星野之宣 – ヤマタイカ

これまた星野氏の代表作のひとつにあげられるものだとおもうのだが、初めて読んだのだけれど、これ、すごすぎ!もともと「ヤマトの火」という未完に終わった作品を改めて書き直し、完成させたものと聞いてるけれど、前作より元は同じとはいえ、スケール的にも物語的にもすごく大きくなっていて、読み応えも十分。漫画作品のすばらしさを感じる。

たくさんの歴史的史実と神話・伝説、古文書などを仔細に検討し、星野氏独自の観点(なんだろな)でまとめあげてある一大歴史的仮説。かつて九州もしくは畿内にあったといわれる邪馬台国とその女王卑弥呼。これらと沖縄での神事の関連性から読み解かれる縄文時代からつづく古来の日本人のルーツ。それに流入してきた大陸系民族による征服、民族の移動・離散。それらヤマトの歴史をひもとく。

とにかく壮大すぎて圧倒される。自分はどこから来たのか、どこへいくのか?これは必読。

潮出版社 1997

 

 

 

 

 

星野之宣 – 残像

「美神曲」「残像」「世界樹」の3篇からなる短編漫画。金星と月、そして火星についての舞台。「美神曲」はダンテの神曲とこれまたうまくシンクロさせてるあたりが、「2001夜物語」の魔王星と失楽園のつながりみたいな感じで面白い。

どの作品もSFものは時代時代で前のもののどこかを反映させたりアイデアが同じだったりするのがあるけれど、どれもどういう順番に読んでも新鮮味があるのがさすが。

しかしこの集英社の古い単行本の表紙裏、ふつう著者近影とかが書かれる部分がそうではなくて、たぶん当時のちょっとしたグラビアアイドルとかの写真とひとことになってんねんけれど、誰も知らんぞ!ちなみのこの本は「杉浦玲」という女性。だれだろ?(笑)

集英社

星野之宣 – 2001夜物語

星野さんのSF漫画はどれも好きだけれど、これが最高傑作ちゃうかなーと思う。3巻完結。

20世紀後半から宇宙に進出しだし、惑星間を往来できるようになり、そして恒星間をも、そして深宇宙へ・・・・。夢としてはとても楽しいものだけれど、技術の進歩と時間と距離、その狭間でいろいろなドラマが生まれてしまう。人間の住めない宇宙。そこは夢の国なのか、はたまた凍てつく寒いだけの世界なのか。人々の向かう先にはなにがあるのか?そんないろいろな想像を見事に物語りに昇華して描く一大ロマン。

個人的には1巻最後の魔王星の話が好き。宇宙の誕生の瞬間から始まる常物質と反物質のせめぎ合いと失楽園の絡ませ方はめちゃ興奮した。

双葉社 1992

 

 

 

星野之宣 – メガクロス

人類が自分たちの世界をコントロールできなくなり、それをコンピュータに管理させたことから起こる悲劇。コンピュータに実質支配されてしまう未来。しかしそれに抵抗する小惑星に暮らすベルターたち。やがてそのなかからヒーローだった者の生まれ変わりが出てきて・・・・

普通にヒーローものかと思えば、それだけじゃなくて、どこぞの銀河からの機械文明の侵略という伏線があり、それがもともとはこの銀河系と別の銀河系の衝突(メガクロス)を発端としていた・・・というかなり壮大なストーリー。おもしろい。実際銀河同士の衝突(接触)はいろいろ観測されているが、この銀河系にも実は・・という話もあり(いまどうなってんのか?)、ま、まだ気の遠くなるような先の話だろうけれど、これだけは避けようがない恐怖よね。温暖化だ、汚染だ、戦争だーといってても、地球なくなったらなんの話にもならんよなあ。

あーこわい。

潮出版社

 

 

星野之宣 – ヤマトの火

めちゃ面白い。しかし未完に終わっているようで謎は途中のまま、こっからおもろい展開になるのに・・・・ってとこでおわっちゃう。どうやらこの作品をだして、また「ヤマタイカ」という作品で改めて書き直し、続きもかいているらしい。

沖縄と九州などにつたわる火に関係する祭を主軸に卑弥呼伝説の謎にせまる。実際3~5世紀ごろの日本にどういうことがあったのか?民族はどこからきたのか?神話と古文書から垣間見える事実とは?はっきりいって自分の国の昔のこと、まったく知らないあたしたちにとっては、謎に興味を湧かせるいい材料。おもしろい。

メディアファクトリー 2005

星野之宣 – ブルーシティー

偶然を装った陰謀によりほとんど絶滅し、一部が海底にすむことを余儀なくされる人類。進化(変化)した海棲族との争い。

このころは天体が落ちてきて・・・・というのが多い。いまでもその可能性はないわけではないが。海のそこで暮らすのはいやだな。

集英社 1988

星野之宣 – イワン・デジャヴュの一日

5本の短編集。どれもフィクションだけれど最初の一本をのぞいては星野さんらしいかなーと思える作品。でも宇宙ものはない。「アリス」というのがちょっとかわってるなぁ、作風もそうだし。意外な一面を見た気がする。

集英社