千日紅の恋人 – 帚木蓬生

初めて読む帚木さん、まずお名前読めなかった、はかきぎほうせいさん、だそう。千日紅はかわいらしいちいさな丸い花で、紫やピンクなどいろいろな色があり、長期間咲いている花だそう。

父が遺した、彼が一生懸命に作り上げた安アパート”扇荘”を管理することと、介護施設での仕事をする日々を過ごしている時子。そのアパートには様々な住人が去来する。ずっとすんでいるものもいれば、すぐに出て行くものもいたり。かわった住人もいれば、まじめにコツコツ家賃を支払ういい住人もいる。

代わり映えもしなく、流れて行く、でも悩みのない日々。そこへ有馬という住人が越してくる。彼は古風な好青年で、抜擢された転勤でこの地へやってきて、扇荘にすむことになった。朗らかで、仕事もこなし、時子が手伝う職場にもボランティアでやってきたりする。かれはマメで、アパートの隅にあいていた土地に花壇をつくる。そこに植えられたのは千日紅だった。

今までに不幸な別離を経験してきた時子はそんな有馬を好ましく思うが、いまひとつ踏み込みこともできない。しかし有馬に誘われ母と一緒に鵜飼いを見に行ったり、施設の運動会ではしゃいだり、時子は少しずつ惹かれていく。ついに時子は彼から結婚を申し込まれるが、実は彼は転勤がきまったのだった。父の形見であるアパートと有馬との間で揺れる時子。。。。

男性作家が書く恋愛ものはそんなに読んできてないけれど、この帚木さんの小説はとてもぼくにフィットする(つまり好み)感じがする。ほかの作品も読んでみないとわからないけれど。男性作家特有の強引さ(いい意味でも悪い意味でも)がないし、話を進めるにしても、直接的な描写ではなく、(特にこの作品の場合は女性が主人公だからその視点で)やんわりした描写で無理なく話が景色としてはいってきて、いい読み心地だった。

すごく、すごく大人な恋愛もの。素敵。

新潮文庫 2008

宮部みゆき – 返事はいらない

6編からなる短編集。宮部さんの作品はいつもすこしクールな中に人の暖かさというかやさしさみたいなものが含まれていて、寒々しいことにならなくていい。それがシリアスな作品であっても。短編集ということでひとつひとつのお話はそう長くはないのだけれど、それも骨がある感じがする。

1994年の作品なので、いろいろ時代背景は古く、表題作である「返事はいらない」のキャッシュカードの話なんかは古いしくみ(でもいまでもそんなとこあるかもだが)だし、バブリーな感じのお店がでてきたり、東京がいまの感じとは違うキラキラさ加減で、その中にいるひとたちきらびやかな生活とそれにより浮き彫りになるさみしさ、などなどちょっと前の感じがするけれど、そこに描かれる人間の感じはかわってない。宮部さんぽいかなと。最後の「私はついてない」ってのはあるあるって感じでおもしろかったな。

「返事はいらない」「ドルネシアにようこそ」「言わずにおいて」「聞こえていますか」「裏切らないで」「私はついてない」って、なんかどれも中島みゆきの曲のタイトルみたい。

新潮文庫 1994

2014.7月のスケジュール

2014.6 2014.8 >

201407

※先の予定は随時変更されることがあります。

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7/3(Thu) Make Jazz Sextet
■ 岸圭佑祭!
大阪 芦原橋 studio & cafe MAKE 06-6562-3294
19:30〜 \2,000(1drink付)
[メ] 塩之谷浩司(Tp)、古御門幹人(Tb)、藤川幸恵(Pf)、手島甫(B)、岸圭佑(Ds)、武井努(Sax)
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7/4(Fri) E.D.F.
大阪 梅田 Azul 06-6373-0220
予約\1,500 / 19:00-
[メ]清水武志(p)、武井努(Sax)、田中洋一(Tp)、光田臣(Ds)、西川サトシ(B)
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7/5(Sat) satoko
名古屋 Valentine Drive 052-733-3365
19:30〜 前\2,700/当\3,000
[メ] satoko(Vo)、清水武志(p)、出宮寛之(b)、則武諒(ds)、武井努(Sax)

