柴田よしき – 消える密室の殺人(猫探偵正太郎上京)

kierumishitsu

はじめましての柴田さん。この本いただいた本の一冊なのだけれど、猫の絵が表紙なので手に取ってみた。するとシリーズ物で主人公(猫?)正太郎が探偵よろしく事件を解決する手助けをするという(もちろん実際に解決するのは人間なのであるが、その糸口をみつけたり、答えを教えるのは猫たちなのである。そして大半が猫一人称の本)もので、これはシリーズ二冊目らしい。ああ、1冊目から読みたかったけれど(ときどき前のエピソードを引きずったりしてる)読み始めたから仕方ない。

正太郎の飼い主(猫は同居人と呼んでいる)でミステリー作家でもある桜川がちょっとしたトラブルから出版社に出向きに上京したことから、タイミング悪くその出版社で起こった殺人事件に遭遇する(実際に遭遇したのは猫のほうだったりするのが面白い)。そこから謎解きがはじまるのだけれど、警備もちゃんとしていて出入りが自由でなく、しかもビルの中につくられた中庭に面する掘建て小屋で起こったものだから、まるで密室の殺人事件の様子。猫は殺人なんて興味ないのだけれど、たまたまその被害者の横で知り合いの猫が死んでいたものだから、正太郎とその出版社で猫の写真集の撮影に駆り出されていたモデル猫たちが事件解決に踏み出す。

まあ事件のトリックやらいろいろも面白いのだけれど、猫好きとしてはどうしても猫の描写ばっかりに目がいってしまうのだけれど、この柴田さん、ほんとよく猫の性質とか行動を知ってるみたいで、いちいち猫が一人称で語る言葉にうなづいてしまう(笑)。一冊目も探さなくてはw

角川文庫 2001

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柴田よしき – 淑女の休日

シティーホテルでの幽霊事件とその裏にひそむ殺人事件・・・連載されていたものをまとめたもので、かなり長編。謎もこんがらがってて、謎解きするのもタイヘンそうな話なのだが、結局はひとつに見えた事件に便乗した複数の事件のからみあいという、複雑なミステリーだった。最後には祖父の代までさかのぼる愛憎劇だった、というのは大掛かりすぎるよーなきも(^^ゞ

しかし、作者もそうしたように、シティーホテルでの短期リゾートを味わうというのは、どうやら気持ちのいいことかもしれない。男性にはわかりにくいかもしれないけれど。非日常を簡単に手に入れるにはいい方法なのかもしれないし、そういうことが必要なときなのかも。でもあまりにも非日常と日常の境目が近すぎると、うまく気持ちが切り替えられないような気もするのは、男だからか?

文藝春秋 2006

柴田よしき - 淑女の休日
柴田よしき – 淑女の休日