辻仁成 – TOKYOデシベル

騒音?とういか音関係の短編2つとほか1編。

音関係である「音の地図」と「グラスウールの城」は両方とも別に単行本として読んだことがあったのだけれど、手にとって読み出したらそのまま止まらずに全部読んでしまった。

3つの短編どれもが、すこしゆがんだ、すこし暴力的だけれど、おとなしい、やはり自分を破壊してしまう方向にすすんでしまいそうな、そんな主人公の男性たち。少し心にかげりがあったり、病んでいるときには、すごく共感してしまいそうになる。共感というより共鳴か。

あ まりにもたくさんのモノ、音に囲まれすぎていて、僕たちはすべてのものを見失ってしまっている、そんな気がする。いや、実際気がしているのではなく、そう なのかも。そんな日常が普通に流れていくのが怖い。どこか間違っている、けれど正せない。そんな狭間で現代人たちは知らずに苦しんで、そのはけ口を間違っ た方向に見出してしまう。

悲しい。

文藝春秋 2007

TOKYOデシベル
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