20140705-6
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7/6(Sun) satoko + たけタケ
愛知 西尾市 Jazz club intelsat 0563-35-0972
20:00〜 前\2,500/当\3,000
[メ] satoko(Vo)、清水武志(p)、武井努(Sax)
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7/7(Mon) 松田一志
■七夕にフレンチ de 星を見て Live
– 25組限定のプレミアム ディナーショー –
京都 比叡山 ロテル・ド・比叡 075-701-0201
要予約 77,000円/2名
(宿泊/フレンチコース/朝食/ウエルカムドリンク/シスレーgoods…等 付)
[出] 松田一志(vo)、武井努(sax)、城野淳(G&cho)、花田えみ(key)、Myah(vo&cho)
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7/10(Thu) 中島教秀・武井DUO
尼崎 JAMMER 06-7177-7501
20:00〜 カンパ制
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
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7/12(Sat) THE MICETEETH
ROKKO SUN MUSIC 2014
神戸 六甲カンツリーハウス内 特設会場
Open 11:00 / Start 12:00
前売 大人\5,500(入園料込)/子供\3,500(小学生・入園料込)
当日 大人\6,500(入園料込)/子供\4,000(小学生・入園料込)
[出演] ハンバート ハンバート / FRONTIER BACKYARD / NONA REEVES / the chef cooks me / THE MICETEETH / YOUR SONG IS GOOD
[問]GREENS 06-6882-1224
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7/14(Mon) 武井・馬田DUO
西宮 Three Codes 0798-55-5184
19:30~ \1,000 (つけだし\500)
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)
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7/16(Wed) MITCH
大阪 梅田 ニューサントリー5 06-6312-8912
Start 19:30 \1,800
[メ]MITCH(Tp,Vo)、武井努(Sax)、時安吉宏(B)、TAKU(Gt)、TAROW-ONE(Ds)、
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7/17(Thu) 清水勇博3
岡本 Born Free 078-441-7890
19:30~ 2,500
[メ]清水勇博(Ds)、萬恭隆(B)、武井努(Sax)
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7/19(Sat) 中島・武井Duo
豊中 我巣灯 06-6848-3608
19:00- 2,000
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
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7/22(Tue) 松田一志
■居酒屋のお座敷 de Funky Birthday Live!
大阪 千日前 呑み処 四八 06-6648-1148 (ミス大阪の斜め前)
[メ]松田一志(vo)、武井努(sax)、城野淳(G) …他
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7/23(Wed) 中島教秀・武井DUOツアー + α
広島 中区 Lush Life 082-241-7740
730-0027 広島県広島市中区薬研堀10-9 薬研堀ビル2 4F
20:00〜 前3,000円 / 当3,500円(ドリンク別料 500円)
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
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7/24(Thu) 中島教秀・武井DUOツアー + α
山口 防府市 JAZZ屋 0835-22-9230
747-0026 山口県防府市緑町1-1-25 六本木ビル2F
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)、山下正(g)
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7/25(Fri) 中島教秀・武井DUOツアー + α
熊本 エスキーナ・コパ 096-351-5855
熊本市城東町2-12 ライオンパーキングビル2F
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)、細川正彦(Pf)、香月宏文(Ds)
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7/26(Sat) 中島教秀・武井DUOツアー + α
Street Art-Plex
熊本市中心街
※詳細はわかり次第UPします。
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7/27(Sun) 中島教秀・武井DUOツアー + α
熊本 おくら
20:00〜 3,000円(学生2,500円)
熊本市中央区坪井1-12
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)、細川正彦(Pf)、香月宏文(Ds)
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7/28(Mon) 中島教秀・武井DUOツアー + α
久留米 Vinotheque(ヴィノテーク)
久留米市日吉町12-63 予約 090-6894-1866(中瀬亨)
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)、園田智子(Pf)
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7/29(Tue) 武井・馬田DUO
寝屋川 萱島 OTO屋 080-6126-1529
20:00~ 2,500
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)
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7/30(Wed) 仁川ファイト倶楽部セッション#3
宝塚 仁川駅前 さらら仁川 北館3F 音楽スタジオ
14:00〜20:00 参加費\500
※どなたでも参加できるジャムセッションです。特定のホストバンドはありません。ですので積極的に自由に演奏に参加してもらえる場になればと思います。ぜひぜひ奮ってご参加を。
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badguy sunset

