宮部みゆき – 地下街の雨

7つの短編集。このところ短編集ばっかり読んでるな。やっぱりさすが宮部さんというか、どの話も短い中で「おっ」と思うような展開と「へええ」と思えるような素敵なオチまできっちりまとまっていて、短編とは思えない読み応えがある。

地下には雨は降らない、でもそんなタイトルの矛盾を人間関係のどんでん返しでうまく描いた表題作「地下街の雨」。いかにもありそうな怖いお話「決して見えない」。仲のよかった家族の心中、見ている人は見ている「不文律」。こわーい電話の精「混線」。死んだ姉の誰も知らなかった秘密「勝ち逃げ」。伝染する不意の殺人「ムクロバラ」。謎の宇宙人?「さよなら、キリハラさん」。いやー、どれもおもしろいなぁ。

やはり「地下街の雨」がドキドキするし素敵だし、なんか怖いけれどちょっと笑える「混線」、そしてなんだかほろりとする「さよなら、キリハラさん」が好きかな。こうやってみると7つのお話もうまい順番に起承転結じゃないけれど、山あり谷あり右行って左行ってと飽きないように並んでるなぁと感心。

素直に面白い。

集英社文庫 1998

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