奥田英朗 – 町長選挙

奥田さんもだいぶ久しぶり。この本はシリーズにもなってるヘンテコ精神科医の伊良部一郎の第三弾。今回もヘンテコぶりを発揮して周囲を困らせているけれど、この人分かってやってんだかどうなんだか。

大手新聞会社のワンマンで人気野球チームのオーナーでもある男が恐れる闇「オーナー」、ITにより時代の寵児となった男が物忘れに頓着しない「アンポンマン」、歳をとっても若い姿でいようと努力しすぎる女優「カリスマ稼業」、そして表題作でもある孤島を二分する選挙に引き裂かれる男「町長選挙」の4つの短編。

伊良部の何を考えてるのか分からないところ、計算で動いてるのでもなさそうなのにたまにすごく的確な指摘をするところなんかが相変わらずとても面白い。4編のうち最初の2編についてはもう、あの人のことよね、とはっきりわかるモデルが現実にいる。実際描かれているように世間から(もっとも僕たちはメディアを通してしか知り得ないけど)見られてる/見えているけれど、それを本人視点から描いてるのが面白いし、もしかしたらこのお話したちのように悩んでるかもしれないし、話そのものも面白さもあるけれど、彼らはどう思ってるんだろうとか考えさせられて、奥田さんそこが狙いなのか?と深読みしてしまう。

表題作でもある「町長選挙」、ぱっと読むと非常に異常な感じを受ける(前時代的というか、関西の昔のあかん感じ)のだけれど、結局はそこに見える表面的なことではなくて、住民たちがほんとに思ってること、それをうまく描いてるなーと思う。そんなバカな!的な展開をするけれど、そこにはもう僕たちが忘れてしまったことや体験することなく過ぎ去ってしまった、村的ないいところ、そういうところを思い出したりかいま見せてくれたりする。

どの話もそうだけれど、話の主人公たちそのものよりも、人と人との関係によって社会は成り立ってるし、そういうのがないのは寂しいよ、と言われてるような気がする。

面白かった!

文集文庫 2009

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萩原浩 – さよなら、そしてこんにちは

久しぶりに読む萩原さん。裏表紙のあらすじを読んで面白そうだなーと思ったので手に取った本。7つの短編からなる。

もうすぐ子供が産まれる葬儀社に勤める中堅社員「さよなら、そしてこんにちは」、父親の長年の願いだった田舎暮らしを実現した家族だったが「ビューティフルライフ」、日々のテレビ番組に振り回されるスーパーの売れない売り場の責任者「スーパーマンの憂鬱」、子供番組のヒーローに恋してしまった母親「美獣戦隊ナイトレンジャー」、頑固な寿司屋にやってきた謎の男「寿し辰のいちばん長い日」、ひょんなことから売れっ子になってしまったイタリア料理好きの主婦「スローライフ」、坊主が娘の仏の間に板挟み「長福寺のメリークリスマス」。

どの話も主人公がちょっと変わっているというか、頑固というか、融通が利かないというか、どじくさいというか、普通の人々でまじめに生きているのに、そのまっすぐさ加減が滑稽に映ってしまう、面白い人たちを描く。その滑稽さに笑みがこぼれてしまうのだけれど、ふと考えると自分もきっとこういう部分があるんだろうな、人から滑稽に見えるほど必死になってるところとかあるんだろうな、と恥ずかしかったり、でも嫌でもなかったり、不思議な感情が浮かぶ。

で、どの話も思い切りハッピーでもバッドでもなく、うん、そんなもんよねぇ、的な終わり方をするので、物足りない感じもするのだけれど、それがまたいいところなのかも。昔話を思い出して、ふっ、と笑うような。

すすっと読めてよかった。でももう少しぎゅっとしててもよかったかも。

光文社文庫 2010

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小路幸也 – 東京バンドワゴン

初めて読む小路さん。そもそもこの本を手に取ったのは昨年だかに「東京バンドワゴン」というテレビドラマがあり、MITCHのブラスバンドでそのなかで使われる挿入曲をレコーディングしたから。そのとき面白いタイトルだなー、なにかバンドがワゴンに乗ってわいわい上京していくようなロードムービー的なものなのかな?と思っていた(つまりドラマは見ていない)。