思い起こしてみると、僕は20代最初のころ、とてもラッキーだった。今ではそんなことなかなかないだろうけれど、ただの学生でロクに演奏もできなかった僕なのに、大人たちからいろんなバンドに誘ってもらった。そしてそれらが今の僕の土台を築いたといっても言い過ぎじゃない。モダンチョキチョキズやE.D.F.、Wooden Pipeなどなど。

中林憲昭が率いていたWooden Pipeは、前身のPipe、そしてそれがもっと進化したElectric Pipeという80年代から話題になっていたロックバンドを、一転アコースティックなサウンドに変化させたバンドだった。でも単にロックの曲をアコースティックな楽器でやりました的なものではなく、当時はまだ誰もやってなかったような音で、ジャズやクラシック、様々な民族音楽を吸収/融合させて、自由奔放ですごく尖っていて、でも間違いなくこれはロックだ、というようなバンドだった。当時在籍していた塩谷さん(僕が尊敬してやまないsax奏者)から「武井くん、やってみない」といわれてバトンタッチすることになったのだが、ロックバンドなんかでやったことすらなかったけど、生意気だったあの頃は大人の仲間入りできたようでうれしかったし、芳垣さん(perc)や島田さん(Key)、教秀さん(Bass)がいて顔見知りだったのもあってちょっと心安かったのもあった。他は国次さん(Gt)、梅本さん(Dr)、たぶんコーラスには修造さんも来てたはずだし、PAはヒカリン(沢村さん)で、いまもずーっとつながりのある一世代上の人たちがメンバーだった。

作詞作曲とボーカルの中林さんはとにかくめちゃくちゃ格好良かった。大人だった。ロッカーだった。その音楽も、狂気さも、怖さも、すべてが圧倒的で、自分とは違う世界に住む憧れの人という感じだった。今では少し見え方が変わったので、印象が違ってるけれど、でも当時のあのインパクトはまだ記憶に染み付いている。初めて見た江坂ブーミンホールでのライブは強烈だった。

その後リハやらライブやらいろいろやったはずなのだけれど、なぜかバンドのことは全然憶えていない。そのころのことでひとつ思い出すのは、中林さんの紹介で、彼とずっと親交のある写真家のハービー山口氏がアメ村のBIG CAT(当時はコークステップホールという名前だったか)で開いた個展に出演させてもらったことだ。「NYの街角で吹いているsax奏者のように、たまにふらっとやってきて吹いてほしい」といわれ、個展の間、その写真に囲まれてひとりで佇んで演奏した。きっとかなり拙い演奏だし、もしかしたら間が抜けているような姿だったはずなのに、ハービーさんが撮ってくれた写真はすごく格好良く撮れている。それが掲載された雑誌は今でも大事に取ってある。

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就職をきっかけにWooden Pipeも含めほとんどのバンドは辞めてしまったのだけれど、だいぶ経ってまたミュージシャンとなって戻ってきた僕にある日中林さんは連絡をくれ、「レコーディング手伝ってくれへんか」と言われて行って録ったのが、彼の2作目のアルバム「I was here」の中の曲だった。懐かしい感じがした。僕を憶えてくれていて(そのときもまだロクに吹けないのに)すごく嬉しかった。そしてそこからまた中林さんとはライブをしたり、呑みに連れて行ってもらったり、遊びにいったり、東京でのライブに来てくれたり、密ではないけど濃い付き合いが始まった。なんかよく可愛がってくれた、だいぶ年下の弟って感じだったんかな。

そして3作目の「無用 – no need -」のレコーディングをして、そのレコ発を東京と大阪でやるということになり、さあいよいよリハーサルに入ろうかというとき、彼は倒れた。2008年のことだった。なんとか一命は取り留めたれど、彼は歌うことができなくなってしまった。何が何かわからなかった。大酒呑んでひっくり返ろうが、むちゃくちゃな喧嘩しようが、いつも次になったら「おう」とかいって、ちょっと悪いことして叱られた子供のようにはにかんで姿を見せるはずなのに、今回はそんなふうにはならなかった。あのときメンバーに郵送するはずだった譜面は封筒に入ってそのままになってる。どうしたらいい?

