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乃南アサ – いつか陽のあたる場所で

東京のある街のすみっこでひっそり暮らす芭子(はこ)、そして友人というにはちょっと年上の綾香。彼女たちがあまり目立たないようにしているのには理由があった。彼女たちは塀の中にいたのだ。

そんな設定でのおはなし。全く知らない世界だから、あまりにも芭子がおどおどしたり、おとなしすぎたりすることにイライラしてしまうが、そうか、そんなふうに考えてしまうのか、世間は(自分も含めて)きっと同じような反応をして、刑期を終えて償った人間を同じ一種類の人間として見てしまうだろう、そんなことがショックだった。重罪を犯した者も軽微な罪で悔い改めた人間でも、塀の中から出てきた人間に対し、そうでないものたちは異常なまでの興味を示すか、蔑んでしまうだろう。数多の出所者たちがまともに社会復帰できない理由のひとつもそこにある。

主人公の2人も同じように出所してきたことを知られることを異常に怖がる。当たり前だ。でもなんとか社会の隅で生き抜こうとする。でも知られるのが嫌だから思い切ったこともできず、人目につかないようにし、家族からも絶縁され、セクハラを我慢し、何を生きていったらいいのかわからない。普通ならばいろいろ文句のひとつも言えるようなちょっとした世間の悪意に翻弄されてしまう。

それでも若者にドジ呼ばわりされながらパン職人に挑む綾香の姿や、少しずつ近所の人を受け入れる芭子の姿、彼女たちのたくましい生き様を見ていると何がしか勇気をもらえる。

これらの物語はシリーズになっていくそうだが、とても楽しみだ。
重里徹也さんの解説もいい。

新潮文庫 2010

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