で、本を開いてみると、バンド的な話ではなくて大家族のホームドラマだった(伝説のロッカーの父親ってのがいるけど)。これが小気味よくてテンポもよくて楽しい。もともと大家族的なものに憧れなんかもあったのもあるからだと思うけど、ちょっと事情ある家族だけど一つ屋根の下で仲良く暮らしていて、ちょっとしたさざ波が立つようなことがあっても家長(ここでは先代)の元で協力して解決していく、こんな話は単純に好き。

東京バンドワゴンは東京のとある下町にある古本屋さん。古本屋といってもちゃんとした古書も扱う本屋さん。そしてそれに併設されたカフェ。近所の人たちからも慕われるこのお店には、3代目でまだまだ現役の勘一、そしてその息子でふらふらして何もしない伝説のロッカー我南人(がなと)、その娘で未婚の母・藍子、学者肌の長男・紺、愛人の子だという次男・青、藍子の娘・花陽、そして紺のよくできた奥さん・亜美とその息子・研人という8人家族が住んでいる。

そこへ近所の子供からご隠居までが出入りしいろんな問題や謎が発生する。毎朝百科事典をこっそりもってくる女の子、いきなり家に上がり込んで来た古書好きの女性、預けた本が行方不明に、などなど。そんなものごとを家族や近所の人などで解決して行くのも楽しく、なんかほんわかあったかくていい。そこにはいま失われていっているという言われる、近所の人とのふれあい・親しさ、なんてものが濃厚にある。近所の小料理屋に親父たちが集まったりするの、とか。

本の語り部を3代目勘一の亡き妻サチが務める形になってる。読んで行くとわかるけれど、この本はまるでテレビのホームドラマそのもの。小説というよりほんとホームドラマの脚本を読んでいるような感じもする。まあそれよりは物語ぽいけれど。視覚的に想像しやすくてとても読みやすいということはあるけれど、絵では描きにくいような(もしくは行間で読ませるような)微妙な心情とか、時間的なものとか、影とか、そういうものは薄い感じがする。でもそれが全体にハッピーな雰囲気、あたたかな、そう、こたつでテレビを見ているときのような、そんな心地よさを与えてくれるのは確か。

なんせ、ほんわかする本だった。シリーズ化されているので、続きもよもう。

集英社文庫 2008

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北海道3デイズ

ヒラフスキー場から羊蹄山を望む
ヒラフスキー場から羊蹄山を望む

先週末北海道にいってました。今年2度目です。これまで北海道はほとんど行ったことなかったのに、この2年ぐらいよく行かせてもらえるようになってとてもうれしいです。でもほとんど札幌から出たことないのですが(出るのは観光でつい行ってしまう小樽だけ)、今回はヒラフ(まあいうとニセコですね)にも行くことができました。ほんと道内を車で走ったことすらほとんどなかったので、今回は記念すべき初体験でしたw

初日はいろいろ無理言って円山公園のDixie Rouxで鍋とのジョイントライブでした。鍋つつきながら演奏ってどんな状況になるか(以前カニ食べてるみなさんの前で演奏したことあったけど、びっくりするくらい静かでw、あとすごいカニの匂いで参ったw)不安だったし、客足も遅かったのですが、そこはやはり札幌、遅い時間から人が集まりはじめて最終的にはえらくにぎやかな場となりました。やってるこっちもとても楽しかったです。普段ライブを聴きにこようという人だけじゃなくて、近所の方々がふらりと来てくれたり、というのはとても素敵なことで、このお店ではそういうことができるんだなーと思わされました。いい企画なのでまたやりたいなーと思います。でも来年かw

2日目はいよいよsatokoさんと。昼間はイオンモール内の広いスペースにて。こういうのあるんですねぇ。他のイオンでもやってるんでしょうか?イオンに行くことなんてほとんどないので。モールだけれど、広々とまるでホールのような響き(たんにお風呂みたいな状態ではない)の中で、なんだか少し背伸びしたような感じで演奏しました。みんな熱心に聞いてくれて嬉しかったです。なんだか正しい週末の昼時って感じでした。

