山田宗樹 – 嫌われ松子の一生

教師として働きはじめた良家の子女が、ほんのちいさなことから転落の人生をおくっていってしまい、最後には殺されてしまうという、どうしようもないお話(笑)。

主 人公松子のその融通の利かないというか、まっすぐすぎてどじくさすぎる、しかも運のない性格に、読み進むにつれ「きーーーっ!」となってしまうのだが、そ れでも読んでしまうのは、そんなツイてない人生なのに、どこかに希望をさがしてしまうからなのか、同情からなのか、はたまたそれにもまして話の語り口やら 展開がおもしろいからなのか。よくわからない。でも最後まで楽しく(というと不謹慎?)読めた。

人生何が転んでるかわからないし、それ がいつどんな形で現れ、どうその後に影響していくかなんて、”今”しかわからない我々には、知ること、気づくことさえできない。だからこそその瞬間瞬間を 最良の選択で生きていきたいと誰しもが考えるのだろうけれど、そう考えていても、どうしようもなく歪んでいって修正きかなくなったり、思わぬ方向へ転んだ り、人生は進めば進むほど裾野がひろくなって、動けるけれど、戻れなくなる。そういうことが年を食うと実感として理解できるようになる。

物 語の主人公松子と、突然その死を知るまでまったく松子をしらなかった甥である笙。現在形でその人生を語っていく松子の視点と、それを客観的に過去の話とし て見ていく笙の視点。松子が生きてきた人生をひも解きながら、笙が感じる人生とはどいうことか、という感覚こそ、作者が表現したかったことなんじゃないか な?

嫌われ松子の一生 (上)
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嫌われ松子の一生 (下)
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