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いしいしんじ – プラネタリウムのふたご

puranetarium

いしいさんの本は、いつもどこかへ連れて行ってくれる。今いる世界とどこかで繋がっているような気もするけど、もしかしたら時間も空間も別な場所なのかもしれない。でもなぜか知ってるような世界。

山に囲まれた小さな村、そこは田舎で人々が和気藹々と暮らしている。そこには大きな製紙工場があってたくさんの人がそこで働いている。製紙工場からでる煙や、昔からの土地の成り立ちのせいで一年中もやがかかったような空。そこにプラネタリウムがある。泣き男とよばれる男が毎日その素敵な語り口でその町では見ることのできない夜空を投影している。ある日、そこに綺麗な銀髪をした幼いふたごが捨てられていて、泣き男は彼らを受け入れて育てていくことにする。テンペルとタットルと名付けられた2人はすくすく賢く育ち、彼らの側にはいつも泣き男の夜空の、星座の神話のおはなしがあった。

ある時町に手品師のテントがやってきてふたごは魅了される。そしてひょんなことからテンペルはその一座についていってしまうことになり、やがてテンペルは手品師(しかもすこぶる腕のいい)に、そしてタットルはプラネタリウムの星の語り部となる。二人の行く末は、村の未来は?

いしいさんは村のはずれにすむ不思議なおばあさんの口を借りて言う「だまされる才覚がひとにないと、この世はかっさかさの世界になってしまう」。手品はその高い技術でもって現実にはありえないことを目の前で起こせてみせる、そしてプラネタリウムは実際の夜空ではないのに、それ以上に美しく星々を投影してみせる。夢のあること。でも両方ともたねや仕掛けがあって、目にはそう見えたとしても、本当は上手につくりあげたうそ。でもそれを信じて騙されないと楽しめない。悪い人に騙されるのは違うけど、そうやって気持ちよくちゃんと騙されることによって世界はとても滑らかに繋がっていく。

とかくなんでも四角四面に、細かなことも明らかに、ルール、とりきめ、そういうものでしか回せないような世の中はもうギスギスしてきている。そうじゃない、いい嘘とそれとわかって気持ちよく騙されることによって滑らかになることはたくさんある。そんなことを教えてくれる物語。実際そうあって欲しい。いやだ、いまの世の中のかっさかさ加減。

もっと感想あるんだけど、物語のこまかいことより、この言葉が嬉しかった、沁みる物語。いしいさんありがとう。

講談社文庫 2006

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