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石田衣良 – 夜の桃


石田さんでタイトルが「夜の桃」ってきたら男女の物語だろうなーと思って読んだらまさにその通りだった。40代半ば、仕事にも成功し、円満な家庭を持ち、魅力的な愛人まで持つ男 雅人。そして同じように成功している男3人と作った自分たちの遊び場所であるBar “Eat The Peach”。日々仕事、酒、女・・・たくさんの快楽に溺れる彼はこのまま人生の最もよき時を過ごしていくかに思えたが、あるとき出会ったまだうら若い少女のような女に、いけないと思いつつも恋をしてしまったとき、すべてが瓦解してゆく・・・。

いやらしいです(笑)電車の中で読んでいて横の人に覗かれたらきっと「エロ小説読んでるぞ、こいつ」と思われてしまそうなほど濃密な描写に溢れまくってて、ちょっと困るほど。しかし出てくる女性がどのひとも魅力的なのでぐぐぐと引き込まれてしまう。困った困った。

そういう描写をのぞけば、結構男性の生態については鋭い着眼をしていると思う。男なら誰でもこんな風に考えてるんじゃないかなと思える台詞もちらちら。結局は男という生き物はいろいろ獲得していくことに満足感を覚え、つぎつぎと新しい玩具をほしがるけれど、結局それらはすべて所詮玩具/幻想であって、ほんとうに自分本来の姿でいられるのは裸で女性といるときかもしれない。

あまりにも物語のテンポがよくて描写もこんなのだし(笑)、出てくる人物も魅力的なのですすすすーと読んでしまうのだが、こういう派手なストーリーに隠れて結構大事なことが描かれてるように思う。たしかにいまはバブルのころと比べたらなんでも小さく小さく我慢我慢な風潮になってしまっていて、男や女という生物自体の元気さ放埓さすなわち欲望の深さも削がれてしまっているよう。人間だって服を脱いで化粧を落としてしまえばただの動物。本来もつ動物的な部分まで矮小になってしまったら、それこそ種の危機なのかも(大げさかな)。石田さんはそんな弱りきった男性にエール、いや叱咤激励をしたいのかもな、と思ったり。

新潮文庫 2010

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