Very Shippolly全国発売開始しました

veryshippolly

Ensemble Shippollyは先月のレコ発ツアーを終えて一段落しているところなのですが、ついにこの記念すべきファーストアルバム「Very Shippolly」が全国発売されました。CDショップの店頭やセレクトショップ、カフェなどの店頭にあるところもあるはずですが、まだぼく自身は確認していません。ネット通販関連ではもう購入いただけますよ。

ツアーやライブ会場などですでに購入いただいて、聴いていただけた方もいらっしゃると思いますが、景色のある、ゆったり聴けるような、その名の通りしっぽりしたアルバムだと好評いただいています。ぜひぜひ、たくさんの方にこの音源を聴いていただきたいですし、我々をもっと知ってもらいたいです。音楽の場だけでなく、アートや、街、映画や映像などなど、いろんなシーンとの共演の可能性を秘めていると思っています。

購入は 楽天AmazonHMVDISK UNIONTower Record 等からお願いします。

収録されている曲からサンプルにスマイル(武井作曲)をどうぞ。

アルバムについては以下をどうぞ。
ーー
Very Shippolly / Ensemble Shippolly

ピアニスト・作曲家の西島芳率いる「アンサンブル・シッポリィ」第一弾。斬新かつメロディアスに、3つの管楽器と声、ピアノが重ねる息づかいをDCシステムで収録。

管の響き、弦の振動、声、息など様々な音を重ね、即興的な要素を取り入れて表現するその音楽は、前衛的な一面を持ちつつも、メロディアスで骨組みのしっかりした楽曲、ピアノという大器に支えられ、驚くほど耳にすっと馴染むものになっている。落ち着き、安心感、親密さ、高揚;まさに京都弁でいう「しっぽり」とした雰囲気を醸し出している。

リーダー西島芳はデビュー作「王様の足許に跪く女」、スウェーデンで録音した「White In Dark」に並び、情景の浮かぶような楽曲を書き下ろしている。主翼メンバーには、関西を拠点にジャンルも地域も縦横無尽に活躍する武井努、ジャズのエッセンスを巧みに取り入れ歌い上げる中山雄貴、即興演奏家としての才覚が芳垣安洋ほか欧州のミュージシャンからも認められる有本羅人。

2015年より活動を開始、時にヴィジュアル・アートや他の楽器のゲストを迎えながら、満を持しての録音。管楽器の響きのよさで定評のある兵庫県加東市コスミックホールにて、五島昭彦による’金田式バランス電流伝送DC録音 システム’を採用し、息づかいやアンサンブルの機微までを生け録りにした作品に仕上がっている。

[収録曲]
1. A Year Goes By (Kaori Nishijima)
2. Ships Confidential Return Home (Kaori Nishijima)
3. 七夕 (Kaori Nishijima)
4. スマイル (Tsutomu Takei)
5. Summertime (Du Bose Heyward / George Gershwin)
6. Bran New Cubic (Kaori Nishijima)
7. 手紙 (Yunaka Kouta/Rabito Arimoto)

[メンバー]
西島 芳 Kaori Nishijima (piano,voice)
武井 努 Tsutomu Takei (tenor&soprano saxophone,clarinet,flute)
中山雄貴Yuki Nakayama (trombone)
有本羅人Rabito Arimoto (trumpet, flugelhorn, bass clarinet)

[クレジット等]
Produced by Kaori Nishijima
Recorded at Cosmic Hall, 3&4 July 2017
Recorded,mixed,Mastered by Akihiko Goto
Piano Tuning by Yuko Suzuki
Art Works by Kazumi Ozaki
Photo by Yosuke Mukai
Art Direction by Wild Pitch

