あまり宮本輝は読まないのだが。この小説はふんわりしてていい感じ。なんでもない日常をちょっと情けない主人公の目を通して描いたもの。
大阪のどこかを想定して書いてるのだけれど、阿倍野でもなく千林でもなく、なんとなーく住之江のほうめんの雰囲気がする。昔はちょっとはやったけれど、いまはくたびれた商店街、そんな感じ。その感じが実際いまもそういうところがありそうで、リアルさを感じる。
しかし主人公があまりにものんびりというかだらだらしてるので、ちょっと危機感を憶えたりするのだけれど、実際自分がそのころはこんなんだったのかなと。
そんな主人公のわりには、なんだか明るい気分になる小説でした、ちゃんちゃん。
新潮社 1989