夜には二度目となる、くぅへ。このお店すごく好きなんですよねぇ。マスター・ママに暖かく迎えてもらって。この夜の南山さんとsatokoさんとの演奏は素晴らしく音楽的な演奏でした。音場がよかった(僕が立った位置がとても聞き取りやすい場所だったよう、偶然)というのが最大の理由のような気がするけれど、3人の演奏への集中力もとてもよかったし、バランスがよかった。そして何より聞いてくださった皆さんが熱心だった、というのがあるように思います。なんかとても満足しました。終わってから半分屋台みたいなところで呑んだのも楽しかったし。

3日目はお昼過ぎに集合して乗り合ってニセコへ。実はタクシー以外で北海道走ること自体も初めてで、札幌を出て小樽辺りを越えるとほんと北国の雰囲気になっていくので、もうただ単に韓国客気分。途中で前回1月に行っておけばよかったなーと思っていた余市も通り(ニッカウヰスキーの工場の前を通ってくれたw)、雪国だけれど信州とは明らかに違う景色を楽しむこと2時間ちょっとぐらいで倶知安に。札幌駅でこの地名見るけど、ここまで来てるのね、いつか電車(いや、汽車か)で来てみたい。そして初めて見る蝦夷富士こと羊蹄山の雄大さにうっとり。そっからもう少し行くと今夜の目的地比羅夫(ヒラフ、字これであってるの?)に到着。ニセコはもう少し向こうなのね。

Half Noteは古いお店らしく、南山さんや今日一緒のベースの本間さんが大学時代に合宿で来ていたそう。なんか、どんなだったか想像できるw。今回はもうオフシーズンに入る手前だったらしく街はだいぶ人が減っていたそうなのだけれど(シーズン中は日本と思えないほど外国の方がたくさんいるそうです。そういえば晩ご飯を食べに入ったラーメン屋さんもほとんど外国人だった。みなさん箸を器用に使う。でもすごい量食べてる)、それでもまだまだ街は雪の中、スキーヤー、ボーダーが沢山いました。なので夜のライブもsatokoさんの知り合いやらペンション(Half NoteはFull Noteというペンションの下にあるのです)に宿泊している人、遊びに呑みに来た人(ピンポンやらダーツやらビリヤード台がある)なんかでにぎわいました。半分ぐらい外国の人だったので英語と日本語まぜまぜのMCでしたが、satokoさんのMCって日本語より英語の方が意味わかりよいかもw(本人もそういう感じらしい)。なんせライブも演奏もよかったし、何より雰囲気よく楽しかったです。そういう呑んだり遊んだりする場なのに、みなさん真剣に聞いてくれて嬉しかったです。

終わってからは泊めてもらった近くのログハウスでだらだらと呑んで、これまた合宿みたいで楽しい夜でした。なかなかこういう機会って持てないですからね、地元でも旅先でも。大の大人が車座になって呑むってのも悪くないです。まあ、ログハウスという環境がさせる技なのかもなのですけど。

明けて次の日は移動だけで飛行機は夕方だったので、ゆっくりと出発して、途中でうわさに聞いていたきのこ汁を食べによったり、また余市に寄ったり(今回も昼飯たべるためだけで、ウヰスキー工場には寄らず、、、、)してのんびり旅路を楽しみました。天気もよく、ドライブ(といっても乗せてもらってるだけでしたが)日和で気持ちよかったです。冬の雪の景色もいいけど、夏とかほんと気持ちいいんだろうなー、いつか来たいなーと思いました。札幌で南山さん、本間さんと分かれてさっさと空港にいって、新千歳空港探検もできたし(めちゃ広い)。さすがに帰宅すると疲れてました。

改めて、この4日間お世話になったみなさん、お会いできた皆さん、お店のみなさん、南山さん、北垣さん、本間さん、そしてsatokoさん、ありがとうでした。とてもいい旅になって、すこしリフレッシュできたような気がします。家では猫どもが拗ねてましたがw。かまたま(黒猫)もいい歳になってきたのであまり長い期間家を空けたりもできないなーとか思いつつ、またどこかへ行きたいです。

PS
ふと気づいたのですが、札幌って静かですよね。街中も地下街もショッピングモールも。ほとんどBGMがかかってない。かかってたしても音が大きくない。だから落ち着いていられるし、何よりも耳がらくちんでした。それも好きな要因の一つなのかも。関西はうるさいもんなぁ。

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ニッカウヰスキー工場。通っただけー

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きのこ王国。キノコ汁がうまい。

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一応時計台も見に。通っただけー
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白い恋人の整地!通っただけー
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余市でたべたかに飯&かにの鉄砲汁、旨すぎ!