まだ入院してすぐの頃は顔を出してたのだけれど、重篤な状態は去り、リハビリとかするようになってからは、体の自由が利かなくなって、障害までをも負ってしまった彼に会いに行くのがつらくて、なかなか行けなかった。こういうときどんな顔したらいいのかいつも分からなくなる。でも、会いに行くと、誇らしげにリハビリの様子を語ってくれることもあれば、ひどく落ち込んで自分を皮肉るときもあった。そして僕は内心、リハビリがまあまあうまく行ったとしても、もう二度とあの輝く姿を、しびれる歌声を聴くことは叶わないんだろうな、と思っていた。

けれど、長期間にわたる地味で驚異的な中林さんの努力(と、ふっこさんの超人的な献身)によって、動かなかった手が動き、杖を使いながらも立って歩き、出なかった声がでるようになって、昨年彼はステージに復帰することになり、ある日そのためのリハーサルを小さなスタジオでやった。多少かすれているとはいえ懐かしい大好きなあの声と、気品ある英語を聴いたとき、涙が出た。「ああ、帰ってきた。ほんまよかった」。この人とまた一緒にできることを、こんなに待っていたという自分に驚いた。20年くらい前の気持ちが蘇ってきた。どうあろうと、中林憲昭は中林憲昭であった、と。

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その夏のコンサートのあともクリスマス時期にライブをやって、また今年2014年も夏にコンサートをやろうという話だったのだけれど、結局それは叶わないことになってしまった。今年に入ってそんな調子はよくないものの電話ではよくしゃべってたし、メールも頻繁にきてたので、そう心配してなかったのだけれど、5月前ぐらいから心配な状態になってきて。。。。先週電話でいろいろしゃべったとこなのに。前の晩なんか夢にでてきて「中林さんに会いに行かんと」と思って会いに行った6/21の深夜に還らぬ人となってしまった。間に合ったけど、、、、間に合った、って?

あまりのタイミングの良さ(悪さ?)に涙もでない。声も出ない。ただ手にすがって点滅する0の数字を眺めていただけ。家に帰って、アルバム聴きながら中林さんと乾杯して、ちょっと泣いた。

中林さんがいなくなった、とは、これを書いてるいまも実感がない。お通夜やお葬式(音楽葬もみんなでできてよかった。中林さん約束守ったから!)で棺桶に収まる彼をみても、それは彼の姿ではない気がした。彼は消えてしまった。でも彼の音楽を聴くと、眼に心に存在としての彼を感じることができる。肉体の枷をはずされて、より自由になってぼくらの心や周りに宿っている、そんな気がする。

****

音楽が素晴らしいものであるということ。自分を貫き通すためには自分を曝け出すことを厭わぬということ。カッコつけるのではなく格好よくありつづけるのだということ。気高い精神と脆い心、音楽への尽きることのない情熱と才能、大人の狂気と子供のような無邪気さ、呑気な陽気さとその影にちらつく大きく深い哀しみ。簡単にいえばメチャクチャだったけれど、中林さんは僕にとって最初に現れた本物のロッカーでスターで憧れの大人で、だめな兄貴のような人だった。僕は中林さんが大好きだった。

とりあえずしばらくは会えないけれど、そっちにいる奴らとまたバンドでもやっていて欲しい。またそのうち会いに行けるから。

 

中林さん、ほんとありがとう。おつかれさま。よく休んでくださいな。

 

badguy-nn

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P.S.
中林さんが遺した音楽をより多くの人に知ってもらいたいです。エンジニアの沢村さんが貴重な音源をいくつかUPしてくれてるので、シェアします。まだほかにもありますし、これからも増えて行くと思います。

中林憲昭Woodin PIPE スタジオ録音

塩谷さんのソプラノ、いいなぁ。

中林憲昭ThinkPink 1st アルバム colurs of my dreams より。2014年ミックス

大好きな曲。これもソプラノ塩谷さん、素晴らしいなぁ。

中林憲昭ThinkPink 2nd アルバム I Was Here より。2014年リマスター

京都カフェ「Table &sofa」で収録されたセッションから。大好きな曲、Tiff

同じ収録から。Elegy

 

