R.I.P. 松本零士さん

松本零士という名前と出会ったのは、子供時代にテレビアニメで放映された「宇宙戦艦ヤマト」だった(たぶん再放送)。SFというか宇宙というものがもともと好きだった子供の頃の僕は、あのアニメはストーリーはもちろん、数々の宇宙船やメカも、曲も、あの毎回放送の最後に表示される「人類滅亡まであと何日」というのも衝撃的で、一気にのめり込んでしまった。そしてそこから繋がって「銀河鉄道999」へ。謎の女性メーテルは子供心にも何らかのときめきを感じさせたし、SLが宇宙空間を進んでいくという奇想天外さにもすごく惹かれたし、鉄郎にシンパシーを感じたしカッコよかったし。

当時、通っていた小学校は校長先生をはじめ絵を描く人が多くいた学校で、とある都合があって4年生から3年間担任になった尾北先生も絵を描く人だったので(別に美術の先生ってわけではないのだが)、なんだかんだと小学生のときは絵を描いていた(版画もよくやった)。描くのも好きだったし、あちこち写生にもいった。何年生のときだったか忘れたけれど、ある新聞社の公募コンテストがあって、先生たちにハッパかけられて同級生たちと(いや学校をあげてだったのかも)絵を応募したことがあったのだけれど、その時結構大きな賞を戴いた(別の機会のコンテストでも大きな賞を戴いたりしたことも)。その絵は今見てもめちゃくちゃ松本零士感溢れる絵で、たぶん「ヤマト愛の戦士たち」の彗星帝国や、999にめちゃくちゃ影響受けて描いてる。小学校から帰って工場で両親の仕事終わるの待ってる間もよく絵を描いてた。宇宙船の絵が多かったなあ。もう残ってないけれど。

松本さんの関わる作品を発端として、絵を描くことや、鉄道を想像させる曲、例えば海援隊の「思えば遠くへ来たもんだ」とか、いるかの「なごり雪」、百恵ちゃん「いい日旅立ち」を好きになったり、さらに80年代にあった「チャレンジ2万キロ」という国鉄のイベントなど鉄道ブームが子供の頃の僕にとても影響を与え、いまの僕の鉄道に乗ることだったり、宇宙や星に憧れたり、空想することが好きなことなどを形作っていると思う。

そして今感じるのが、松本さんから受けた影響、それを一番わかりやすく言葉にすると「ロマン」。壮大なSFを通して「ロマン」を求める心を育ててもらったと思う。「郷愁」というのもあるかな。

僕が鉄道に乗るのが好きなのは、もちろん鉄道というモノ的な嗜好もあるけれど、やはり時間をかけてどこかに移動する、っていうところが好き。出発地から目的地に速くスムーズに、点から点へ移動するのは快適で便利だけれど、時間をある程度かけて移動すると、車窓の景色や乗り合う人たちが少しずつ変化していき、そういう変化の中で、あるとき「ああ、遠い、知らないところに来たんだな」と思ったときに堪らなくロマンや郷愁を感じるのだ。それって鉄郎が999に乗って感じていたこと、つまりは松本さんが感じていたことにつながっているのかな、と。そういう気持ちになると、いま自分を運んでいる鉄道の、どこまでもつづく線路や、車両のちょっとした部品や、線路脇の敷地を隔てる柵(木だったりコンクリだったりいろいろあるし)、踏切の音などがどれも愛おしく、それらを昔作った人やその時の様子に思いを馳せられてしまう。

思い返すとこうやって自分の芯になる、ある部分を形作ってくれた松本さん。いつかお会いしたりお話してみたりできるチャンスがあるかなと期待していたけれど、それも叶わず。たくさん夢とロマンを与えてくださって、本当に感謝しています。ありがとうございました。安らかに。

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