宵野ゆめ – 宿命の宝冠(グイン・サーガ外伝25)

栗本さんがいなくなってからのグイン・サーガ・シリーズの3冊目、外伝25。今回の舞台は沿海州の花と歌われる美しい王国レンティア。そこへ急ぐパロからの留学生タムが出会った人物は碧い瞳をもつ不思議な人物だった。この人物がレンティアを訪れた理由とは?タムが巻き込まれた犯罪とそれを助けた絵描きにより、その謎の人物は死んだと思われていたが実は密かに出奔していた王国の王女であった。彼女がもどったのは女王、つまり彼女の母の死。しかしこの死には不可解な点もあり、次の王を選ぶ争いなど、国を挙げる騒動に発展して行く。

宵野さんの本は初めてだけれど、そしてグインを描くのは初めてだそうだけれど、いままで読んで3冊の中で、これが一番栗本ワールドに近い雰囲気があるような気がする。題材がそうなったからだからかもしれないけれど、明るい表向きの裏に潜む、魔導や、大いなる歴史、そこに隠された謎/秘密、などなど、昏い部分の描かれ方というか存在する感じが、もしかすると僕の好きな栗本ワールドに似てるから、なのかも。久々に、冒険とか謎とか秘密といったような言葉から連想される雰囲気を味わってわくわくした。洞窟とか好きなのかなぁ。

最後まで展開を読ませない話運びにも関心。宵野さん、もっと書いてくれないかなー。

ハヤカワ文庫 2013

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4年て何日ですか?

20150311

誰だって忙しい。やりたいことも、やらなければならないこともたくさんあるのは分かってる。でも、たった1分でいいから、想像して欲しい。いま、まさにいま、同じ時間をそう遠くないところで寂しい思いをして過ごしている人が少なくなくいるってこと。ちょっとぐらいいいじゃない、仕事さぼったって、何かを中断したって。今でなくてもいいから。今日という日のどこかであれば。今日でなければ意味をなさないことがあるんだから。

もしそんなこともできないというのなら、許されないというのなら、なんて貧しい心だろう、なんて貧しい国なんだろう。大切なことを忘れてさせてしまったそんな国はいずれ崩壊してしまうだろう。何か難しことをしろと言ってるわけじゃない。別に何かを背負えってっ言ってるわけじゃないし、分かち合わなければと言ってるわけでもない。そんなことできっこない。どんな物事もそれを経験した人以上に感じることなんてできない。立場を入れ替えたとしても、それが何かの解決になるわけでもない。ただ単純に、まっすぐ、思いやりたい。いや、やりたい、という言葉が違うなら、そう、思いを寄せてあげたい。具体的に、物理的な何かの行動をできなくても、そうやって思いを寄せることでできることはきっとある。それで心安らぐことがあると信じてる。自分が傷ついているとき、手を差し伸べられなくとも、どこかで祈っている人がいるってことを、見てくれてる人がいるってことを、感じられたら、少しは気持ちが楽になるんじゃない?

だからちょっとだけでいいから想像してみて。あなたが、ある日突然「今住んでいるこの家を出てください。手に持てる分だけ荷物もって。さあ早く!」といわれて、知らない土地にある四畳半のアパートに連れて行かれる。周りは知らない人ばかりだし、便利なところでもない。そこで4年いつづけるってこと。そしてそれがいつ終わるかわからないってこと。もともと住んでたの家はあるのに。

または、住んでいた町が綺麗になにもなくなって、そこに新しい街を作ろうとしている。でもその土地へ戻るのにまだ2年も3年もかかりそうだ、もう4年も待ったのに。それに、たとえ戻れたとしても親しかった隣の人が戻ってくるとは限らない。住み慣れていたはずの街が違う街に見えてしまうかもしれないという不安。

もっと想像してみて。いまのあなたなら、そんなことたいしたことない、耐えてみせる、打破してみせると思えたとしても、いまあなたが70歳だったら?80歳だったら?歩くことが心許ない立場だったら?

