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伊坂幸太郎 – ラッシュライフ

結構厚い本で断片的かつ同時進行、しかしまったく関係ない物語が進んでいくので一体何がなんだったか?誰がどれだったか?こんがらなりながら読みすすんでいくうちに、物語がひとつふたつと重なっていき、やがて全体像が見えてくるという、これまた見事な構成美というか複雑さをもった作品。いやー、すごいなぁ。話自体のおもしろさよりもこの見事さのほうに感心してしまう。

神のごとく予言をする男、生きている死体、金ですべてが手に入ると信じている男、巻き込まれ青年、達観した空き巣・・・・さまざまな人間がばらばらに存在しながら交錯していく。ミステリアスな部分だけを取り出してもとてもおもしろいし、各人物像がくっきりしていておもしろい(これほど個性的な、というかくっきりしたというか、カラーが違う人間たち)し、物語のばらばらさ加減もいい。そしてそれが見事に繋がり収束する感じ。まるでとんでもない音からすごく遠回りしていたのにあれよあれよという間に見事に(しかも憎くなるほど洒落た音に)着地するドミナント進行のよう。

あまりにも複雑で時系列もこんがらがるのでネットには時系列を整理してくれる人がいるほど。なのであわてて読むとほんとよくわからない。一体どうやって書いたのだろう?と考えたけれど、もしかしてまともに書いてからちぎってばらばらに(でもすばらしくうまい手順で)並べたのかもなーと思ってしまうぐらいばらばらだ(決してそんな面倒なことはしないだろうけれど)。現代音楽、ミニマム音楽のよう。まぁちょっとつぎはぎがすごくて全体がわからなくなってしまうので、そのつぎはぎぐあいに圧倒されて物語の本筋の面白さが隠れてしまいそうになるのが難点だけれど、おもしろいことには違いない。でも強烈な印象はないかも。

印象に残るのは登場人物の黒澤さん。彼の吐く台詞がいちいち面白い(彼は他の作品にもでてきた!)。プロの泥棒である彼が言う。「誰だって人生のアマチュアだ」。その通り!

タイトルをカタカナにして英語をいろいろ充てるというアイデアもいい。音楽好きなのであろう伊坂さんを想像させる。やはり「Lush Life」を一番に想像してしまう。好きな曲。カバー表紙の絵も素敵。人生は交差することにこそある、のかも。または分かれ道の連続、ということなのかも。

新潮文庫 2005

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