この人の本はいつも衝動的。破壊的。刹那的。行間ににじみでる苦悩や感覚のズレ、そういったものに病的なまでに固執しているのか、苦しいとともに哀しくなってしまう。
もう自分の中では過ぎ去ってしまった30歳という年齢だけれど、たしかにその頃はなにかわからない焦りに悶々としていたような気がする。そういった気持ちが実に絵画的な視覚的な聴覚的な方法によって描かれている。
人生をリセットする・・・・・机上の空論なのか、実現可能な夢なのか?
Tsutomu TAKEI, sax and flute player : 武井努 サックス、フルート吹き
またまた石田さんの作品。彼はこの作品で直木賞をとった。本人はあぁいう直木賞にあるような重厚な文章感のある小説でないのになぁ、と漏らしてたらしいが(あとがきかなんかに書いてた)、いやいや、いまの時風をほんとうまく描いてると思うな。すごいよなぁ。
この人の描く少年たちの素顔はほんと飾らなく、大人の希望的観測もはいってなく(多分)、ほんと、今生きている10代の子たちの気持ち、行動などを実に的確に表現してると思う。もしかして相当のリサーチをしたのか、すごくわかりやすい事例がそばにいるのか、はたまた彼がまるで10代の少年のような感覚をもっているからか、わかんないけれど、読んでみて、なるほどこんな風に感じてるのかなー、僕らの頃と一緒のところはいっしょだけれど、違うところ、進んだところ、寂しいところがあるのね、なんてことが感じ取られる。
物語的には現在東京版(ま、正確には千葉だが)スタンド・バイー・ミー的なものなのだが、やっぱり、あぁいうような、「こんな少年達だったらいいねぇ」「平和ねぇ」っていうところじゃなく、ほんと隣に住んでそうな、まさに今の子供たちって感じがする。
だから、いま、子育て中の父親とか、中学の先生とかに読んでほしいな。なにかヒントがあるかも(無責任な意見だけれど)
たぶん設定としては湾岸戦争前後とか、いまのイスラエルやあのへんの中東紛争にNATOが介入してるような戦争の状態を舞台にした作品。偵察に出たF18が撃墜されて、そのパイロットと副操縦士(なんていうんや?)が敵地(というか、敵の勢力圏)の奥深くに残されてしまう、というお話。
やっぱアメリカ映画は軍のものをそのまんま撮影に惜しげもなく投入してるという点で迫力満点。実機はやっぱりいいなぁ。話がふつーでもこのあたりの設備によって納得力があがるあたりが、悲しいかな日本映画との差か(でも時代劇はいいけどね)。
しっかしラストのほうのシーンで主人公が助け出されるときに、敵の弾があたらないあたらない。火力的には敵のほうが圧倒的に多いはずなのに。戦車は発砲しないしなー。なんだかなー笑。まるでラストサムライのラストシーンのようだ。
ま、現代に設定を置きかえた、西部劇もの、ってとこでしょうかねぇ。インディアンがセビリア人になっただけという・・・・
殺人者になってしまった弟を持つ兄をめぐる物語。犯罪後の家族やまわりの大変さがうまく描かれている。いつぞや似たような本を読んだな。
それよりもこの石田さんの本でつくづく感心するのは、少年たちの心理・行動・文化をよく見てるなーと感じるところ。大人たちには理解しがたい行動や思考をする(と感じる)彼らを、実に的確に描いている。なるほどそういうふうに考えるのか?と思ってしまう。まるで作者自身が少年であるかのよう。
いまのお父さん世代の人が読むと、自分の子供を理解できる助けになる、かも。わかんないけど。
しかし子供たちは残酷。で、かわいそう。単に無邪気なだけでいられたらいいのに、今の子供たちは社会の部分部分に器用に自分をあてはめ、場合場面で使い分けられる。だから本当に落ち着くとこがどこかわかんない・・・といったそんな気持ちが描かれてるように、思う。
実在した人物を描いた作品。
女の人の一途な愛。狂おしいほどの。男からは見ていて少しこわくなるけれども、この人は幸せだったのかもしれない。実際は不幸な人生を歩んだのだけれど。
アニメ。久しぶりにこういうの見たぞ。のーてんきで楽しい。でもこういうものでさえ、最近はノリが結構黒人ノリ(?)みたいな感じでスピード感があっていい。英語ははやくて聞き取れないっす涙。
主役となる4頭はいいとして、サブキャラとしてでてくるペンギン達が異様にクールでいい。かっこいいぜペンギン!やるなぁ。
しっかしアニメーション技術ってこの10数年でえらいかわったなぁ。ほとほと感心。
回想(これが物語になってる)していく視点で描かれる、ある夫婦・カップルの愛の物語。
話の筋書きとしても、映画の進み方としても、言ってしまえば特に特別なこともないような、ちょっと頑固な男とまっすぐな性格の女の話。そのカップルが一夏の恋に落ちて・・・別れて・・そして出会って、と何ということもないストーリーなのだが。話の昇華の仕方も見ているうちにわかってくるのだが。
この映画が普通にやっぱり2人は結ばれてハッピーエンド!とかだったらぜんぜん面白くないのだが、いや、しかし。映画のラスト5分ぐらいが、すごくすごくよかった。ほんまよかった。最後の最後で涙がちょちょぎれてしまった。
認知症の妻に記憶を取り戻させたくて、何度も読み聞かせるその回想録。ある瞬間、妻は記憶を取り戻し、夫を思い出すが、すぐに戻っていってしまう。その悲哀、諦め、でも消せない小さな希望、そういうものが画面に、俳優の顔にあふれてくる。以前ならひとつの物語としてしか捉えられなかったような話だけど、実際の年老いた両親のことを思い、また自分の遠いのか遠くないのか、そんな将来を思いやるとき、このあまりのせつなさが心を突き破ってきてしまう。「この映画のこのシーンのような場面に出くわしたら、自分は何を思うのだろう」そんな気持ちばかりになってしまう。
そして、ある意味、究極の幸せな死に方、かもしれない。思い出すだけで、泣いてしまうな・・・