ドラムライン

劇場に見に行きたかったけれど、行きそびれた作品(結構あるよな)。やっとDVDでみまひた。

話としては単純だし、別に特にといってとっぴなことがあるわけでもない。ごく普通の青春モノ(というのか?)だけれど、ドラム(およびドラム隊)には、正直しびれてしまいました。だってめちゃめちゃかっこいいもん。いや、かっこいいというより、クールでホット。どっちかいうと、クラシックでもない、素人にはブラスバンドのはでなやつか?とかそれくらいの意識しかないのだけれど、いや、これ、すごい、単純に技としてもすごいとおもうけれど、そのショー的要素が素晴らしく(きっと映画のためだからというのではなくて、実際にもっとものすごい世界があるに違いないと勝手に思い込み)て、目が点になってしまった。

スネアも極めればここまで単独でかっこいいか。うなってしまうわ。

でも、やっぱり多人数のバンドってのはグルーブものはだらっとしてしまうので、なかなか苦笑いなところやな。限界がやっぱあんのかな?それに比べ、ドラム隊はビシバシで、爽快やった。

欲をいえば、主役がもっと活躍してほしかった。

となりのトトロ

実はこの映画はテレビでしか見たことなくて、それもずいぶん前に見たきりだったので、ずっと見たいと思っていたのだ。ようやく見れた。DVDバンザイ。

ジブリ作品というか、宮崎監督の描く映画の世界(とくに日本やそれに似た土地を舞台にしているもの)は、昭和3~40年代のようにも見えるし、もしかすると現在どこか田舎にひょっとして存在してるんじゃないかーと思わせるような、そんな懐かしいあたたかな風景に満ちている。この作品で描かれている場所もすごくそんな感じ。年をくったせいか、そんな部分にすごく郷愁を感じ、涙ぐんでしまう。涙腺ゆるくなったなぁ。

改めて見てみて、ジブリ作品のなかでも一番か二番目に好きな作品と思う。話どーのこーのじゃなくて、単純にあったらいいなー的な夢を与えてくれる、そのシンプルさがダイレクトに伝わってくるから。トトロやまっくろくろすけ、ねこバスなんかがほんまにおったら、なんて素敵なんやろ!と単純に思ってしまえるほど、作品の中に没頭してしまえる。楽しい。幸せ。すごく単純に幸せを感じられる。

広っぱで泥んこになりながら走り回る、そんな子供のいる家って、いいなぁ。いいなぁ。いいなぁ。

望月諒子 – 殺人者

最近ミステリーばっかり読んるけれど、これはかなり面白いと思う。ミステリーというだけでなく、やるせないというか、犯人の背負ってきたものが直接的でなく、真相を明かされるとともに明らかになっていく点とか、幾重にも周到に用意された殺人劇の見事なつながりかたと、最終的に立証できないで終わってしまうという話の展開がとても面白い。結構枚数あるほうだと思うけれど、話が一直線でなく、いくつものショートストーリーをまとめて、ひとつ終わるところに次のストーリーのはじまりがあり、というような構成で、最後まで読んでしまう。

結構重たい気分になってしまうが、間違いなく面白いと思う。

集英社 2004

望月諒子 - 殺人者
望月諒子 – 殺人者

江川達也 – BE FREE

めちゃめちゃ久しぶりに読んだ。やっぱり面白い。ただのエロ漫画という話もあるが、それ以上に面白いとおもうんだけどな。

後半のもうただ勢いだけ、思いつきだけで展開させたんちゃうかーというようなストーリーの転げていき方・勢いには脱帽。

最近作者はよくTVにでてるが、この本の著者近影は別人かと思うほど細面だ。

デンジャラス・ビューティー 2

だいぶ前にシリーズ一作目を見たので、実のところ前の話をまったく憶えていなかった。憶えていたのは主人公のFBI捜査官グレイシー・ハート(サンドラ・ブロック)が鼻をんごんご鳴らすのがおもろい、ということだけだったのだが・・・・。

前作で顔が売れてしまったためにFBI捜査官としてめちゃやりにくくなってしまった彼女が、彼女の友人であるミス・アメリカを救うという話だけれど、今回もサンドラのいい感じのキャラが立って見ていて飽きない。べっぴんなのになぜか大阪のおばちゃん的キャラで、でも頭は切れる、でもなぜかちょっとドジくさい。今回の相棒役の人とのコンビもデコボコぽくて面白い。いいキャスティングだと思う。

後半のそっくりさんショーのシーン、もうちょいおもいっきりやってくれるともっと笑えたかなあ~。

土屋ガロン, 嶺岸信明 – オールド・ボーイ

8巻まとめて借りて読んだ。韓国映画として同名の映画になったものの原作。

おもろい。最近活字もよくミステリー読んでるけれど、漫画もおもしろいな。主人公のなんともいえんハードボイルドでもなくさや男でもないぐらいのキャラがいい。全体の筋もごちゃごちゃしてなくて、いい。