[Facebook]
https://www.facebook.com/ensembleshippolly/

2018.3月のスケジュール

2018.2 2018.4 >

201803

※先の予定は随時変更されることがあります。

line
3/1(Thu) ジモティーズ
西宮 Three Codes 0798-55-5184
19:30- \2,000
[メ] 武井努(Sax)、阪本正明(Gt)
line
3/3(Sat) 神大Jazz現役&OBオープンジャムセッション
神戸 元町 cafe 萬屋宗兵衛 078-332-1963
Start 19:00 学生・一般\500 / 社会人参加者\1.000
[ゲスト]武井努(Sax) 他
line
3/4(Sun) THE MICETEETH
SunnySideKitchen 2nd Anniversary Party
静岡 BLUE NOTE 1988 054-253-6555
(静岡県静岡市葵区常盤町1-5-3 パレスビル5F)
OPEN 18:30 / START 19:30
[LIVE] THE MICETEETH
[DJ] Kill Bitch / 麻婆
[Ticket] 前\3,500 / 当\4,000(共に1ドリンク代別途必要)
全席スタンディング 整理番号あり
※中学生以下無料 (保護者同伴の場合に限る)
[プレイガイド] チケットぴあ Pコード 107-000
[チケット取り扱い店舗]
・SunnySideKitchen:054-252-0858
・TOLVO:054-273-1800
・枇杷:054-251-5599
・NERD:054-663-8121
・THE BIBANDAM:090-3384-5372
・呑処 鞠舞 -MARIBU-:080-6916-6287
・BLUE NOTE 1988:054-253-6555
・CORNERSHOP:054-253-5571
・ETERNAL:054-252-2500

SunnySideKitchen2nd-01 SunnySideKitchen2nd-02
line
3/6(Tue) 語りべシアター
大阪 本町 アーバネクス備後町ビル3Fホール
(御堂筋線本町駅①出口より徒歩3分)
昼の部 15:00- / 夜の部 18:30-
(開場時間は、各開演30分前。上演時間 1時間45分・休憩含む)
[プログラム] 神戸・居留地ものがたり / 織田作之助の世界
[出演] 栗本智代(語り)、宮川真由美(Pf)、西村恵一(Vln)、池田安友子(Perc)、武井努(Sax)
[入場料] \1,000
[申込み] メールにて申込み。メールが不可の方は、FAXでも可。応募多数の場合抽選。
①お名前、②年齢、③人数、④当選の連絡先(メールアドレスかFAX番号)
⑤緊急連絡先 ⑥希望時間(昼の部、夜の部) をご明記ください。
 メール KFE00343@nifty.ne.jp / FAX 06-6205-3512
[問] 06-6241-5977
[申込み締切] 2/21(Wed)
以降、当選の連絡を受けとられた方がご入場いただけます。

02180306
line
3/7(Wed) 武井・河村テナーバトル
大阪 心斎橋 Rugtime 大阪 06-6214-5306
19:30- \2,800
[メ] 武井努(Sax)、河村英樹(Sax)、志水愛(Pf)、三原修(B)、東敏之(Ds)
line
3/8(Thu) E.D.F.
滋賀 草津& Jazz & Bar Coltrane 077-569-5854
20:00- 4,000 (w/1 drink)
[メ]清水武志(Pf)、西川サトシ(B)、光田じん(Ds)、田中洋一(Tp)、武井努(Sax)
line
3/9(Fri) E.D.F.
大阪 今里 ZattoFour 06-6751-1990
19:30- \2,500
[メ] 清水武志(Pf)、武井努(Sax)、田中洋一(Tp)、西川サトシ(B)、光田じん(Ds)
line
3/10(Sat) 武井3
大阪 梅田 神山町 焼酎Bar純 06-6585-0565
第1部 18:30- / 第2部 21:00-
《1部2部は入替え制》 charge \3,000
[メ] 武井努(Sax)、東ともみ(B)、広瀬正人Bar純マスター(Gt)

