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山田詠美 – 色彩の息子

初めてもしくはかなり久しぶりによむ山田詠美さん。色をテーマ(モチーフ)にした12の短編集。どれもすこし物悲しいというか刹那的というかゆるやかに鋭利な感じがする。やるせなさ、妖しさ、とかとか。

世の中にいろんな色があるように、人間関係にもそれを象徴するような色が存在する。身分や位、なにかを示すためにも色は使われる。もちろん気持ちを表現するのにも色はたくさん使われる。見るものだけでなく空想にも、夢にも、色がないことでさえ、色といえるのかもしれない。我々は色を忘れて生きていくことなんてできない。

これらの短編はよそ事のようであって、実は身の回りにある物事を色で象徴して書いてあるよう、いや、自分のことを描かれているようにも思えてしまう。色を通して自分の気持ちが透けて見えるようだ。だからこそ、読み進めたくないような、怖い錯覚を起こしてしまう、くらくらする。

また、本の装丁が面白い。各話にその話を象徴する色の色紙がはさんである。そのページだけ眺めていると綺麗な折り紙なんかを想像してしまうけれど、話の上の色だから、見つめているとその物語がより一層迫ってきてしまう。何か怖い。単に話が怖いのか、リアルな世界が怖いのか?

新潮文庫 1994

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