重松清 – きよしこ


どもってしまうある少年の物語。少年は父親の都合で転校をくりかえす。毎回転校先で事項紹介をするとき、カ行やタ行をどもってしまうので、自分の名前である「きよし」すら言えず、恥ずかしい思いばかりがつのる。思うことをいえない少年はいつもひとりぼっち。いじめられたり、笑われたり。でもある日勘違いから生まれた何でも話せる空想の友達「きよしこ」と出会い、教えられる。「それがほんとうに伝えたいことだったら・・・・伝わるよ、きっと」

物語は決してドラマチックでも何でもない。どもりに立ち向かったり、克服したり、なにか希望の救い手が現れたり・・・なんてしない。けれど、少年はがんばる、頑張り続ける。いつか言いたいことをちゃんと伝えることができるようになるために。

小学校や中学校、そして大人になる前に出会うひとたち。彼らは少年と、そのどもりを通して少年と対峙する。笑うもの、仲間になるもの、助けてくれるもの、喧嘩するもの。彼らに少年は言いたいことをうまく伝えられない。でもその少ない言葉から気持ちが伝わるときもある。間違って受け取られているときもあるけれど、少年が伝えたいことが少しは伝わるのかもしれない。それは少年時代特有の、子どもと大人の間だから許される時が生み出す奇跡なのかも。

なんでもない物語なのに、心の奥にしまっていた、懐かしい空気、景色、音、匂いを思い出し、くらくらしてしまいそうになる。懐かしい・・・・というより、ああああ・・・・という感じか。どもりという少し特殊な環境の話なのに、お話から感じる波動は普遍的なもの。そのあたりに重松さんの本の面白さがあるんじゃないかな。

やるせないなぁ、たまんないなぁ。

新潮文庫 2005

2012.10月のスケジュール

■■ リーダーライブ ■■

10/12(Fri) 武井4
大阪 谷町五丁目 グラバー邸 06-6768-5963
20:00~ 2,500
[メ]武井努(Sax)、牧知恵子(Pf)、宮上啓仁(B)、福盛進也(Ds)

■■ その他のライブ ■■

10/1(Mon) 武井~箕作Duo
寝屋川 萱島 OTO屋 080-6126-1529
20:00~ 2,500
[メ]武井努(Sax)、箕作元総(Gt)
※例によって例の持ち寄りパーティーです。セッションもしましょう!

10/2(Tue) Jazz-Bossa
■SWITCH Grand Open Special
大阪 梅田 SWITCH 06-6442-7331
チャージ無料、ウェルカムドリンク、記念品プレゼント
[メ]武井努(Ts)、阿部浩二(Gt)、ヤマダヨシオ(B)、ピカリ(Dr)

10/3(Wed) たけタケ
大阪 扇町 CURVE 06-6362-6722
20:00~ 2,000
[メ]清水武志(Pf)、武井努(Sax)

10/5(Fri) 荒崎英一郎Big Band
伊丹 STAGE 072‐777‐3818
19:30~ 2,700
[メ]荒崎英一郎(Ts)、武井努(Ts)、浅井良将(As)、落合智子(Bs)、ジェームズ・バレット、横尾昌二郎(Tp)、幸明男、太田健介(Tb)、 箕作元総(Gt)、金丸精志(Pf)、中嶋明彦(B)、岡野正典(Ds)

10/8(Mon) たけタケ
■松山 Sugar Village 2012
愛媛 松山 千船町 Bar TOMMY’S 089-935-6220
19:00~ 前3,000/当3,500 (1drk付 12会場フリーパスチケット)
[メ]清水武志(Pf)、武井努(Sax)

10/11(Thu) Satoko(Vo)
大阪 天満 じゃず家 06-6377-1130
20:00~ 2,500
[メ]Satoko(Vo)、清水武志(p)、武井努(Sax)、大塚恵(B)

10/13(Sat) スースーハー
神戸 三宮 Big Apple 078-251-7049
19:30~ 前2,000/当2,300
[メ] ナガオクミ(Vo)、武井努(sax,fl)、瀬戸一成(tp)、島田篤(p)、清野拓巳(Gt)、福井ビン(b)、岡部わたる(ds)