20180310
line
3/11(Sat) 松田一志(Vo)
大阪 宗右衛門町 Bar SHOOTERS 06-6213-3436
(中央区宗右衛門町2-16 アンドラビル5F)
open13:00 start14:00
前\3,500 / \当4,000 [1drink付]
[メ] 松田一志(vo)、武井努(sax)、KenmiChank(G)
line
3/13(Tue) 4 Tenor Madness
京都 木屋町 LIVE SPOT RAG 075-241-0446
19:30- 前\2,800 / 当\3,300 (学生 前\2,000 / 当\2,500)
[メ] 里村稔、井上弘道、曽我部泰紀、武井努(以上Ts)、牧知恵子(Pf)、三原脩(B)、森下啓(Ds)

4tenor
line
3/15(Thu) The Symphony Hall Big Band ~Music Director 菊池寿人~ Vol.10 記念特別公演
大阪 福島 ザ・シンフォニーホール 06-6453-1010
18:00 開場 / 19:00 開演
[メ] Tp 菊池寿人、築山昌広、広瀬未来、塩ノ谷幸司
Tb 大島一郎、Tommy、山内淳史、川口哲史
A.sax 小林充、藤吉悠
T.sax 武井努、高橋知道
B.sax 里村稔
Pf 宮川真由美
Bass 藤村竜也
Drs 岡本健太
スペシャルゲスト 押尾コータロー(ギター)
[料金] S\5,400 / A\4,320 / B\3,280 / 学生席\1,080 / プレミアム席¥7,560(全席指定 税込)
[問] 大阪アートエージェンシー 06-6459-9612(平日10:00〜17:00)
[チケット] ザ・シンフォニー チケットセンター 06-6453-2333

20180315
line
3/16(Fri) MAHIZO
神戸 三宮 Big Apple 078-251-7049
19:30- 前\2,300 / 当\2,500
[メ] 佐藤正道(Pf)、長谷川英喜(B)、野村陽三(Ds) ゲスト:武井努(Sax)
line
3/17(Sat) MAHIZO
奈良 blue note Naramachi 0742-27-8230
16:00- 前\2,500 / 当\2,800
[メ] 佐藤正道(Pf)、長谷川英喜(B)、野村陽三(Ds) ゲスト:武井努(Sax)
line
3/18(Sun) しのmint
大阪 芦原橋 studio & cafe Make 06-6562-3294
19:00- \2,500
[メ] 大倉詩乃美(Vo)、清水武志(Pf)、武井努(Sax)、折笠誠(Perc, Cello)、林みなこ(B)
line
3/20(Tue) 中島教秀・武井DUO
兵庫 尼崎 JAMMER 06-7177-7501
20:00- カンパ制
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
line
3/22(Thu) たけタケ
大阪 中崎町 創徳庵 080-1476-1934
19:30- 前\2,000 / 当\2,300 + 別途1ドリンク(\500~)
[メ] 清水武志(Pf)、武井努(Sax)
line
3/25(Sun) Risaco
大阪 心斎橋 Bar PARKA HOLIC 06-6212-1552
14:00- \2,500 (1 drk order)  小学生以下無料
[メ] Risaco(Vo)、大楠雄蔵(Key)、武井努(Sax)

20180325
line
3/25(Sun) 中島・武井 DUO
豊中 我巣灯 06-6848-3608
19:30- \2,000
[メ] 中島教秀(B)、武井努(Sax)
line
3/26(Mon) たけうまDUO
寝屋川 萱島 アナンカフェ 072-823-5852
20:00- \2,000
[メ] 武井努(Sax)、馬田さとし(Gt)
line
3/28(Wed) MITCH(Tp, Vo) ALL STARS
大阪 梅田 ニューサントリー5 06-6312-8912
19:30- \1,800
[メ] MITCH(Tp,Vo)、武井努(Sax)、永田充康(Ds)、時安吉宏(B)
line
3/29(Thu) Funky Sax Night
大阪 梅田 Azul Terrace 06-6373-0220
19:30- \2,000
[メ] 武井努(Sax)、土本浩司(B)、TAKU(Gt)、足立知謙(Key)、梅本浩亘(Ds)

