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伊坂幸太郎 – 死神の精度

タイトルからして謎かけのようなこの本。死神というと「デス・ノート」を思い出してしまい、おどろおどろしい姿を想像して本を開いてみたが、これが見事に期待を(いい感じに)裏切って、めちゃくちゃ普通の人の姿(死神なのでいつも違う人の姿に身をやつす)だし、ちょっと物知らずで世間からずれた感じだし、音楽(ここではミュージックと呼んでいる)が大好きで渋滞が大嫌い、なんとも人間味溢れる姿で微笑ましくなってしまう。そしてそういう彼らが死すべき人間の査定にやってくる・・・そんな設定にまたしてもやられてしまい、伊坂ワールドまっさかさま。

名前もない死神だけれど、ちゃんと個をもつ主人公(?)がいろんな姿で人間界に降り立つ。そこで死ぬべきと査定された人間と7日間過ごす。そんなエピソードが6つ。ひとつひとつは独立しているが同じ登場人物が別のエピソードにもでたりして、伊坂さんの構成力にまたまた感心してしまう。そしてどの話も人間じゃない死神がすこし人間くさくていい。

死神というのはここではリアル世界の流れからは切り離された存在だ。その死神という視点をもって人間界を眺めると、ぼくたちが普段普通に思っている事象がどれも少しゆがんで感じられる。解説で沼野氏も書いているように「異化」という手法だそう。我輩は猫である、もその一種かな。視界を覆いつくす大きな流れの中にいると流れがわからないけれど、そこに一点止まっているところがあると全体がよく見える、という感じか。普段小さなことすぎて目にも止まらないけれど、違う視点から見てみると、それが実に全体を現しているようなこと、それが実は本質ではないだろうか。大きなドラマなんか実際はなくて小さな波の上で生きている、それが人間なんではないだろうか。

そんな取るに足らないことが、死神の目を通すと実に生き生きし、ぼくたちがすばらしいと感じているものは実は取るに足らないことなのかも。こうやって生きて時間が流れている中でもそういう視点をもてばまた違う進み方が見えるのでは?と示唆されているように思ってしまう。

ま、そんなぐだぐだはさておき、すごく面白かった!すっきり読めて爽快。余分なものがないって感じかな。実際死神いるのかもしれないな、と思ってしまう(笑)

文集文庫 2008

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