10/14(Sun) 7sonora
■アルバム「CANTA A LA TIERRA」発売記念ツアー
京都 烏丸 Parker house roll 075-352-8042
19:00~ 3,000 (1drk付)
[メ]7sonora : Nana(Vo)、山田裕(Gt)、とくじろう(Perc)
ゲスト:川辺ぺっぺい(B)、武井努(Sax)、亀崎ヒロシ(Perc)
DJ: Gatchan

10/17(Wed) MITCH
大阪 梅田 ニューサントリー5 06-6312-8912
Live Time 19:50~20:30/21:00~21:40/22:10~22:50 1,800
[メ]MITCH(Tp,Vo)、永田充康(Ds)、武井努(Sax)、時安吉宏(B)、杉山悟史(Pf)

10/20(Sat) 武井~畑Duo
大阪 梅田 パイルドライバー 06-6341-6110
20:00~ 2,500(1ドリンク付き)
[メ]武井努(Sax)、畑ひろし(Gt)

10/21(Sun) 7sonora
■アルバム「CANTA A LA TIERRA」発売記念ツアー
大阪 長堀橋 Sorpresa 06-6261-6177
19:00~ 前2,500 / 当2,800
[メ]7sonora : Nana(Vo)、山田裕(Gt)、とくじろう(Perc)
ゲスト:川辺ぺっぺい(B)、武井努(Sax)、亀崎ヒロシ(Perc)

10/22(Mon) 武井~馬田Duo
寝屋川 萱島 OTO屋 080-6126-1529
20:00~ 2,500
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)

10/23(Tue) 7sonora
■アルバム「CANTA A LA TIERRA」発売記念ツアー
名古屋 千種 Cafe Dufi 052-263-6511
20:00~ 前2,500 / 当3,000(1drk付)
[メ]7sonora : Nana(Vo)、山田裕(Gt)、とくじろう(Perc)
ゲスト:川辺ぺっぺい(B)、武井努(Sax)、亀崎ヒロシ(Perc)、坂田ブンテイ(Tres)

10/24(Wed) 7sonora
■アルバム「CANTA A LA TIERRA」発売記念ツアー
三重 四日市 Full House 059-334-1178
20:00~ 前3,000 / 当3,500
初めてのサルサレッスン 19:30~
[メ]7sonora : Nana(Vo)、山田裕(Gt)、とくじろう(Perc)
ゲスト:川辺ぺっぺい(B)、武井努(Sax)、亀崎ヒロシ(Perc)、坂田ブンテイ(Tres)

10/25(Thu) たけタケともみ
大阪 谷町五丁目 グラバー邸 06-6768-5963
20:00~ 2,000
[メ]清水武志(Pf)、武井努(Sax)、東ともみ(B)

10/26(Fri) MITCH’S LIL BRATS BRASS BAND
■BUDDY BUDDY 10th ANNIVERSARY EVE PARTY
札幌 FAMOUS DOOR 011-736-2002

10/27(Sat) MITCH’S LIL BRATS BRASS BAND
■BUDDY BUDDY 10th ANNIVERSARY PARTY
札幌 BUDDY BUDDY 011-271-8882
17:00 Open Live 21:00
\3,000 w/ 2 drinks

10/28(Sun) 松田一志
■New Album「O-scar」発売記念ライブ
大阪 東心斎橋 SOMA 06-6212-2253
open17:30 start18:00
前3,500 / 当4,000
[出] 松田一志 (vo) with Funk.y All Stars
Funk.y All Stars:武井努(sax)、堂地誠人(sax)、城野淳(G)、土本浩司(Ba)
ゲスト:町田謙介(G&vo)、安達隆之(G)、寺田正彦(Key)、James Robinson(Ds)、シータθ(cho)
openning act : Myah(vo) / 小田真之(vo) / TomoYuki(vo) with 城野淳(G)、土本浩司(Ba)、半田彬倫(key)、宮崎貴良(Ds)

10/31(Wed) E.D.F.
大阪 なんば 845 06-6633-6288
20:00~ 2,500
[メ] 清水武志(Pf)、西川サトシ(B)、光田じん(Ds)、田中洋一(Tp)、武井努(Sax)

伊坂幸太郎 – チルドレン


伊坂さん初の短編集だそう。本人いわく「短編のふりをした長編」だそうだけれど、なるほど読んでいくと分かるけれど、おもに3人を主人公として、話ごとに視点がかわっていく連作のような感じ。ただし、短編ごとに時代というか時期が前後するので、全体を通して時間の流れがわかったりする仕掛けがあるのも伊坂さんぽいか。