ちょうど刑事コロンボシリーズのように最初に答えがわかっててそれを如何に謎解きするのか、というようなものと似ていて、主人公が目的とする人物が早い段階で現れるのだが、謎解きは謎をとくほどに深まっていき・・・・という最後までどうなるかわかんなくておもしろい。結論も結局は・・・・・

一気読みした。全8巻

双葉社 1998

バリ島珍道中

最近昔の映画とかをほんと破格で売っているなぁ。なんてったて「バリ島」だし、ビング・クロスビーにハンフリー・ボガートが出てるんじゃぁ、きっとミュージカル風でオモロイに違いない。でも制作が1952年(だったか)なのがちょっと気になるが・・・・

快調にいかにもミュージカル風にはじまったので期待してみていたが、どんどん雲行きが怪しくなり・・・・、気づくとこれはおしゃれなミュージカル映画というよりB級ギャグ映画なのか?!というノリに。

だって、なんとか美術はバリ風なとこもあるのだけれど、音楽はインド風だし、変身するわ、天に登るわ、大イカでてくるわ(まるで昔の東映特撮のよーな)、人面サルは出てくるわ(これ動物保護団体に訴えられるぎりぎりやし(^^;)、火山は爆発するわー、でもう珍道中というかどたばたしまくりで大笑い。

あー、おもろかった!っておもろかったんかい!<自分

石田衣良 – 娼年

最初、高級売春クラブ(ただし女性向)が舞台のエロ小説かとおもった。でも実は全然違う。これは面白い。

筋はさておき、主人公はつまるところスカウトされて、高級娼夫となっていろんな女性と出会うのだけれど、まず感心したのはそのセックスの描写の巧さ、というか描き方で、完全にエロいのだけれど、いやらしくない。スポーツ新聞とかのああいう小説とは違うのね。ぎりぎりのところで品があるというか、とても現実的なリアルな描写なのに、グロかったり、エロすぎたりしない。あと、男性作家なのだけど、限りなく中性っぽい感じ、女性が書いたものとも多分違う。あくまで男の視点で描かれているからか。

主人公の目を通して、いろんな女性の欲望の形がでてくるのだけれど、それもまた「へー」と目からウロコなこともあったりして、なるほどーとおもったりして。奥深いというか、男って単純だなーとおもったりして。

なんだろ、知らないというか考えたことないことがたくさん描かれているので、すごく興味が湧いたというか、新しいチャンネルができたというか。うまく書けない。いうても大きなひとつの道だとおもって横をみたら、無数のたくさんの道があった、というような感じか?

書いててよくわかんなくなったけれど、とにかく面白くて一日で読んでしまった。でも電車で隣から覗かれたくはないな、恥ずかしいもん。

集英社 2004

石田衣良 - 娼年
石田衣良 – 娼年

吉村明美 – あなたがいれば

ようやく最終巻が出た。やっとこさ読めた。ま、結論はわかってたけれど、よかったよかった。うれしいなぁ。

この吉村さんのマンガ、好き。前に読んだ「薔薇のために」が一番好きだなぁ。なぜ好きかと自問自答すると、どうやら吉村さんの描く女の人が、妙に好きなよう。姿、というか、全体としての感じ(性格も含め、ね)。

あと、あんまり少女チックじゃないから、かな?

小学館 2005

沢木耕太郎 – 檀

作家・壇一雄氏の妻、ヨソ子夫人の視点から描いた壇一雄氏の生涯。沢木さんの作品らしく、夫人の一人称で徹底的に作者の感情を排した形で書かれている。ドキュメントでもなく、ルポタージュでもなく、小説でもなく。でも、読み手がヨソ子夫人本人またはすぐ横で話を聞いてる人になってしまえるぐらいの、自然でかつ深いその物語がぐんぐんせまってくる。一雄氏をしらなくても、名作といわれる「火宅の人」を読んでなくても、それに関係なく楽しめる作品。さすが沢木さん。

物語の内容はその「火宅の人」の裏側というか、実際の生活・人生としての一雄氏の姿を追っていくのだけれど、内容はおいておいて、一雄氏が他界する少し前からの描写(無論夫人が語った内容、口調で)が、ちょっと今のぼくには結構迫ってくるものがあって、読みながら、目を伏せそうだった。悲しいのじゃなくて、今までそんなことはまったく意識せずに生きてきたけれど、自分もそういう立場になる日もそう遠くないのかな?と最近実感するようなことが多いためなのだ。だからそういうシーン、実際にあったことこまかなことが生々しいというか、淡々としているけれど、スゴイ彩り・リアリティある、まるで映像が見えるかのような、そんなシーンは読んでつらかった。ちょっと震えそう。怖い。自分の畏れを外から突きつけられたようで、絶句してしまう。

ま、それはおいておいて(上のは物語上はほんの一部のことだから)、その生涯を追ったあとに、ヨリ子夫人がいろいろ振り返って思う、夫婦の形や愛、そういうものに思いを馳せる章は、時代や背景、作家という特別な人物、そういった要素を取り除いてみても、今の時代の人間にいろいろ諭し、考えさせてくれ内容だと思う。

さて、どう生きるか、か。
沢木耕太郎 - 檀