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C.W.ニコル x 南健二 – けふはここ、あすはどこ、あさつては

山頭火のほんとうに自由で素晴らしい俳句と、ニコルさんを撮った南さんの写真および挿入文で綴られた本。

南さんとはずいぶん昔に彼が最近まで開業していた長野の黒姫にあったペンション「ふふはり亭」を通して知り合った。もう20年以上前になるけど。それからこの宿には何度か訪れたことがあったのだけれど(本当に素敵な宿でした。時間がゆっくり流れ、食事がおいしく大切にされていて、そしてみんなで呑むのが楽しかった)、廃業されてからは年賀状のやりとりをするぐらいになってしまっている(もしくは地震や大雪のときに様子伺いの電話をしたりする)。

そんなやりとりの中、昨年の年賀状にこの本の出版のことが書かれていたので、早速買ってそのページを開いてみたのだけれど、その写真と文章とそれについた山頭火の句がすばらしすぎて、一気に読むのがもったいなくて、時たま新しいページを繰ってはひとりじんわりしてまたページを閉じるということをしていたら、読み終えるのに半年以上かかってしまった。一説では生涯に数万句詠んだという山頭火だけれど、この本に収録されているのは57。でもそれほど味わえる本だった、ということなんだろう。

もともとは山頭火の句を黒姫の山野の写真やニコルさんの写真につけたような写真集のような感じにしようとしていたそうなんだけれど、ある日南さんが山頭火の句にいままで自身が撮りだめてきたニコルさんの写真がぴったり合うということに気づいて、こういう形にし、さらにニコルさん来日50周年(!)ということもあって、彼の業績を称えるためにも文章をそえて、という形で刊行したそう。

なので、その句と写真とのマッチングが、、、ニコルさんと一緒に過ごし、よく見て、よく話して、よく呑んだ、そんな友人以上の視点からしか出せないような見事なマッチぶりで、写真を見るだけでも素敵だなとおもえるのに、それに寄り添う山頭火の句と相まってなんともいえない静かで力強い感動を与えてくれる。そして南さんの文章を通して伝わってくるニコルさんの姿や考え。もう山頭火が句を詠んだのは70年以上ぐらいまえなのに、今にも通じる普遍的な感覚、問題意識、そういうものをこの作品は教えてくれる。

しかし、ほんと全然知らなかったとはいえ(一番有名かもしれない『分け入つても分け入つても青い山』ぐらいは知ってたけど)、どの句もしばられない自由さを保ちながら、最小限のことばでその景色/情景/心情をうつしとって、ほんとに見事としか言いようがない。

ああ、この写真も、ニコルさんや南さんという存在も、山頭火の句も、どれも美しく、素敵で、うらやましい。

 

どれもいいけど、心に留まった句をいくつか

 

うしろすがたのしぐれてゆくか

 

いちにち物いはず波音

 

月へひとりの戸はあけとく

 

しみじみ生かされてゐることがほころび縫ふとき

 

清水弘文堂書房 2012

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