20180329funkysaxnight
line
3/30(Fri) E.D.F.
大阪 桃谷 M’s Hall 06-6771-2541
20:00- \1,800
[メ] 清水武志(Pf)、武井努(Sax)、田中洋一(Tp)、西川サトシ(B)、光田じん(Ds)
line
3/31(Sat) THE 3 匹
大阪 芦原橋 studio & cafe Make 06-6562-3294
19:30- \2,500
[メ] 武井努(Sax)、小前賢吾(Ds)、萬恭隆(B)
line

東へ、北へ。

今月はアンサンブル・シッポリィのレコ発ツアーもあって、週末毎に関西を離れてあちこちいく機会にめぐまれました。その中で先々週は本当に久しぶりに東京へ、そして先週末はこれまた久しぶりに札幌に参りました。どちらの滞在もとても楽しく有意義な日々でした。本当に楽しくいろいろいい演奏できたのでその気持ちを少し書き残して。

20180227-1 20180227-2
20180227-3 20180227-4
20180227-5 20180227-6

ーー

東京は2/16-18と3日間。初日は初めましての神楽坂u-ma kagurazakaで敬愛するサックスの津上研太さんと。そして研太さんに紹介してもらってギターの加藤一平さん、ベースの伊地知大輔さんと。研太さんはほんといつ一緒に並んで吹いても、そうなのか!とか、それでいいんだ!とかいろいろ気づきを与えてくれます。なんというのでしょうか、あの精神性。音楽の広さやなんたるかというものを音で伝えてくれている気がします。同じサックスだから尚更そう思うのかもしれません。若手二人もとても音楽的で素晴らしかったです。加藤さんはほんと面白すぎです。まさにキレッキレというのは彼のような演奏をいうのでしょうね。

そして2日目はシッポリィで本拠地のようになっている下北沢のアポロへ。ここはなんか落ち着くというか、あのアングラ感に安心感を感じるのです、不思議。東京最初ということもあってたくさんの方に聞いてもらえて嬉しかったです。ツアーを重ねてきてバンドもよりバンドらしく、演奏も音楽もすごく面白く発展してきてます。

3日目は二本立てで。昨日のアングラ感から一変して、お昼の太陽がサンサンと降り注ぐ堀切菖蒲園のカフェ・aire amenoでシッポリィ。気持ちよく響く空間で、しかもお昼となると演奏も自然に変化するのが面白かったです。打楽器で白石さんがシットインしてのセッションも楽しかったし、何よりここでもたくさんの、しかも初めましてのお客さんに聞いていただけて嬉しかったです。

そして東京でのラストは、西早稲田のバー・諏訪金属(スワキン)

戻りますが、2日目はお昼間時間があったので、国立近代美術館で開催中の熊谷守一展にいってきました。また帰る当日も時間があったので、国立新美術館で開催始まったばかりの至高の印象派展にいってきました。どちらも素晴らしかったです。東京って美術館やそれに類する施設が多いのがほんと羨ましいです。これらについてはまた別途。

ーー

札幌は2/24-25と2日間。ちょうど2年ぶりの来札。先週ぐらいまでだいぶ雪が降ってたようですが、新千歳におりるころ外を見てみるとそんなに雪が多くない印象。実際札幌市内も、もちろんすごく丁寧に雪かきされているせいもあるとおもいますが、雪が少ない印象でした。何日か降ってなくて、しかも少し暖かかったようです。しかし、これが関西人にとっては悲劇(?)。踏み固めらたり、すこし溶け出した雪が寒さで凍って、雪がかかれていない道はことごとくアイスバーンというか、アイスリンクのようになってて、コケないようにするのに必死でした^^;

