東京バンドワゴンの第三弾。今回はいつも何をしているのかいまひとつ分からない、でもロックスター(だった?)東京バンドワゴンの堀田家の息子我南人が日向に影に大活躍。といっても派手な立ち回りも何もないけれど。毎度同じように東京バンドワゴンに持ち込まれる難題の解決に(影で)奔走する。
謎のアナグラムや買い取った古本に記されていた謎の言葉、ずっと以前に海外から送られてきていたという極秘文書、本当に存在していたら怖い羊男、そして堀田家最大(?)の秘密が暴かれそうになり、、、などなど、今回も4編とも楽しく軽快に読める。
こういうシリーズものも巻を重ねていくとつまらなくなったり、二番煎じっぽくなったりしがちなのだけれど、このシリーズはまだ全然ならない。サザエさんが飽きないかのように、それこそたいしたことが起こったりするわけでもないけれど、日常のちょっとしたことを近所の人たちでわいわいいいながら乗り越えていく、ほんとホームドラマの典型みたいな感じで、退屈と言われてしまうとそうなのかもしれないけれど、でもそこにしかない暖かさ、落ち着き、ほのぼのさなんかもあるわけで、このシリーズはほんと上手いバランスで描かれてると思う。楽しい。憧れる日本のよき下町界隈。
集英社文庫 2010