長編に比べてこねくり回し感が少ないのですっと読めて気持ちいい。でも短編といえどいろりろ仕掛けがあって読んでて楽しい。とくに陣内というキャラが何かと強烈ですっとするところもあればいらいらするところもあり、魅力的。彼を見ていると時間の進み具合がわかる。

分かりやすいかもしれないけれど、中では「チルドレンⅡ」が好き。ぼくたちも人生の中でなにか奇跡を起こしたいと思っている。それがどんな形であってもいいから。奇跡なんてない、と思うより奇跡は起こせる/起こると思っていたほうが幸せに生きられるんじゃないかな。

あと先天的に目の不自由な永瀬、彼が哲学的で面白いし、思考も論理的でなるほどなーとおもうところがあって楽しい。こういうキャラも伊坂さんぽいなぁ。「イン」でおもに音を題材とした話が描かれるけれど、なるほど、ぼくたち音楽に携わるものにもヒントを与えてくれるようなエピソードがちらほら。

”・・・僕は耳に神経を集中させる。耳の外側に、大きなメガホンを取り付け、遠くの音までを拾う。そういう感覚だった。僕はこういう時、川の中に立っている気分になる。(中略) 自分の身体の周囲を、水が次々に流れていく。温かい場合もあれば、冷たい場合もある。周囲の音も同じだ。僕のまわりを次々と、音が、音楽や声や雑音や騒音が、通り過ぎていく。(中略)そして、川の中を泳ぐ魚や、落ちている小石、流れる小枝、水生の昆虫、そう言ったものを手で掬うように、僕は必要な音を拾い上げる。すごく神経を尖らせて、タイミングを見計らわないとつかまえられないものもあれば、さほど苦労もなくひっかかるものもある。・・・”

なるほど。普段無意識にやっている聞く(聞こえる)という行為。もう少し見直す必要ありかと。

講談社文庫 2007

福原タカヨシ氏と

先日16日、大正のサレガマというとても素敵なインド・ネパール料理屋さんで福原くんのライブがあり、手伝いにいってきました。彼のここでのライブは3度目だそうで、こうやって管楽器が入るのははじめて。彼とは春先のORITOさんトリビュートで出会ったのですが、そのときに彼ののびやかな歌声にやられて「いつかやってみたいなー」と思っていたところ、連絡があって、とんとんと話がすすんでこのライブへの参加になったのです。めちゃ嬉しい!

メンバーは福原くんと、弟(?)ベーシスト土本っちゃん、そして僕のトリオ。事前に時間合わなかったので、当日昼間に練習して、お店でもちょろっとやってとのぶっつけ本番(まぁ僕はこれが性に合ってますが)だったのだけれど、ひじょーに楽しかったです。初顔合わせのドキドキ感と、それが融合していく楽しさ、んで何より福原くんの歌声が素敵で、サックス吹き冥利に尽きるというか、吹き甲斐があってとても楽しかったです。こうでなくちゃ!

ライブは福原くんの曲やらカバー(これが渋いのなんの)やら。お店自体がゆっくり時間が流れるような感じのお店で、さらにこのライブのアットホーム感というかゆったり感が合わさって、とても素敵な時間でした、なんぼでも続けてられるような。ポップなチューンもファンキッシュなチューンも3人で十分。いいドライブ感でてたなぁ。

アンコールにはあっこちゃんのPRAYERという曲(これ好きなのよね)をやったのですが、このライブのやりとりをしていたとき、彼が「なにか曲薦めて」とリクエストあったので、いろいろ悩んだのだけれど、ORITOトリビュートのときに感じたあの伸びのある声で歌ってもらえたらさぞや素敵だろうなー、しかもあの歌詞だし、きっと似合うんじゃないかなーと勝手に想像してリクエストした曲だったのです。まさかやるとは思ってなかったんだけれど(^^ゞ 一緒にやりながら、吹くよりも聴いてたいと心底思いました。勝手な思い込みだけれど、すごく似合っていると思ったので。聴いてて心地いいし。

まぁ、なんせとても素敵な時間でした。こういうライブやってたら生きてられる感じします(^^ゞ。またぜひやりたいなー。

追記
サレガマのカレー、そしてナン、めちゃ美味しい。あまりに美味くて写真とるの忘れた(^^ゞ

Recording

昨日、Tp築山くんの誘いでレコーディングにいきました。初めてのスタジオだったのでいきなり迷ってしまい、開始時間の5分前に着くという失態をしてしまいましたが(^^ゞ このところレコーディングづいているように見えるかもしれませんが、たまたまです(それしか日記書いてないというのもあるけど)