で、1日目は老舗くぅにてピアニスト南山雅樹さんとのセッション。ベースの柳真也さんとは初めまして。今回えらい面白キャラだったドラマー舘山さんとのカルテット。ほとんどぼくの曲ばっかり演奏したけれど、すごくいい演奏になったし、たくさんの方に聞いていただけてとても嬉しかったです。なんていうかライブ自体の時間的世界が出来上がったという感じでした。やっぱり南山さんがいろんな色彩つけてくれるのですよね。猫好きがおおく、ライブ終わってからもお客さんも交えてしばし猫談義で盛り上がったり、スケートネタで盛り上がったり、楽しい夜でした。そして店をハケてから南山さんとSlow Boatに移動して、すごく久しぶりにボーカル玉川健一郎さんに再開。嬉しかったなあ。お店には演奏おえたミュージシャンもいたし、そのあともつぎつぎといろんな人がきて、深夜セッションも。昔のドンショップ思い出しました。こういう場所があっていろんな人が交流したり切磋琢磨できるんですよね。いま関西にはあまりないのでとても羨ましかったです。

そして2日目はBUDDY BUDDYでジャズ鍋。ぼくは3回目の参加になるこのイベント。いつも賑やかで美味しくて楽しいです。やっぱりバディいいお店ですね。雰囲気ももちろんだけど、そこにいる人、集う人がとてもいい。美味しい鍋を食べたり、演奏を聞いてもらったり。最後にはすごくまったりした雰囲気になって、まるで誰かの家のリビングでくつろいでいるようでした。こういう風になるのもこの店ならではかなと思います。終わってから僕らも鍋とお酒をたっぷりいただいて、幸せな夜でした。

ほんと札幌ではいろんな人に再会できて、それが一番嬉しかったです。

札幌でも2日目の昼間に道立近代美術館で開催中だった、棟方志功展にいきました。去年大阪でもいきましたが、ちがうものもいろいろ出展されていたり、すごく珍しいこともあって、行けてよかったです。ほんと旅先で好きな人の作品に触れられるというのは、貴重で嬉しいことです。これもまた別途。

ーー

というわけで、あちこち移動も一旦落ち着きました。重ね重ね、あちこちで出会えた皆さんに感謝です。そして協力してくださったみなさんに感謝です。一緒に音を紡げたメンバーにも感謝です。この一連のたくさんの演奏で、ますます音楽が好きになりました。ほんといろいろ、いろんな音楽があっていいんだと思います。この気持ちがあれば明日も生きていけます。

またあちこち行きますので、みなさんまたお会いしましょう!

(写真は高木さん、白根さん、寺下さん、まゆみさんから拝借しました)

熊谷守一展

20180223-1

先日東京滞在中に、熊谷守一「生きるよろこび」展に行ってきました。最近出先で時間があればなるべく美術館などに足を運びたいと思っています。もちろん常設しているものもですが、特別展や巡回している美術展などあれば見て触れてみたいです。よっぽどでないと同じ絵を二度見ることはできないですしね。

熊谷さんは紹介されるまでは全然しらなかったですが、中期以降に見られる赤い線で縁取られたタイプの絵は見たことがあるような気がしました。写真でよく紹介される長い白ひげの仙人風の飄々としたおじいちゃんというイメージですが、初期の作品から見ていくと、ものすごく深い思慮と科学的な洞察をもとに絵を描いているんだなと感じました。

晩年の絵はとても好み。単純化するということは本質を捉えるということだ。暗い色を使わなくとも並べた色の対比で陰影は描ける。なるほど見ていると一瞬え?!という色使いも自然に見えてくる。猫もよかったけど、蟻とかカエルもよかったな。

そんな中衝撃だったのは、割と初期の作品である「陽の死んだ日」愛娘のひとりが幼くして亡くなった日に彼女が遺せるものとして描きだして、その描いている自分が嫌になって途中でやめた、と言われる絵で、30分ほどで描いたそう。

構図や意図やその他じっくり考えて筆を積み、時間かけて描かれる西洋画を、ああも衝動的に描いている、その野生的な荒々しさに魅せられてしまった。音楽にすごく近いものを感じた。

そしてショップでダメだダメだと思いつついろいろ買ってしまう。ピンバッチなんて格好の獲物じゃん。どの服につけよかな。で、荷物多くてしんどいのに図録も買ってしまった。帰り大丈夫かな^^; 

