瀬尾まいこ – 天国はまだ遠く

やたらと北近畿っぽい感じがでてるなぁと思ったら、実際丹波で教師をされてたそう、瀬尾さん。悩める時間をすごす女性の物語。

特にダメになったわけではないけれど、不安としんどさから自殺を考えてしまい、それを決行しに人のいないところいないところへと進んでいく主人公。でも決意した自殺はあまりにもあっけなく失敗し・・・・。

最近とくに夜になったりすると自分の無力感に苛まれてしまう。特に何かがダメだったり、よくなかったり、上手く行っていないわけではないのだが、ふとした瞬間に無力感、無気力感が沸き上がってきて、ふっと消えてしまいたくなるような夜がある。先々への不安なのか、はたまた意識して見ないようにしている自分のことへなのか。

だからこの主人公の等身大の、まさに隣で息づいているような存在感、大きさにとても惹かれる、というか同化してしまう。そこに自分を見てしまうから?

世の中なんてテレビほどドラマチックでも感動的でも、はたまた厭世的でもないけれど、なにか大きなものに煽られすぎて、もともとちっさな自分を見失ってしまい、普通に立っていられるものを立ててないと思い込んでしまったりする。そういうとき、どうしたら自分のたっていられたことを思い出せるか、なにかヒントをもらえたような気がする小さな物語だ。

新潮文庫 2006

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