じがする。でもそれが全体にハッピーな雰囲気、あたたかな、そう、こたつでテレビを見ているときのような、そんな心地よさを与えてくれるのは確か。

なんせ、ほんわかする本だった。シリーズ化されているので、続きもよもう。

集英社文庫 2008

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北海道3デイズ

ヒラフスキー場から羊蹄山を望む

ヒラフスキー場から羊蹄山を望む

先週末北海道にいってました。今年2度目です。これまで北海道はほとんど行ったことなかったのに、この2年ぐらいよく行かせてもらえるようになってとてもうれしいです。でもほとんど札幌から出たことないのですが(出るのは観光でつい行ってしまう小樽だけ)、今回はヒラフ(まあいうとニセコですね)にも行くことができました。ほんと道内を車で走ったことすらほとんどなかったので、今回は記念すべき初体験でしたw

初日はいろいろ無理言って円山公園のDixie Rouxで鍋とのジョイントライブでした。鍋つつきながら演奏ってどんな状況になるか(以前カニ食べてるみなさんの前で演奏したことあったけど、びっくりするくらい静かでw、あとすごいカニの匂いで参ったw)不安だったし、客足も遅かったのですが、そこはやはり札幌、遅い時間から人が集まりはじめて最終的にはえらくにぎやかな場となりました。やってるこっちもとても楽しかったです。普段ライブを聴きにこようという人だけじゃなくて、近所の方々がふらりと来てくれたり、というのはとても素敵なことで、このお店ではそういうことができるんだなーと思わされました。いい企画なのでまたやりたいなーと思います。でも来年かw

2日目はいよいよsatokoさんと。昼間はイオンモール内の広いスペースにて。こういうのあるんですねぇ。他のイオンでもやってるんでしょうか?イオンに行くことなんてほとんどないので。モールだけれど、広々とまるでホールのような響き(たんにお風呂みたいな状態ではない)の中で、なんだか少し背伸びしたような感じで演奏しました。みんな熱心に聞いてくれて嬉しかったです。なんだか正しい週末の昼時って感じでした。

夜には二度目となる、くぅへ。このお店すごく好きなんですよねぇ。マスター・ママに暖かく迎えてもらって。この夜の南山さんとsatokoさんとの演奏は素晴らしく音楽的な演奏でした。音場がよかった(僕が立った位置がとても聞き取りやすい場所だったよう、偶然)というのが最大の理由のような気がするけれど、3人の演奏への集中力もとてもよかったし、バランスがよかった。そして何より聞いてくださった皆さんが熱心だった、というのがあるように思います。なんかとても満足しました。終わってから半分屋台みたいなところで呑んだのも楽しかったし。

3日目はお昼過ぎに集合して乗り合ってニセコへ。実はタクシー以外で北海道走ること自体も初めてで、札幌を出て小樽辺りを越えるとほんと北国の雰囲気になっていくので、もうただ単に韓国客気分。途中で前回1月に行っておけばよかったなーと思っていた余市も通り(ニッカウヰスキーの工場の前を通ってくれたw)、雪国だけれど信州とは明らかに違う景色を楽しむこと2時間ちょっとぐらいで倶知安に。札幌駅でこの地名見るけど、ここまで来てるのね、いつか電車(いや、汽車か)で来てみたい。そして初めて見る蝦夷富士こと羊蹄山の雄大さにうっとり。そっからもう少し行くと今夜の目的地比羅夫(ヒラフ、字これであってるの?)に到着。ニセコはもう少し向こうなのね。

