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梨木香歩 – 西の魔女が死んだ

初めて読む梨木さん。映画になったか何かでタイトルを知っていたので本屋さんで手に取った。装丁もすごく素敵。タイトルだけ見てなんだかジブリの「魔女の宅急便」みたいなお話を想像してしまっていたのだが、ぜんぜん違って、魔女の血を引くおばあちゃんとその孫のお話だった。

クラスのしきたりになじめずに学校に行くことができなくなった少女まいは、ある日大好きなおばあちゃんの家で過ごすことになる。おばあちゃんは実は魔女の血を引く家系の生まれであり、同じ血を引くまいも魔女の修行を受けることになる。こんな風に書くと魔法だ呪文だ魔物だーみたいなお話である感じになるけれど、描かれる世界は現在そのものであり、魔女は魔法を使うわけではなく、ひとよりすこしだけ優れた能力を持っている(それは訓練して得られる)というような設定なので、実際ありそうなことだなーとおもえてしまう。

おばあちゃんと孫が山で・・・というとよしもとばななの「王国」を思い出してしまうのだけれど、実際魔女という言葉の出てくる/こないがあるけれど、生きていくうえで大切なことを考える、ということは共通したテーマだと思う。幸せとは何か、現代の便利な暮らしによって我々が失っている(忘れている)ことは何か、そんなことを考えさせようとしてくれる。

まいの成長の物語だとするとちょっと短すぎるなーと思うし、ページが増えてでももっと山でのおばあちゃんの知恵や生きる上での工夫(これらは少し昔の人たちは普通にできたことだ。いまの人間はみな忘れてしまった。本当に簡単なことなのに。)を書いてほしかったし、「生きていくこと」「幸せとは何かを考えること」というテーマについても読みすすむ時間を通してもう少しじんわり噛み締める時間が欲しかったな。

というのは、なんだかあっさり読めるというか、たぶん読み解きたいテーマの割には表面の物語が簡単で流れていってしまうから(というように読んでしまった)かもしれない。読むスピードと読み取るスピードが一致しにくくて画があんまりでなかったからかも。

読み始めてしばらくは、文体がとっつきにくいのか句読点が多いのか何が原因ははっきりしないけれど読みにくいなぁと思っていたけれど、多分お話の進み方(物語上での実際の時間的経過というか映像的な進み具合)と読み取るスピードが一致しにくかったからなんだろうなーと気づいた。作家さんによって文体なんて違うの当然だけれど、物語の進み方と描写とのしかたによってはするする読める場合と引っかかって読みにくい場合(感じがどうのということではなく)があるような気がする。

文庫版にはこの物語の後日談「渡りの一日」という素敵な短編も収録。すこし魔女に近づいたまいの姿が読めます。これ素敵なお話。

新潮文庫 2001

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