大好きなルポ・ライター(というのが正しい呼び方なのかはわからない)沢木氏の短編集。ボクサーや野球選手、騎手などを追うもの。
栄光のそばにはかならず陰がある。普通は何気なくやりすごしてしまう、たとえば「栄光と挫折」のようなよくある構図であっても、その中には入り組んだ、本人しか分かりえなかった事実が脈々と横たわっているに違いない。何かひっかかりをもった作者がそれをルポ形式で追い求めていく、その文章が、若くて、それゆえストレートに作者の視点・気持ちが伝わってくる。
まるで作中の本人になったかのように読める作品だと思う。面白い。