最近のこういう音楽家の半生とかを描いた作品ってのは、ほんと役者さんの徹底さがすばらしい。この映画でピアフ(これって芸名だったのか)役を演じたマリ オン・コティヤールがすばらしかった。なんであんなにできるんやろ。改めて国外の俳優さんたちの層の厚さを感じずにはいられない(って、単にモノ知らずな だけなんだが)歌も歌っているのかー。やっぱすごい。
戦争に翻弄された不幸な生い立ちからか、はちゃめちゃな清秋時代、そしてちいさな チャンスをつかんで大きく成長していく姿は、ひたすらへーっっと思ってしまうのだが、やっぱり才能あるひとというのは、努力ももちろんするのだろうけれ ど、頭角をあらわすべくしてあらわすんだろな。
全編をいろどるピアフの歌、その歌声の素晴らしさ、というか、すさまじさにほかのすべて が消し飛んでしまいそう。この人が歌うシャンソンってこんなんだったのか。内容とかも全く知らずぺらぺらした雰囲気ばかりが伝わってしまうものが多い中、 本当にシャンソンというものがこういうものだったのよ、ということを思い出させてくれただけでうれしい。
しかし筋の方が時間の制約か、 結構人生を描いて行くこと、恋人との日々、そして不幸な別れを描くのに精一杯で、もっと人生の深い、ピアフの内面を描くに至ってなかったような気がするの が残念。もっと一部分だけ切り取ってでも、このピアフのすごさを伝えられたんじゃないかと。
「愛の讃歌」ほんとはこんな歌だったのね。