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重松清 – きよしこ


どもってしまうある少年の物語。少年は父親の都合で転校をくりかえす。毎回転校先で事項紹介をするとき、カ行やタ行をどもってしまうので、自分の名前である「きよし」すら言えず、恥ずかしい思いばかりがつのる。思うことをいえない少年はいつもひとりぼっち。いじめられたり、笑われたり。でもある日勘違いから生まれた何でも話せる空想の友達「きよしこ」と出会い、教えられる。「それがほんとうに伝えたいことだったら・・・・伝わるよ、きっと」

物語は決してドラマチックでも何でもない。どもりに立ち向かったり、克服したり、なにか希望の救い手が現れたり・・・なんてしない。けれど、少年はがんばる、頑張り続ける。いつか言いたいことをちゃんと伝えることができるようになるために。

小学校や中学校、そして大人になる前に出会うひとたち。彼らは少年と、そのどもりを通して少年と対峙する。笑うもの、仲間になるもの、助けてくれるもの、喧嘩するもの。彼らに少年は言いたいことをうまく伝えられない。でもその少ない言葉から気持ちが伝わるときもある。間違って受け取られているときもあるけれど、少年が伝えたいことが少しは伝わるのかもしれない。それは少年時代特有の、子どもと大人の間だから許される時が生み出す奇跡なのかも。

なんでもない物語なのに、心の奥にしまっていた、懐かしい空気、景色、音、匂いを思い出し、くらくらしてしまいそうになる。懐かしい・・・・というより、ああああ・・・・という感じか。どもりという少し特殊な環境の話なのに、お話から感じる波動は普遍的なもの。そのあたりに重松さんの本の面白さがあるんじゃないかな。

やるせないなぁ、たまんないなぁ。

新潮文庫 2005

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