ぼくたちは明日という日を信じられるから、今を楽しんでいられる。どこかに自分にとっての拠り所が、帰る場所が、戻る部屋がある、という幸せがある。それは誰もがもてるはずのもの。この国では、この間までは。でも、明日がどうなるのかわからない、いくらか先になれば陽がさすようになるかどうかもわからない。そんな先が見えない中での、仮の住まい、仮の仕事、仮の姿。「仮」だらけのそんな足元不安定な状態が4年続いて、自分ではどうしようもない状態って、どんなだろう。そういうとき助けになるはずの国は、自治体はなにしてるんだろう。国って、自治体って、誰?

被災地の現場はみんな、とても一生懸命にやってる。頑張ってる。それは知ってる。なんとか早くこの状態を改善/解決しようと必死になってる、と思う。とても困難な場所での仕事も進めてる。でも、現場はそうでも、その舵取りするところがバカだったら?教えられた話と、書かれた数字だけで物事判断してたら?ましてや自分の損得だけで動いてたら?砂場でお城つくるのにショベルカー買ってきて、それで土砂積み上げて「いい感じでしょう?」とか言ってたら?

国は復興を加速するんだというよくわからない台詞を吐く。加速したら復興するものなの?きみたちが復興といっているものは見える形があるものだけなのか?それでもいいから加速するというなら、東京でやるとかいってる何かの大きなイベントに割いてる力をもっと向けるべきじゃないの?というか順番間違ってるんじゃない?いやいや、復興あっての国の成長、国の成長なくして復興なしでしょう、経済あっての復興でしょう、というかもしれない。そりゃぼくたちは国が築いたシステムの中で暮らして行けてる。でも国を形作っているのはシステムじゃない、人間と土地でしょ?システムを維持するためだけのシステムというのは結局誰も救えない。でもそうなってきてるように見えるのは僕だけ?

きっとみんなで、なんとなく効率よく、都合良く、つぎはぎだらけでもなんとか機能してるシステムをあまりに大きく育ててしまったがために、それを操作してる/されてる人間はそのシステムの末端がどうなってるか見えない/見なくてもいい、と思ってるんだろう。あと、ネットとか一見便利そうなツールが与えられたおかげで、そこを覗けば何でも見て知ることができると勘違いしてるんだろう。肝心なことはあんな小さなモニタ越しには伝わってこない、そんな当たり前のことも忘れるほど。

だから、今日だけでもいいから、そんな色眼鏡は外して、普通に当たり前の感覚になって、手を休めて、モニタから顔を上げて、窓を開けて、遠い空を眺めて。復興とかに関わって大きな仕事してる人でも、勉強中の人でも、ぜんぜん関係なく夕飯を作ってる人でも、なんでも誰でもいい。ちょっと想像する。それで救われることはあるし、ちょっとはまともな方向に向くかもしれないから。そう信じてるから。

4年て何日ですか?何回ご飯食べましたか?何回笑いましたか?何回泣きましたか?何度家のドアを開けましたか?知人の子供はどれくらい大きくなりましたか?あなたはどれくらい変化しましたか?

4年て何日ですか?

マイスティース ワンマン!

20150302-1
WWWでのリハの一コマ

 

2010/4/17にラストライブをして活動を休止した(解散した)THE MICETEETHでしたが、去年イベントに立て続けに誘われたこともあって、再結成・再始動することになりました(ライブをやってみたらやっぱりすごく楽しかった)。そして待ちに待ったワンマンが先月21日大阪Shangri-La、28日東京渋谷WWWでありました。ご来場いただいたみなさん、協力してくださったスタッフやホールのみなさん、本当にありがとうございました!どうなるんだろうとドキドキする中で迎えたワンマンライブでしたが、いい音を届けられたのではないかと思っています。終わって2日ほど経って、あれはほんとにあったのかなとかまで思ってしまうほど、あっという間の時間だったのですが、いろんな方面から感想を聞かせてもらったりして、ああ、ちゃんとやったのね、夢じゃなかったのね、と思ってる今です。