発売されているアルバム

colours of my dream / think pink!
colours of my dream
think pink!
I Was Here / Think Pink Syndicate
I Was Here
Think Pink Syndicate
NO NEED 無用 / think pink syndicate
NO NEED 無用
Think Pink Syndicate

小川洋子 – 偶然の祝福

一瞬小川さん自身のエッセイか?と思ってしまうような、連作短編小説。

息子と愛犬アポロと暮らす主人公の私。私の周りでは不思議なことがいろいろ起こる。伯母がびっくりするくらい”きちん”と失踪してみせたり、お手伝いさんをしているキリコさんが実になくしものを取り戻す名人であったり、作家である私の熱烈なファンであるへんな男につきまとわれたり、病気になった愛犬をふと助けてくれる獣医が現れたり。

なにかがなくなったり、欠けたりするとなにかが訪れる。それは幸せというもの、なのだろうか。

形あるようで実体のない、でも嫌な感じではなくて、雲のように軽やかだけど、霧のように冷たい空気がまとわりついてくる、そんな感じがする小説。しっかり景色が目に浮かんで、断片的な物語がまぶたに焼き付くのに、読み終わってみると、それらは軽やかにどこかにいってしまい、きれいに忘れ去られ、すこし甘くて苦いような、でもさわやかな感触だけが残ってる。実に不思議。

解説が川上弘美さんてのも面白いな。

角川文庫 2004

有川浩 – フリーター家を買う。


またまた有川さん。この作品もまた面白いタイトル。”フリーター”と”家を買う”っていう言葉、ある意味(リアルな世界においては)真逆なものに感じられる昨今、いったいどんな物語なのかなーとベージをめくると、今まで読んだ有川さんと全然違うトーンの物語が始まる。

折角就職した会社をたった3ヶ月で「自分にあわない社風だ」と思ってやめてしまい、フリーターをしている息子。そんな中、実は彼の知らないうちに長い年月ストレスをためていた母親が鬱になってしまう。自分がかわいくて自分のため以外には何もしようとしない父と衝突する病院に嫁いだ姉。殺伐とする家庭内。とにかくいざという時のために金を貯めねばと肉体労働のバイトに精を出しはじめた主人公にひょんなことから再就職のチャンスがやってくる。

後半はどんどん展開が明るくなっていくあたり、やっぱり有川さんらしいなとおもったけれど、前半の胸が痛くなるような感じははじめて。甘さのかけらもない物語の展開は読んでいて苦しくなってしまった。決して誰もがこんな状況には陥らないとは思うけれど、でも、誰しもがこの可能性がないとはいえないし、特に息子の立場である自分のことを考えてみても、こういうことや似たようなことになる可能性はなきにしもあらずなので、すごく怖かった。

そして後半は生活を安定させたり、地位を得る、という以上に、働くってのはとてもいいことよね、と思わせてくれる内容だった。何かを成し遂げることも楽しいけど、人とのつながりとか、そこで生まれてくる物事とか、そういうことに触れたり、出会ったりできるのは非常に楽しいことだと思う。

主人公の悩みや逃避、気づきや成長を通して、じぶんを眺めてみて(比較する?)一体自分はどうなんだろうと考えたり。自身のためには何かできているかもしれないけれど、少なくなってしまった家族やその周りの人、仲間たち、というような人間関係に与えたもの、そして生み出してきているはずのもの、そんなものがちゃんとあるのかな、と。毎日を消費してしまって(いるように感じる)このところに何か一石を投じられた気がする。停滞して悩んでいるばかりではだめよね。

