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宮部みゆき – 理由

かなり分厚いし、描写が事細かなので結構読むのに時間がかかってしまった。途中でへこたれそうになったけれど、半分を超えたらスピードアップしていき、結局終わるのが惜しい感じまでしてしまった。

ある超高層マンションで起きた一家4人殺害事件をルポ形式で描いている。本当にあった事件を、事件の後に追ったように読めるのが新鮮(事件とともに時間的推移するパターンのほうが多いと思う)。なので、その事件の時間軸の中にいるようにも読めるし、すべてが終わった後のレポートのようでもあるし、微妙に視点を変えているので長くても飽きることがない。

ひとつの事件(事柄)にいったいどれぐらい多くの人間が関係しているのか。それを丁寧に紐解くと、ちょっとしたことでも実にたくさんの人間が関わっているものだ。しかも関わっている人たちは近くにいたとしてもぜんぜん知らない関係であったりもする。なので実際のものごとを隅まで調べきるというのは実に難しいことなのだろう。そういう記者になってしまったかのような錯覚まで覚える。

この物語では一家に見えた人間たちが実は他人同士であり、その家の住人ではない人間たちであり、なぜ彼らが死ななければならなかったのか、一体どうやって死んだのか、ということが物語の入り口のわかり良さ(というか単純に見える加減)から想像できないぐらい根が深く横に広がっていて、それが物語を複雑に、よりリアルに見せている。結局この事件で何か得た人はいたのか?長い長い物語をたどっていくと、その「理由」が少し垣間見える。でも大きな事件なのにその中心点はあいまいで、少しずつの動機が集まって重なって出来上がっている。

家族とは何か、暮らしていくとは何か、ずんと鈍い空気が読後を覆う。

朝日文庫 2002

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