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小川洋子 – 薬指の標本

kusuriyubi

小川さんが描く物語はどれもどこか少し歪んでいる、というか、ゆがんでいる、というか、少しだけズレた世界に放り込まれるような感覚がする。この本に収録されているのは表題の「薬指の標本」と「六角形の小部屋」の二つの短編。

ある街にある標本室。そこはいわゆる普通の標本室ではなく、なんでも標本にしてくれるという。楽譜に書かれた音、飼ってた鳥の骨、火傷した傷跡、、、もちこまれるものは様々。それらを標本室の技術士・弟子丸氏が丁寧に標本にする。以前に勤めていたところでちょっとした事故があり薬指が少し欠けてしまったわたしは、そこを辞め、ふらふらしているところでこの標本室に出会い、勤める事になった。そしてしばらくたったある日、弟子丸氏にあまりにもぴったりとしすぎる靴をプレゼントされる。あまりにも心地よくて脱ぐ事ができない。そして同時に弟子丸氏に恋をしてしまう。どうしようもなく。そんな柔らかな恋の沼を描く「薬指の標本」。

どこにあるのかなかなかたどり着けないのに、やがてたどり着いた先にあるのは不思議な六角形の小部屋。たどり着けた人々はその部屋で何かをして過ごす。それが何かはわからないが、みな安らかになるらしい。そしてそれを管理する謎の親子。街から街へとこの小部屋をもって移動する彼らとこの小部屋との不思議な出会いの物語「六角形の小部屋」

両方とも心地よいぬるま湯と霧の中にいるような気分になり、気づいたら戻れない場所に連れて行かれてしまう、そんな感覚がする。怖いけれど、抗いがたい、そんな世界。

新潮文庫 1998

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