宮部みゆき – ブレイブ・ストーリー

映画にもなったし、話題になっていたので読みたかったのだけれど、なかなかチャンスなく読んでなかったが、ついに手元にやってきたので読んだ。本屋さん(といっても古本専門ですが・・・)にいったりしてもずっと出会えなくても、ふと知人がくれたりする(こういう本好きなんだろうなーと想像して)。本との出会いは不思議。

突然の離婚騒動に巻き込まれ、不幸な自分そして嘆く母をみているうちに、この状況をなんとかしたい、できれば何も無かったときへと時間を巻き戻したいと強く願う。そんな小学生ワタルの前に不思議な扉が開く。それは現世を反映して存在する”幻界”へと続く扉だった。扉は10年に一度しか開かない、そしてその扉の中に飛び込めばひとつだけ願いを叶えることができるらしい・・・・。そしてワタルはその扉に足を踏み入れる。

幻界はまるでワタルが大好きなPRGの世界のように、剣と魔法があり、さまざまな種族が暮らし、モンスターやドラゴンの生息する世界。その世界でワタルは勇者となってその”現世で叶えられるひとつだけの願い”を叶えてもらうために、5つの宝玉を探し、どこかにあるという運命の塔に住む運命の女神に会いに行くという冒険に出る。苦難の旅がつづき何度もくじけそうになるが、水人族のキ・キーマとネ族のミーナと共に冒険を続けていく・・・・。

上・中・下と3冊だしちょっと厚いめなので時間かかるかなと思ったけれど、面白かったのもあってあっという間に読み終えてしまった。こういうヒロイックファンタジーものというか冒険ものが好きなので(ゆえにRPGも好き)。ただグインを読みなれたものとしては幻界の描き方とか世界観がもっと欲しかったなあというところ。まぶたを閉じてもあまり映像として浮かんでこない。やはり形こそ冒険ものになっているけれど、宮部さんの描きたかった部分は違うところにあるからかな。

ワタルが出会う苦難の数々、行く先々で出会うヒトたちや街の感じなどからワタルが感じること、得られた経験、そのときは何を意味するかわからなくても、あとになって腑に落ちること。そういったものを通して、自分はどうしたいのか/どうするべきなのか、本当は自分は何を望んでいるのか、のようなことを悩むワタル。それは自分を見つめていくこと。こういうところはすこし「星の王子様」に似ているかも。勇気はそこにある。

どういう対象向けに書いたのかわからないけれど、子ども向けならなるほどなーで大人に向けては少々物足りなさを感じる。それは冒険ものとしてでもあるし、普通にフィクションとしてでも。宮部さんのほかのミステリーなどに比べるとちょっと薄い感じがしてしまう。まぁこの長さだと難しいからかも。でも子供向けなら納得できるかな。でもこういうシリーズも書いていってほしいなぁ。

角川文庫 2006

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