20180223-2

伊坂幸太郎 – ジャイロスコープ

gyroscope

伊坂さんの短編集。デビュー15年を記念した文庫のオリジナルの短編集。あちこちに書いた短編を(でもそれらもなんだか関係ありそうな感じもしたり)あつめ、書き下ろしを一編。オムニバス映画を見ているようで、話ごとに状況やテイストが違っていて、面白く読めた。

とある知らない街で相談屋と名乗る男に声をかけられる「浜田青年ホントスカ」、謎の巨大生物が存在して街が破壊されたらしい「ギア」、どこか文学的な不思議な世界が描かれる「二月下旬から三月上旬」、後悔ばかりしてしまう男がバスジャックに出会う「if」、一年に一度その日のために全てを準備し注ぎ込むあの方達の会社があったら、、、「一人では無理がある」、丁寧にやれることをできるだけするがモットー「彗星さんたち」、そしてこれらの短編をつなげる受け皿として書き下ろされた「後ろの声がうるさい」。どれも素敵だな。

「一人では無理がある」は伊坂さんぽいなーと思う素敵なお話。「彗星さんたち」も好きだな。文章もだけれど描かれている新幹線の掃除する方々が素敵だなと。たまにでてくる、登場人物が読んだ本から引用する格言のようなもの(今回はパウエル長官の本ということだった)がいちいち「いいな」とか思えるところも(余談だけど、こういういの描かれると、その本読みたくなるのよねえ)。そして書き下ろし「後ろの声がうるさい」は短くてもほろりとするロマンチックな話だった。やっぱり伊坂さんいいな。

そして伊坂さん作品をいろいろ読んでて今更気づいたけど、本のタイトルって邦題(というのか?)と英語のタイトルついてるのね。ちなみにこのジャイロスコープは「a present」、なるほどなーという感じ。他のも見てみよう。英語の方が本のイメージわかりよいかも。だからどうだって話だけど^^;

新潮文庫 2015

楽天ブックスで詳細を見る
Amazonで詳細を見る

石田衣良 – カンタ

kanta

久しぶりに石田さん。あるとき小学生の耀司が団地に越してくる。そのとなりの部屋にいたのは、すこし変わった同い年の少年・カンタだった。耀司は容姿もよく、頭の回転もいい秀才。そしてカンタはいまでいうところの発達障害、興味あることはいつまででも続けられ、数字にはものすごく強い。そしてその二人を見守る美少女・姫菜。水商売の母をもつ耀司はやがてカンタの家に入り浸るようになり、兄弟のように育つ。しかしカンタの母はある日倒れ、やがてなくなってしまう。そのときカンタの母から耀司は「カンタを助けてやってくれ」と頼まれ、カンタは「いざというときは耀司を守りなさい」と約束させられる。

そのまま兄弟のように育つ二人。小中は同じだったが、高校になって別々になるが、カンタは耀司のところにもどってくる。ある事件から耀司は自分たちが自立して自由になるにはたくさんのお金が必要なのだと思いつく。やがて二人してバイトをして金をため、それを元に投資を始めすこしずつ金を殖やしていく。しかし耀司はそれでは満足しなかった。何か起業するのだ、その強い思いがある日まだだれも見つけていなかった金脈 – 新しい事業を思いつく。それはケータイのゲームサイトだった。。。。

ケータイのゲーム会社が大成功し、若くして時代の寵児になった二人だったが、時代の変わり目においてまだ誰も経験したことのないものを生み出したものは、古い世代から敵視されてしまう。世代交代を恐れる旧世代は、いままでの常識にとらわれない若者たちを蹴落とそうと、廃城しようと狙う。すこし様子は違うけれど、この辺りの物語の動きをみてて頭に浮かんだのはホリエモンこと堀江貴文氏だった。ほんと彼をモデルにしたんじゃないかなーと思うほど。でも本はだいぶ後に書かれてる。とおもってたら、解説はその堀江氏だった。おもしろいw