重松清氏の解説もまたいい。

幻冬舎文庫 2012

[猫日和]2014.6.7 かま&P

武田寛夫さんの個展「猫の絵展」を見に行って、そこにあったたくさんの原画のなかに、かまとPちゃんにそっくりなのがあったので、譲ってもらいました。で、記念撮影。

同じ顔してくれた
同じ顔してくれた
耳の立て方なんてそっくりw
耳の立て方なんてそっくりw

Just In Time

Just In Time
Just In Time

先月5月末をもってまた愛された店が閉店した。神戸は元町にあったJust In Time。2004年オープンだったはずなのでその歴史は10年とすごく短いのだけれど、かなりお世話になったお店。改めて自分の以前の日記を探してみると2005年2月に行ったのが初めてで、そのあとすぐの1周年のジャムセッションにもいってる。それからも年に数回(まったく行ってなかった年ももちろんあるけれど)ライブをやらせてもらったり、三宮あたりで時間が空いたらちょっとコーヒー飲みにいったりしていた。

昨年のいつごろだったかに(9周年のジャムセッションのときだったか?ホストやらせてもらいました。セッションホストか?みたいなメンバーでどっちかいうたらライブやってくれー的なノリだったけれど、参加者も観る人も多くて楽しかった)マスターが「最初はこの店10年やいうててんけどな、まだもっとやれそうや」的なことを言うてはったので、マスターの元気なうちはずーーーっとやってもらわんと困りますわー、なんて話してたのに、昨年末ぐらいか今年に入ってから「実はなぁ….」と5月いっぱいで閉店することになってしまったことを聞いて、すごくすごくがっかりしたことを憶えている。先月淀屋橋のROYAL HATが閉店した(実際はオーナーが変わって、再オープンしている。が、まだ夜営業やライブはしてないみたい)ところだし、よく出入りしていたところがこうも立て続けに閉店したりすると、自分が疫病神なんちゃうか?みたいな気持ちになったりもする。

店内
店内

なので、春先からはことあるごとにお店を訪れてはコーヒーを飲んでママやマスターとだらだらしゃべったり、音楽をいろいろ聴かせてもらったりしていた。CPのときもそうだけれど、音を鳴らし続けていた空間というのは同じ設計で同じものを置いたとしても同じ音にはきっとならない。長い時間かけて育って行くものだと思う。だから、たとえマスターが、ほならいっちょ頑張って別で店構えるかー、と思ったとしても、いまの音に近づけたりそれ以上にしていくには、きっとまた相当な時間が必要。育ててきた空間を壊すのは一瞬だけれど、作り上げるのは時間がかかってしまうもの。そういう空間が意図しない(とはいわないけど)理由やタイミングで奪われてしまうのは、一体どんなけ残念なことなんやろう、と思うと悲しくて仕方ない。

閉店前の5/29にいったときも、いたって平常通りの営業で(でもちょっと音大きかったかなw)、話したりレコード聴いてる間に時間があっという間に過ぎていってしまった。最後にええもん沢山聴けたしうれしかった。

あともうひとつ寂しいのはこういうお店がなくなると、ぱっとマスターやママに会えなくなること。お店があればいつでも顔を見に行けるけれど、そうでなければ会うことは難しい(マスターは「ライブいくでー」とは言うてくれてますが)。いろんな意味で僕たちはお店に、マスターやママに、そこに集う人たちにお世話になってるけれど、お店という場所があってこそのこと。やはりお店が減っていくのは(しかも愛された店が)悲しく寂しいことだけではなく、大きな損失。といっても全然力にはなれてないけれど。

