公開から一年経ってやってこさ見た。もともと見たかった(予告で十分に面白さが伝わってきていた)んだけれど、最近どうもゆっくり映画館に足を運ぶ、という余裕がない、というかなくしているのか。
たぶん近未来の設定で、地球上の何割かの人間が同じネット上のシステムを共有してそれで社会システムが動いているような世の中になった時のおはなし。ある日そのシステムがハッキングされ、システム上の混乱がやがてリアル社会にも影響を及ぼし始める・・・。しかもその原因の一端が身内で。。。なんでもない10代の若い子たちの夏の恋愛話かと思いきや、そんな状況が降り注いできて、ハッキングの原因の一人がたまたま巻き込まれた一人の少年(主人公)にあると思われたり、と、話の展開もスムーズですごく面白い。
また舞台が長野の上田だったり、出てくる人々が元をたどれば武田家の家臣であったという設定だったり、旧家の家屋の感じ、夏休み、軒先、朝顔の鉢、などなど日本人が「ああ日本の夏だな」と無意識に感じられ懐かしさいとおしさを感じさせる演出や丁寧なアニメーション、女系家族の強い女の人達、たくさんの家族で囲む食卓、などなどいまは失われ忘れられ、嫌悪されているところもあるような日本の古式ゆかしきよさがあちこちに滲みでていてうれしくなる。
それらとネットのシステムという対比。冷たくコミュニケーションがなく、個が消えてしまうような世界。でもそのなかでも困難を前にしたとき人々はいろんなものを超えてつながることができるし、まだそういうやさしさもあるのだ、だってリアルな存在なのだから、という当たり前のことを提示されて、心揺さぶられてしまうなんて、ちょっと照れくさいけれど、なんかうれし。
いい映画。