2人+1人の幼いときからつづく友情の物語、そして成長の物語として読んでもいいし、いわゆる成り上がり話としてもおもしろい。ほんといいなあと思うのは二人の友情が固く、ずっとつづいていくところ。それはカンタの母が亡くなるときに二人にしたお願いと約束だったこと。原点が団地っていうのも自分の昔に重なって懐かしい思いするところもあるのかな。

スーッと読める物語だった。石田さんにしてはあまり陰ないし、済ましてもなく、いい印象。

文春文庫 2014

楽天ブックスで詳細を見る
Amazonで詳細を見る

至上の印象派展

20180219-1

月曜は休館じゃなかった国立新美術館「至上の印象派展」鑑賞。ビュールレさんの印象派を中心としたコレクション64点。比較的空いてた。ルノアールの可愛いイレーヌは大人気だったけど、ゴッホの肖像画や種まく人、ドガ、モネを間近で心ゆくまで鑑賞できて嬉しい。

緻密に最高の技術で描かれるものも好きだけど、やはり大胆に描かれたものが好きかな。ビュールレさんいうようにコレクションをある時代やジャンルの集合で観ることにより、絵画や時代の変遷が感じられる。写実から印象へ、現実の分解を見ていくとヴラマンクが赤で描いた木も普通に見えてくる。

ドガ好きだな。あのヒョロヒョロとした線が。ゴッホが実は10年程しか画業の期間がないって初めて知った。ミレーに敬意を示したという二人の農婦、なんか愛を感じた。寂しい人だったんだろうなと勝手に思ったり。

セザンヌの最晩年の庭師ヴァリエ、太い筆遣いで確信に満ちてて、でも優しさあって、最後の力と優しさを最大限に出しているような。モネのウォータールー橋、睡蓮、どれもいいな。そしていい意味で異彩を放つピカソがいいアクセント。いい展覧会これて嬉しい。またより絵が好きになった。

そして荷物多いのわかってるのにまら図録買ってしまった^^; でも今回の一点一点細かい解説記載されてるのと、ヨーロッパや絵画の歴史に触れてるのでじっくり読みたくて。

セザンヌの最晩年の庭師ヴァリエ、太い筆遣いで確信に満ちてて、でも優しさあって、最後の力と優しさを最大限に出しているような。モネのウォータールー橋、睡蓮、どれもいいな。そしていい意味で異彩を放つピカソがいいアクセント。いい展覧会これて嬉しい。またより絵が好きになった。

そして荷物多いのわかってるのにまた図録買ってしまった^^; 今回の図録は一点一点細かい解説記載してるのと、その絵やヨーロッパの歴史に触れてて、それをじっくり読みたくて。背景を知らないとなぜその絵がそう評価されたり、どこが新しかったのかとか分かんないし。あまりにも知らなさすぎることを改めて思い知った。でもこれは音楽も同じ。

20180219-2
モネの睡蓮だけ撮影可だった♪

紅介さんと再び

withBenisuke

すこし時間があいてしまいましたが、先日のベーシスト坂井紅介さんとの2days、いらしてくださった皆さん、本当にありがとうございました!

昨年初めてご一緒して素晴らしく深く音楽的だったなという強い印象を持ちましたが、今回はそれに加えもっと自由に楽しめたなと思えました。さすがにいろいろ緊張することもあったのですが、それを忘れさせてくれる紅介さんのお人柄と演奏に、今回もいろいろ鼓舞させてもらいました。簡単にいうと、本当に自由でした。

もちろん演奏の技術云々ということはとても大事ですが、それ以上にこういう少ない人数で演奏するときの、コミュニケーションのしかた、アイデアの提示、そしてクスリとさせられるウィット、楽器という枠を越えた”音を出す”という行為に対する貪欲さ、などなど、一緒に演奏しながら、これこれこういう風にやったら面白いよ、と、またたくさん教えて頂けたなと思います。

そして初日は山内詩子さんに入ってもらって、彼女も一緒に紅介さんの上で自由に遊ばせてもらい、創徳庵のあの空間に消え入る音を楽しみましたし、二日目の牧知恵子さんとは前回よりもっとざっくばらんに、貪欲に、演奏を楽しめたとおもいます。ほんと二日とも素晴らしい夜でした。

再びこういう機会が与えられて、その貴重な時間を一緒に楽しんでくださった皆さん、お店のみなさん、牧さん、詩子さん、そして紅介さん、ありがとうございました。またこの素敵な機会が訪れるのを楽しみにしております!

