第2次大戦時に青春をすべて戦争に費やし、真珠湾攻撃に参加した主人公を含む元戦闘機機乗り3老人が、50年を経てまた真珠湾を訪れ、まさにそのとき米国艦にのっていた元米兵と交わりをもち・・・という話。でも小説のホントの筋は主人公と3年前になくなった妻との間の愛の物語。
あたいら戦争をまったく知らない人間には戦争を体験した人々の気持ちを本当に共感することはできないけれど、何かの形をもって知りたいとは思う。当時の人たちの言葉やらドキュメントの書物などはたくさんあるだろうけれど、実はわかりにくい。でもこの辻氏の物語はその悲哀などなどの気持ちがじんわり伝わってくる。
老いるとはどういう気持ちなのか?青春ってなに?答えはどこに?本人が経験しないとわからない疑問は、答えがわかるときにはすでにその答えの中にいる。人生というのはほんとうに短いものなんじゃないかな?
幻冬舎 2006