内容はホーンセクションのレコーディング。ありそうでなかった築山くん、大迫さん、僕の組み合わせ。大迫さんめっちゃ久しぶりやなー、元に戻ってるし(笑)

この顔ぶれで
この顔ぶれで

時間との勝負みたいなところがあったので、こういうのにすごく慣れている大迫さんのリードでちゃっちゃと進む進む。普段はのんびりやる(でも決めるところは決めて)クセがある僕ですが、このレコーディングに参加してみて、ちゃっちゃとやるやり方(やっぱり録音も熱いうちに進めたほうが結果よくなる)をいろいろ教えてもらいました。通して録音するときの加減とか、通してからの直しのチェック、その入れ方などなど。効率よくやるのは気合もいりますが、楽しいもんです。とくに今日は大迫さんいるのできちんと(いや、いつもきちんとやってるけど(^^ゞ)やらねばと緊張しましたが。たぶん、他所のもっと厳しい現場はこんなもんじゃないんだろうなー。聞こえ来る他所の現場のうわさ話はコワイコワイ。

なんとか時間もうまく使って、納得いくものができました。が、これどう、いつ、使われるのかは、まだわかんない音源なのですよねー。できたやつ聴きたいけど。

綺麗けどもうずいぶん昔からあるスタジオだそう
綺麗けどもうずいぶん昔からあるスタジオだそう。HumanSoulのもここでやったと大迫さん言ってた

とにかくレコーディングって好きなんですよね。アレンジャーなどの望むものを具体化するっていう作業が。しかもその望んだ以上のものを提供できたらすごく素敵だし。

えー、なんでもやるので誘ってください!サックスなんでも、フルートも(クラも)やるよー!商業ものからアーティスティックなものでもなんでもござれ。もっと録音作業したいです。ちうかあのスタジオの雰囲気好きなんですわー。誰かさそってーーー(笑)

松田さんRec

こんな感じで
こんな感じで

なぜかレコーディングってたまたま続いたりするのですよねぇ。春先からぼちぼち続いている松田一志さんのレコーディングもいよいよ佳境に達してきました。来月のライブにて発売になる予定なので。

今日もセクションをちょろっと。前回と同じく相方はまこちゃん。このレコーディングに関しては譜面から何からすべてまかせっきりで申し訳ない・・・・。でも彼が書いてくるセクションが実に見事で、昨日もすごく楽しかったです。ずっと吹いていられる感じのする気持ちのいいセクションでした。というのも、オケというかすでに録ってあるバックトラックのタイコがめちゃくちゃ気持ちいいので、ずーーっと聴いていられるのです。こういうのだったらどんな感じのセクションでもかっこよくなるというもの。

まこちゃんとやってて楽なのは、阿吽とまでは言わないけれど(ま、その域にきてますが)どう吹いたらいいかという解釈を伝えやすいところ。もちろんセクションなので、せーの、で吹くわけだけれど、そのとき、どこそこはこんな感じで吹こう、などと打ち合わせするのですが(当たり前か)、ぼくら2人の場合は、細かなニュアンスよりも全体的なイメージで分かり合えます(たぶんw)。「黒くてちょっと賢い感じ」とか「アホアホだけどバネだけはある感じ」とか「思いっきり白い感じ」とかとか(笑)。経験してきた音楽の中からざっくり分類したイメージが2人に共通してあるようなんですな。

なので、アーティキュレイション(音符のニュアンス)は確認するけれど、タイム感とかバウンス感、歌い方、ピッチ感、適度なばらけ感(これ大事)なんかはちょっとだけすり合わせると合わせられるのです。こうなるとすごく楽しい。

昨日のセクションもざーーっと曲を通して吹いちゃって、というスタイルでやりましたが、3テイク目でもうパーフェクト(いやこれ自画自賛じゃなく)。あとは仕上がり待ち。ついでにミックスの感じも注文しておいたので、心配ないですがー。

松田さんの新譜には他にもいろんな曲はいるようですが、プロデューサー兼アレンジャー兼ギタリストのAさんが強力なので、すんごい楽しみです。

レコ発ライブは10/28 東心斎橋SOMAです。

おまけ:

まこちゃん
まこちゃん