ワンマンライブは再結成後のイベントへの出演など当然全然違うものなので、時間をかけて結構がっつりリハーサルをしたり、ライブ当日の準備もいろいろして迎えたので、まあ普通にやればいいライブができるとは思ってたのですが(いままでの積み重ねもあるし)、やっぱりあまりにも久しぶりなので、一体お客さんたちとどういう風に顔を合わせたらいいんだろうか?とかいらん心配してしまったりしてました。それにShangri-Laは2010年のラストライブをやった場所なので、自分が一体どんな気持ちになるんやろ?などとも思ったり。実際リハーサルを終えて懐かしい楽屋にいるとタイムスリップしてしまってラストライブがついこないだのことのように、いやいややはりずいぶん前のことだったように思えたりなど、いろんな感情が浮かんでは消え、していました。

そして、開演時間になって上がったステージ。まだ照明が点いてない暗い会場から沸き上がる歓声と熱気がすごくて「ああ、このバンドを待ってた人がほんとたくさんいたんだな」ととても強く感じさせられました。前だったら危うくこれで涙ちょちょぎれたりしたんですがw。Please Please Take Me Downからスタートしたライブは最初はバンドも少し緊張気味だったような気もするけれど、徐々に会場の熱気になじんで、いいグルーブ感が出て、ああマイスティースのライブやなーという感じになっていきました。途中ぼくらホーン隊がちょっと抜けるシーンではステージ横や楽屋のモニタから会場の様子がよくわかって、やってる側なのに見ている側のように嬉しくなってしまいました。自分も長い間これ待ってたんだなーと。

大阪では鏡割りがあったり(最初のライブということでお祝いに)もして2時間半くらいの熱演(と、ぐだぐだした空気w)でした。最後までもう楽しくて仕方なかったです。懐かしい人たちもたくさん会えたし。

ストイックなことに実はライブの次の日もリハーサルをして(メンバーがまだ大阪にみんないる、というのが大きな理由だけど)、一週間後には渋谷WWWでのライブ。実はその一週間の間、大阪での録音を聴いたりしていろいろ反省したり(やっぱりちょっとは舞い上がってる状態なので、やってるときには気づかなかったことがいろいろある)、もっとやりやすい環境作りや、特に僕の場合はホーンセクションがもっといい音で伝わるようにはどうしたらいいか?なんてことを考えたりしてました。というのもWWWはもと映画館でライブのハコとはずいぶん音の感じが違うらしいって話も聞いていたので(もちろん初めて出るところですし)。

28日、渋谷WWWへ着いた後はそういう部分などを結構時間をかけてリハーサルして、あれよあれよという間に開演時間に。この日のライブを終えてしまうとしばらくはこういう時間がないのかと思うと、まだ始まって欲しくないよーというような複雑な気分に。こんなときでなくてもマイスティースのときはいつもこういう気分になってしまうんですがw。

そして上がったステージ。映画館だったこともあって会場全体がよく見渡せたのですが、こっちからも(きっと)向こうからもよく見えるのでなんだかちょっと照れちゃう感じでした。それもあったのかおとなしい感じでライブがスタート(いや決して演奏がおとなしい感じじゃなかったんですよ)したけれど、次ちゃんが「探ってないですか、お互い?w」ってMCしてぐっと距離が近づいた感じに。大阪ってわりと呑んで騒いでナンボって感じが強いのですが、東京は逃さず聴きたい!という感じが強いようで、「もしかして盛り上がってないの?」的な心配をしてしまいそうだったけど、あとから聞いた話ではとても盛り上がってたそうでよかったです。なんかその熱気が伝わりにくい感じなのか、僕自身が割とクールにというか落ち着いてやろうとしてたからかもしれないけれど。会場の音の感じが透明で(とてもやりやすい環境に仕上がってた。ホールっぽいといえば近いかも)、あのライブハウス特有のぐちゃぐちゃ感が少なかったからそう思ったのかもですねぇ。

なんせあっという間のステージでした。大阪より短く感じました。いい音を届けようと集中したのもあったけど、やっぱりとてもとても楽しかった、観て聴いてくれてる人たちの笑顔がほんと嬉しかった(ほんとよく見えてたんですよ、後ろまで)からです。アンコール終わって、楽屋でみんなで握手して回ってるときに、やったった感とともに、ああもう終わっちゃった、寂しいなぁ、とひしひし感じました。

