乃南アサ – 幸せになりたい

人間だれしも幸せになりたい、そう願うのは普通のことだ。でも少し願い方を誤ってしまう(世間の常識からずれたり、願い過ぎたり)と、幸せからは程遠いところにたどり着いてしまう。そんな歪んだおはなし7つ。

不甲斐ない男か玉の輿か「キャンドル・サービス」、奪った愛人の魅力も奪えたか「背中」、出世欲にとりつかれて「お引っ越し」、母は女性だった「たのしいわが家」、思わぬ形で反撃が「口封じ」、手紙は受け取り方次第「挨拶状」、今日まで恋人明日からは愛人「二人の思い出」。ああ、どれも面白い。けど、ちょっとゾッとしたり。好きなのは「背中」と「二人の思い出」かな。

ほんのちょっとしたことだけれど、人間の愚かなところ、小さな心理、おかしくない程度に病的なことなんか描かせたら乃南さん、うまいなぁ、とほとほと感心。男性、女性両方の心理をよくわかってるなぁ。

祥伝社文庫 1999

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