(photo by k.kishida)

池井戸潤 – 銀行仕置人

ginkoshioki

池井戸さんの銀行話の本もいくつか読んできたけれど、なかなか飽きさせないのはさすがだなあ。メガバンクという巨大で、一人の人間では動かしがたい大きな組織。渋っていたのに稟議を通してしまったばっかりにその結果焦げ付いた融資の責任を取らされた主人公・黒部。彼は「座敷牢」というところに追い込まれるが、そこで出会った人物に、このメガバンク内の不正を暴くという影の仕事が舞い込む。。。

表側から見ているとちっともわからない(あんまり用事ないし)銀行。株式もそうだけれど、お金のやりとり、とくに融資というのは、本来その会社なり組織に対して応援するものであったはずなのに、今やそれはたんなる投資、金が金を産むという形でしか成り立たないものになってしまっているように見える。そこに義もへったくれもない。そして、そんな巨額の金を動かす影に銀行と他との人間的な癒着があり、、、本当にこの池井戸さん描くような事件があるのかどうかわからないけれど。明るみにでないのも、こういう大きな組織ならではかもしれない。

銀行員といえ、金を扱っている以上、組織は揺るがなくとも、個人としては弱いもの。大きな陰謀に一銀行員がどう立ち向かっていくのか、、、ちょっとハリウッド映画のネタになりそうなお話。

双葉社文庫 2008

楽天ブックスで詳細を見る
Amazonで詳細を見る

田中啓文 – 落語少年サダキチ

sadakichi

いつだったか田中さんが「落語少年の本だすで」と言っておられて、どんな本だろうと楽しみにしていたこの本。一応子供向けってことになっているけれど、落語(とそこに含まれる文化的なもの)の魅力を存分に伝えているという点では、大人が入門書(?)として読んでもいいんじゃないかと思う。実際これ読んだら落語を聞きたくなりました。とくにこの物語にキーとなっている「平林」というネタ、聴いたことないので。もちろん寄席で生で聞きたいです。

物語は小学生の主人公・忠志がひょんなことで出会って、一隻落語を聴かせてもらい、大笑いすることから落語に興味をもって、、、という話だけれど、やもすれば古臭い昔話でよくわからん、と言われがちなところを、この「平林」というどの時代で聞いても楽しめる仕掛けのある落語を題材にして、誰もが経験した小学校時代のあの懐かしい感じや、鍋奉行シリーズでもいつも感心する見事な時代考証(というかどこで調べてるんだろう)を伴って、落語の世界をうまくいまの話のように感じて面白く読めるようにつくってあって見事。桂九雀さんの面白い解説もあって、この本で確実にとくに子供の落語の裾野を広げたんじゃないかな。ほんと素晴らしいと思う。そう長くないお話なので(これも児童書ということを鑑みてだろう)すっと読めて楽しいです。落語に興味ある人ぜひ。

朝倉世界一さんの絵もロマンチック(という書き方おかしいかもだけど)でいいし(女の子の絵が好きなのです)、写植さん(っているの?)がいろいろ工夫しただろう字が飛んでる感じも楽しい。

そして主人公がどんどん田中さんに重なっていってしまう。田中さんこんな子供でこんな子供時代だったんじゃないかなあとか想像したり。田中さんはぼくの身の回りでは「サダキチ」と呼ばれてますからねw

福音館書店 2016

楽天ブックスで詳細を見る
Amazonで詳細を見る