ワンマンを終えて思いますが、やっぱりマイスティースの音楽ってほんといいし、それを大事に演奏していきたいし、それを待っていて受け入れてくれる人が本当に沢山いる、そんな状態がとても幸せです。こういう時間が再びやってきたこと/持たせてくれたことにほんと感謝します。次ちゃんも言ってたように、これからまた頑張ってやっていきますし、バンドもまだまだ成長させるし、やってみたい新しいことも沢山あるので、さらに新しい音を届けていくつもりです。もっとたくさんの人に聴いてもらいたいです、ライブも音源も。なので、みなさん、ほんとよろしくお願いします。またライブでお会いしましょう!ありがとう。

まずは興奮さめないうちに今の気持ち書き留めておきました。おまけ↓

2010-2015
2015年と2010年、同じ場所で。変わってない?変わってる?

 

2015.3月のスケジュール

<table border="0" width="100%">
<tbody>
<tr>
<td>&lt; <a href="http://tsutomutakei.jp/schedule/2015-2/">2015.2</a></td>
<td id="" dir="" lang="" scope="" align="right" valign=""><a href="http://tsutomutakei.jp/schedule/2015-4/">2015.4</a> &gt;</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<a href="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/th_DSC_2702.jpg"><img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/th_DSC_2702.jpg" alt="201502" width="570" height="852" class="aligncenter wp-image-7020" /></a>

※先の予定は随時変更されることがあります。

<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/3(Tue) たけタケ
愛媛 松山 J<a href="http://jazz-gretsch.com" target="_blank">azz In Gretsch</a> 089-941-6054
19:30- \2,500
[メ] 清水武志(Pf)、武井努(Sax)
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/5(Thu) Funky Sax Night
大阪 梅田 <a href="http://azul-umeda.com" target="_blank">Azul</a> 06-6373-0220
19:00- \1,500
[メ] 武井努(Sax)、足立知謙(Pf)、TAKU(Gt) from 韻シスト、土本浩司(B)、TAROW-ONE(Ds) from 韻シスト
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/6(Fri) 3days JAZZ フェス
大阪 <a href="http://abenoharukas.d-kintetsu.co.jp">あべのハルカス近鉄本店</a> 06-6624-1111
12:30- / 14:00- 入場無料
[メ] 武井努(Sax)、時安吉宏(B)、名倉学(Pf)、小柳淳子(Vo)
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/6(Fri) 武井・馬田DUO
西宮 <a href="http://www.three-codes.com" target="_blank">Three Codes</a> 0798-55-5184
19:30~ \1,500 (つけだし\500)
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/7(Sat) 22th Kobe Modern Jazz Club
■ Plays Sting
神戸 三宮 <a href="http://www.zhonghua-huiguan.com" target="_blank">中華会舘</a>(東亜ホール)7F 078-392-2711
16:00 Open / 17:00 Start
\1,000(当日券はありません)
[出演] 石川翔太(Conduct,Arr,Fl,A-Fl)、鈴木孝紀(Cl,B-Cl,As)、武井努(Ts,Ss,Cl)、柏谷淳(As,Bs)、岩本敦(Tp,Flg)、祖田修(p)、石橋敬一(b、引田裕路(ds)
[チケット] Jazz&amp;Coffee VOICE 078-334-3668

