小川洋子 – ミーナの行進

芦屋の大きなお屋敷に住むミーナと、そこに預けられた朋子の物語。昔動物園もやっていたそのお屋敷にそのころからいるコビトカバのポチ子がなんとも可愛い。

ぐぐっとくるドラマチックな展開でもなく、わりに淡々とお話が進むのだけれど、なんでもないような日常、朋子が知る新しい世界たちがつぎつぎとでてきて、スピード感あって、すいすい読めてしまう。けれども、さっさと読むと、こまかな描写やら事件やら、2人や、素敵な家族や昔話やら、いろんなことをあっさり読み飛ばしてしまいそうになるので、じっくり読むと素敵。

ミーナがやたらと関西弁なことやら、彼女が体が弱いのでそのポチ子にのって学校に通うということやら、芦屋を中心とした街の描写とか、なかでもミーナが大事にみんなに内緒でためていっているマッチ箱の図柄から連想する膨大な物語たち(これがどれもほんとうに素敵・・・小川さんもよくこんなの思いつくなぁ)とか、いろいろまるでいろんな味がするキャンディーのよう。

このひとたちがいまもこの世界のどこかにいるような気がしてならない。
幸せに暮らしてるのかなぁ?
ポチ子に乗りたかったなぁ。

挿絵があるんだけれど、とても素敵な絵たちなんだけれど、ちょっとイメージと違うなぁ、もっとふわふわしてほしいなぁ。

中公文庫 2009

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