月: 2022年8月

先日旅先で受けた連絡は、ピアニストの細川さんの訃報だった。突然のことにしばらく呆然としてしまった。

実は細川さんとは10回も顔を合わせていない。初めて顔を合わせたのは8年前の熊本。ベースの教秀さんと九州ツアーをするにあたって、何人かの現地のミュージシャンとブッキングしたのだけれど、その中に細川さんがいた。教秀さんとは音源つくったりいろいろ古い仲だったよう。初めて会った細川さんは熊のように大柄で、情熱的で、物知りで、よく喋る、少し神経質そうな印象の人物だった。その風貌からてっきり九州の方かと思ってたけれど東京の出身といわれて驚いたのを覚えてる。

彼のピアノは独特で、あの風貌からは想像できない細やかで色彩豊かなハーモニー、ダイナミックさ、緩急の振れ幅がすごく大きくて、いわゆるジャズピアノの範疇に当てはまらない感じで、かといってクラシカルでもなく、ほんとザ・細川スタイル、という感じ。普通のフォームの曲をやってると逸脱するときもままあって、デュオでやっててもたまに「どこやってるんだろ？」ってなることもあるけれど、音楽自体が壊れることはなく、彼の中で聴こえる音に素直にやってるんだろうなといつも思っていた。なので彼との演奏は（主に最近はデュオばっかりやっていた）常に刺激的で挑戦的なものが多くて楽しかった。

共演の回数は数えられるくらいだし、共有した時間は短いものなのに、細川さんの印象は僕に強烈に焼き付いている。こういうのはその長さとかじゃなくて濃さなのだろね。確かに彼との演奏はとても濃密な時間だったし、その音楽性にとても影響されたのだと思う。のめり込みすぎると周りが聞こえなくなったり、譜面より自身の瞬間の感覚を優先したり、たまにピアノの音よりうめき声が大きくなったり、、、苦笑することも多かったけれど、僕は全て含めて素敵だと思う。彼のオリジナル曲も内省的で素敵だったな。

うどんが好きで、香川のどのうどん屋がいいか？あの店は今回こんなんだったよ、とか情報交換しつつ、いつか一緒に香川を巡ろうといいながら叶わなかった。よく食べよく飲み（だったよな？）よく喋るひとだった。彼のブログを見てもそうだけど、いつも頭がフル回転してる感じだった。音楽も詳しいけれどあまりにも突っ込みすぎるので煙たがれることも多かったのかなと思うけれど、ジャズに限らず音楽を深く愛してたんだろうと思う。たぶん人に対しては不器用で相手をいろいろ選んだと思うけど、そんな中いつも関西に来るたびに声を掛けてくれて、今年は沖縄へ来てもらいたいんだよー、と言ってくれててとても嬉しかったけど、それも叶わなかった。

せめて最後が安らかなものであったならと。細川さん、いつまでも忘れられない人です。また会って話して演奏してくださいね。ご冥福を。

昨夜、梅田クアトロで開催されたモダンチョキチョキズ「モダチョキ復活祭の逆襲」に来場いただいた皆さま、配信でご覧いただいた皆様、ありがとうございました！今できることを全てやった感じのライブになったんじゃないかと思います。ステージの上もとても楽しかったですが、ご覧になって下さった皆さんがそれ以上に楽しんで頂けてたら嬉しいです。

昨年9月の復活祭から約一年、また大きなステージでこの大好きなチョキチョキズができるのは楽しみなことであり、ドキドキすることであり、大変なことでもありました（特にフロント陣とエノさんには！）。リハなどのスケジューリングもだけど、曲を増やしたり、アレンジが変わったり（光司兄さすがです、ほんとご苦労様なのです）、そしてずるずる続くコロナ禍で心配事も多かったり。

でも会場を埋めてくださったたくさんの方々、また配信をご覧になってくださった方に支えられて無事開催できてほんと嬉しかったです！オープニングアクトを飾った「ロイヤル嫁姑」さんには笑わせてもらわ懐かしさ込み上げるやら（しかもアレンジも演奏も秀逸！）でしたし、我々モダチョキのステージも、リハ以上のハッスル様＆面白すぎるハプニングの連発で（この辺がこのバンドの最大の魅力の一つかも）マリちゃんを筆頭にみんな全力で駆け抜けた2時間弱、あっという間でした。

何度やっても思いますが、みんなで楽しめる踊りや面白さを支える曲の良さとかそのアレンジが素晴らしいなと。今回はホーンも6管になっていよいよビッグバンド的サウンドになってきて自分たちの重なる音が面白かったですし（「博多の女」とかはやっぱりああいうサウンドでやりたいもん！）。癖になるフリも、ちょっとした小ネタも何もかもが面白くて、ライブ自体がショー的なものになっていて、子供の頃にたまにテレビでやってたりしてすごいなーと思って観ていたトニー・ベネットやらライザ・ミネリのショーに魅せられたのを思い出したり。モダチョキイズム（矢倉イズムか？）というようなものが脈々と息づいているなーと思いながらステージに立ってました。

にしても面白かったですよねえw マリちゃんはじめフロント陣が前回よりさらにキレッキレでしたし、ゲストの真城めぐみさんの歌唱は圧倒的でしたし、イタ電（謎）も面白かったですし（スマホ時代ならではの演出ですよねえ。当日リハで突然そんな話でて、わわーって思ってました。しかも電話出ないしw）。ぶっちぎりだったのはやはり保山ひャンコーナーかなあw　リハから腹がちぎれるかと思いました(^◇^;) あの歌は先日ベアーズでのシークレットライブのとき突然披露されてその時も死ぬか！と思うぐらい笑ったのですが、いやー、破壊力抜群です。あの瞬間だけ上半身だけだったはずの保山さんが全身になって「保山が立った、保山が立った！」て言われてましたw

今回のホーン隊はラッパの永田くんとボントロの川久ボーンを入れての6人でした。やっぱ厚くなると楽しいです。永田くんとはたぶん大学卒業したころ以来だったので、30年弱ぶり？全然変わってなくてびっくり。昨日一昨日といろいろ懐かしい話とかしてて、そういえば僕をモダチョキに引っ張っていったのは永田くんだったよねえーと（その前はワクさんだったはず）。ホーン隊は当時からほんと入れ替わり（トラもいただろうし）が激しかったので、誰と誰が一緒にやってたよね？的な話が必ずでて、その度に、ああ、あの人もいたなー、で今何してんの？みたいな話がでるのも楽しいイベントです。

ああ、始まるまではあんなに長く待ち遠しかった時間も、始まってしまえばあっという間、体の中を嵐の様にモダチョキというものがブチ抜けていった感じで現在ちょっと抜け殻ですが、次回を楽しみにまたコツコツとです。

改めて来場くださった皆さん、配信を見てくださったみなさん、梅田クアトロやキョードーのみなさん、配信をしてくださったSSDのみなさん、ロイヤル嫁姑さん、メンバーの皆さん、お疲れ様＆ありがとうございました！

PS
配信は2週間アーカイブされているので今からでもご覧になれますよ(\2,500)。ぜひ！
https://twitcasting.tv/c:ssdstudio2020/shopcart/166055