殺人者になってしまった弟を持つ兄をめぐる物語。犯罪後の家族やまわりの大変さがうまく描かれている。いつぞや似たような本を読んだな。
それよりもこの石田さんの本でつくづく感心するのは、少年たちの心理・行動・文化をよく見てるなーと感じるところ。大人たちには理解しがたい行動や思考をする(と感じる)彼らを、実に的確に描いている。なるほどそういうふうに考えるのか?と思ってしまう。まるで作者自身が少年であるかのよう。
いまのお父さん世代の人が読むと、自分の子供を理解できる助けになる、かも。わかんないけど。
しかし子供たちは残酷。で、かわいそう。単に無邪気なだけでいられたらいいのに、今の子供たちは社会の部分部分に器用に自分をあてはめ、場合場面で使い分けられる。だから本当に落ち着くとこがどこかわかんない・・・といったそんな気持ちが描かれてるように、思う。
文芸春秋 2001