Half Noteは古いお店らしく、南山さんや今日一緒のベースの本間さんが大学時代に合宿で来ていたそう。なんか、どんなだったか想像できるw。今回はもうオフシーズンに入る手前だったらしく街はだいぶ人が減っていたそうなのだけれど(シーズン中は日本と思えないほど外国の方がたくさんいるそうです。そういえば晩ご飯を食べに入ったラーメン屋さんもほとんど外国人だった。みなさん箸を器用に使う。でもすごい量食べてる)、それでもまだまだ街は雪の中、スキーヤー、ボーダーが沢山いました。なので夜のライブもsatokoさんの知り合いやらペンション(Half NoteはFull Noteというペンションの下にあるのです)に宿泊している人、遊びに呑みに来た人(ピンポンやらダーツやらビリヤード台がある)なんかでにぎわいました。半分ぐらい外国の人だったので英語と日本語まぜまぜのMCでしたが、satokoさんのMCって日本語より英語の方が意味わかりよいかもw(本人もそういう感じらしい)。なんせライブも演奏もよかったし、何より雰囲気よく楽しかったです。そういう呑んだり遊んだりする場なのに、みなさん真剣に聞いてくれて嬉しかったです。

終わってからは泊めてもらった近くのログハウスでだらだらと呑んで、これまた合宿みたいで楽しい夜でした。なかなかこういう機会って持てないですからね、地元でも旅先でも。大の大人が車座になって呑むってのも悪くないです。まあ、ログハウスという環境がさせる技なのかもなのですけど。

明けて次の日は移動だけで飛行機は夕方だったので、ゆっくりと出発して、途中でうわさに聞いていたきのこ汁を食べによったり、また余市に寄ったり(今回も昼飯たべるためだけで、ウヰスキー工場には寄らず、、、、)してのんびり旅路を楽しみました。天気もよく、ドライブ(といっても乗せてもらってるだけでしたが)日和で気持ちよかったです。冬の雪の景色もいいけど、夏とかほんと気持ちいいんだろうなー、いつか来たいなーと思いました。札幌で南山さん、本間さんと分かれてさっさと空港にいって、新千歳空港探検もできたし(めちゃ広い)。さすがに帰宅すると疲れてました。

改めて、この4日間お世話になったみなさん、お会いできた皆さん、お店のみなさん、南山さん、北垣さん、本間さん、そしてsatokoさん、ありがとうでした。とてもいい旅になって、すこしリフレッシュできたような気がします。家では猫どもが拗ねてましたがw。かまたま(黒猫)もいい歳になってきたのであまり長い期間家を空けたりもできないなーとか思いつつ、またどこかへ行きたいです。

PS
ふと気づいたのですが、札幌って静かですよね。街中も地下街もショッピングモールも。ほとんどBGMがかかってない。かかってたしても音が大きくない。だから落ち着いていられるし、何よりも耳がらくちんでした。それも好きな要因の一つなのかも。関西はうるさいもんなぁ。

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ニッカウヰスキー工場。通っただけー

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きのこ王国。キノコ汁がうまい。

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一応時計台も見に。通っただけー

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白い恋人の整地!通っただけー

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余市でたべたかに飯&かにの鉄砲汁、旨すぎ!

宵野ゆめ – 宿命の宝冠(グイン・サーガ外伝25)

栗本さんがいなくなってからのグイン・サーガ・シリーズの3冊目、外伝25。今回の舞台は沿海州の花と歌われる美しい王国レンティア。そこへ急ぐパロからの留学生タムが出会った人物は碧い瞳をもつ不思議な人物だった。この人物がレンティアを訪れた理由とは?タムが巻き込まれた犯罪とそれを助けた絵描きにより、その謎の人物は死んだと思われていたが実は密かに出奔していた王国の王女であった。彼女がもどったのは女王、つまり彼女の母の死。しかしこの死には不可解な点もあり、次の王を選ぶ争いなど、国を挙げる騒動に発展して行く。

宵野さんの本は初めてだけれど、そしてグインを描くのは初めてだそうだけれど、いままで読んで3冊の中で、これが一番栗本ワールドに近い雰囲気があるような気がする。題材がそうなったからだからかもしれないけれど、明るい表向きの裏に潜む、魔導や、大いなる歴史、そこに隠された謎/秘密、などなど、昏い部分の描かれ方というか存在する感じが、もしかすると僕の好きな栗本ワールドに似てるから、なのかも。久々に、冒険とか謎とか秘密といったような言葉から連想される雰囲気を味わってわくわくした。洞窟とか好きなのかなぁ。

最後まで展開を読ませない話運びにも関心。宵野さん、もっと書いてくれないかなー。

ハヤカワ文庫 2013

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