有川さん、相変わらず甘アマですごくこっ恥ずかしくて楽しい。「クジラの彼」につづくような自衛隊が舞台のラブコメの小作品集。でも最後の話がまた最初にくるっと戻ってくるちょっとした芸が憎かったり。
いわゆる自衛隊3部作でもその「クジラの彼」でもおもったけれど、有川さんの自衛隊(とかメカとか)に関する知識というか観察眼が徹底しててまずそこがすごくいいなぁと思う。そしてそのメカメカしたところに甘アマの恋愛話をするっとくっつけられるあたりにこの人の物語をつくる高い才能を感じてしまう。でも甘アマといっても全面的にべたべたしてるわけでなくて、うまいポイントでするっと出してくるのがまたいい。すごく濃厚なジャムがちょろっと使ってあるあんぱんのような(違うかw)。
でもこのシリーズの面白さというのはそういう部分だけではなくて、解説で誉田哲也氏が書いているように、描かれている自衛隊員さんたちの姿勢がぶれていないこと、だと思う。物語はおもしろおかしく描かれているけれど、彼等が常に心に誓っていることは「国を守る」ということであって、それをぶれさせることなくきちんと描いていることなんだと思う。ただたまたま面白い素材が自衛隊にあった、ということではなくて、こういう話を書くことによって、普段政治に左右され世論にさらされる自衛隊という組織、無論そこには生身の人間がいるわけなんだけれど、彼等がどういう立場におかれようと「国を守るのだ」という姿勢を第一に常に考えていて、彼等がいるからこそ市井のぼくたちは国の外で起こる物事に対して安心していられる(自分がその立場にはならなくてよい)のだ、ということをぼくらに語りかけているんじゃないかと。
この辺のことは文庫本には「文庫本あとがき」として有川さんの心情が書かれている。「(前略)総理大臣が出す命令ならどんな命令でも従わなくてはならないということで、近年は非常に歯がゆい命令が多すぎました。しかし、どんな理不尽な命令でも、彼らは命を懸けるんです。」、(自衛隊だけでなく警察や消防なども含め)「それを「仕事ですから」と誇ることさえせずに命を懸けるすべての人々が、正しく報われる世の中であってほしいと思います。」
全くそのとおりだと。いままで有川さんのこのシリーズを読んでいてもそんなこと意識できなかったけれど、これはとても大切なこと。ちゃんと意識しないといけない。とおもうと、自衛隊三部作もクジラの彼も、この本も、そして図書館戦争シリーズも有川さんは同じような立場で繰り返し同じことを言っているんじゃないかなと。
2012 角川文庫
たけいさん~お久ぶりですー。
有川さんの本で最初に読んだのがクジラ~で、他にもいくつか読みましたが、クジラ~が一番好きです(^人^)
“自衛隊のラブコメ”て、最初はどぉなんやろ~?て思いましたが、ホンマになんていうか、たけいさんが書いてるように、うまいポイントで、グッと落としてくるんですよね。。イマドキっぽくスルスルと読み進めるや、男女の感情の描写が凄く細かく描かれてたり…。素直じゃない部分が却って好きを強調させていたり…。うーん、良いですよね。こないだ友達に貸したら、めっちゃよかった!!言われて、また読み返しちゃいました。
この本も面白そうなんで、また探してみますー。
ライブもまた聴きたいなぁ。。
それではまたぁー。( ´ ▽ ` )ノ
どうもです。いやー、有川さんはほんとおもしろいです。僕も最初はひとにもらった「クジラの彼」でした。これではまったもんなあ。自衛隊とラブコメという組み合わせもすごくいいポイントやなとおもったけれど、やっぱり有川さん自身の話のつくりかたがうまいですよね。このひとも作品の書き方はライブ派(最初から全体の流れを決めてから書いたりせずに筆に任せる)だそうなんですが、こういう人の方が好きなのかもです。
どんどん人に薦めましょー!
ライブも時間あったらきてね!