<a href="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/10911347_630362813735249_3548779189894765447_o.jpg"><img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/10911347_630362813735249_3548779189894765447_o-300×212.jpg" alt="20150307" width="300" height="212" class="alignnone size-medium wp-image-6354" /></a>
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/12(Thu) 中島教秀・武井DUO
兵庫 尼崎 <a href="http://jammer-jazz.com" target="_blank">JAMMER</a> 06-7177-7501
20:00〜 カンパ制
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/13(Fri) 武井&Friends
■ JAZZ 鍋 JOINT
北海道 札幌 <a href="http://www.dixie-roux.com" target="_blank">Dixie Roux</a> 011-688-8077 (南2条西27丁目)
Open 18:00 / Live Start 19:30
Charge 前\3,000- / 当\3,500-
[JAZZ ACT] 武井努(Sax)、南山雅樹(Pf)、北垣響(B) &amp; Special Guest?!
[鍋メニュー] 春野菜と鶏・豚・羊のしゃぶしゃぶ鍋 / 海鮮オイスターミルクチャウダー鍋
無くなるまで食べ放題。早めに来て思う存分鍋とジャズをお楽しみください!
当日は鍋にあうスペシャルドリンクもご用意しています。
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/14(Sat) satoko
<a href="http://www.aeon.jp/sc/sapporohassamu/event/">インストアイベント</a>
北海道 札幌 発寒 イオンモール札幌発寒 1階すずらん広場
13:00 / 15:00 入場無料
[メ] satoko(Vo)、南山雅樹(pf)、本間洋佑(B)、武井努(Sax)
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/14(Sat) satoko
北海道 札幌 <a href="http://www.sapporo-coo.com" target="_blank">くう Coo</a> 011-616-7713
18:30 Open / 19:00 Start
当\3,000 / 予約\2,500
[メ] satoko(Vo)、南山雅樹(pf)、本間洋佑(B)、武井努(Sax)
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/15(Sun) satoko
北海道 ニセコひらふ <a href="http://www.nisekohalfnote.com/index_ja.html" target="_blank">Half Note</a> 0136-23-2727(ペンションブルーノート地下)
20:30 Start チャージ無料(要2ドリンク以上)
[メ] satoko(Vo)、南山雅樹(pf)、本間洋佑(B)、武井努(Sax)
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/18(Wed) MITCH
大阪 梅田 <a href="http://www.newsuntory5.jp" target="_blank">ニューサントリー5</a> 06-6312-8912
Start 19:30 \1,800
[メ]MITCH(Tp,Vo)、武井努(Sax)、時安吉宏(B)、永田充康(Ds) ほか
<img src="http://tsutomutakei.jp/wp-content/uploads/line.jpg" alt="line" width="550" height="1" />
3/19(Thu) We Are SOUL FEVER!
大阪 北新地 <a href="http://www.misterkellys.co.jp" target="_blank">Mr. Kelly’s</a> 06-6342-5821
19:30〜 前\4,200 / 当\4,500
[メ]松田一志(Vo)、東原力哉(D) from NANIWA EXP、西田まこと(G)、村瀬正樹(Key)、羽田北斗(B)、 武井努(Sax)、堂地誠人(Sax)、横尾昌二郎(Tp)、江崎愛(Cho)、岩田サオリ(Cho)
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3/20(Fri) Shu
大阪 梅田 <a href="http://flatflamingo.jimdo.com" target="_blank">Flat Flamingo</a> 070-5341-2540(渡邊)
20:00〜
[メ] Shu(Vo)、太田和麻(Pf)、武井努(Sax)
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3/21(Sat) 中島・武井Duo
豊中 <a href="http://www42.tok2.com/home/gastou/" target="_blank">我巣灯</a> 06-6848-3608
19:00- 2,000
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
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3/27(Fri) E.D.F.
大阪 桃谷 <a href="http://www.ms-hall.com" target="_blank">M’s Hall</a> 06-6771-2541
20:00~ 1,800
[メ]清水武志(p)、武井努(Sax)、田中洋一(Tp)、西川サトシ(B)、光田じん(Ds)
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3/29(Sun) 仁川ファイト倶楽部セッション#5
宝塚 仁川駅前 <a href="http://salala.kul-site.com" target="_blank">さらら仁川</a> 北館3F 音楽スタジオ
14:00〜20:00 参加費\500
※どなたでも参加できるジャムセッションです。特定のホストバンドはありません。ですので積極的に自由に演奏に参加してもらえる場になればと思います。ぜひぜひ奮ってご参加を。
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3/30(Mon) 武井・馬田DUO
寝屋川 萱島 OTO屋 080-6126-1529
20:00~ 2,500
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)
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3/31(Tue) 荒崎英一郎Big Band
神戸 三宮 <a href="http://www.geocities.jp/kbigapple/" target="_blank">Big Apple</a> 078-251-7049
19:00~ 前\2,000 / 当\2,300
[メ]荒崎英一郎(Ts)、武井努(Ts)、浅井良将(As)、落合智子(Bs)、ジェームズ・バレット、横尾昌二郎(Tp)、幸明男、太田健介(Tb)、 藤山龍一(Gt)、金丸精志(Pf)、中嶋明彦(B)、岡野正典(Ds)
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