とにかく、マスター、ママ、お疲れさま&ありがとうございました。とにかく疲れなど出ませんよう。また会いにいきますー。

2014.6月のスケジュール

2014.5 2014.7 >

201406

※先の予定は随時変更されることがあります。

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6/6(Fri) Funky Sax Night
大阪 梅田 Azul 06-6373-0220
予約\1,500 / 19:00-
[メ]Tony(Sax)、武井努(Sax)、TAKU(Gt) from 韻シスト、土本浩司(B)、Tarow-One(Ds) from 韻シスト
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6/8(Sun) The Big Wind Jazz Orchestra
大阪 梅田 ROYAL HORSE 06-6312-8958
Open 18:00 1st 19:00~ 2nd 20:30~
\2,500(別途1ドリンク、1フード)
[メ]飯田憲司(As)、落合智子(As)、武井努(Ts)、後藤重樹(Ts)、松並真嗣(Bs)
横田健徳(Tp)、菊池寿人(Tp)、黒岩洋輔(Tp)、福中明(Tp)
堀田茂樹(Tb)、大島一郎(Tb)、太田健介(Tb)、坂本裕樹(Tb)、的場誠治(Tb)
志水愛(Pf)、宮詠子(Pf)、片岡耕一(B)、原満章(B)、箕作元総(Gt)、森山和弘(Dr)、山下嘉範(Dr)、飯嶋ももこ(Vo)
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6/9(Mon) 松田一志
岸和田 旬彩 dining sushi なかの 072-437-1711
open18:00 start19:30
前\3,000 / 当\3,500
[メ] 松田一志(vo)、武井努(sax)、城野淳(G)
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6/10(Tue) 中島教秀・武井DUO
尼崎 JAMMER 06-7177-7501
20:00〜 カンパ制
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
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6/11(Wed) E.D.F.
大阪 芦原橋 studio & cafe MAKE 06-6562-3294
19:30〜 \3,000 (1ドリンク付)
[メ] 清水武志(Pf)、田中洋一(Tp)、武井努(Sax)、光田じん(Ds)、西川サトシ(B)
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6/14(Sat) satoko(Vo)
東大阪 八戸ノ里 Bar 蓄音機 06-4307-0080
19:30- \2,000
[メ] satoko(Vo)、清水武志(Pf)、武井努(Sax)

20140614
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6/16(Mon) 武井・馬田DUO
寝屋川 萱島 OTO屋 080-6126-1529
20:00~ 2,500
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)
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6/18(Wed) MITCH
大阪 梅田 ニューサントリー5 06-6312-8912
Start 19:30 \1,800
[メ]MITCH(Tp,Vo)、永田充康(Ds)、武井努(Sax)、時安吉宏(B)、杉山悟史(Pf)
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6/19(Thu) 武井・箕作DUO
東大阪 俊徳道 Crossroad 06-6736-8870
20:00~ \2,000
[メ]武井努(Sax)、箕作元総(Gt)
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6/20(Fri) JAYE(Vo)
■ CD「Taste Of Emotion」発売記念ライブ
大阪 京橋 Beronica 06-6939-9292
18:00 Open 19:30 Start 前\3,800 / 当4,300
[メ]JAYE(Vo)、後藤俊明(Gt)、三浦晃嗣(Ds)、土本浩司(B)、木村音登(Key)、堂地誠人(As)、武井努(Ts)、高田将利(Tp) special guest: DAISUKE
発売/予約開始日:4/12(土) Pコード:230-464
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6/21(Sat) しぶやさんと1・2・3!
神戸 三宮 Big Apple 078-251-7049
19:30~ 前2,000 / 当2,300
[メ]渋谷毅(Vo,p)、ナガオクミ(Vo)、東ともみ(Vo,B)、池田安友子(Vo,Perc)
guest : 武井努(sax)、石田裕子(vo)、華乃家ケイ(vo)

20140621
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6/22(Sun) THE MICETEETH
■ Nabowa 10th Anniversary 開催!
大阪 アメリカ村 Big Cat 06-6258-5008
open 16:30 / start 17:30
adv 4,200yen door 5,000yen (別途ドリンク代500yen)
[出] Nabowa / Caravan / THE MICETEETH
[チケ] チケットぴあ(0570-02-9999/Pコード:228-145) / ローソンチケット(0570-084-005/Lコード:57626) / e+(http://eplus.jp)、JAPONICA Music Store(075-211-8580)

Nabowa-10th-fl-163x300
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6/23(Mon) 武井・馬田DUO
西宮 Three Codes 0798-55-5184
19:30~ \1,000 (つけだし\500)
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)
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6/27(Fri) たけタケ
大阪 西梅田 ヒルトンプラザウエスト
14:05 / 15:05 (30分ずつ) 無料
[メ]清水武志(Pf)、武井努(Sax)
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6/27(Fri) 北川真美(Vo)
大阪 桃谷 M’s Hall 06-6771-2541
20:00~ 1,800
[メ]北川真美(p)、野江直樹(Gt)、武井努(Sax)
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6/28(Sat) 中島・武井Duo
豊中 我巣灯 06-6848-3608
15:00- 2,000
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
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6/29(Sun) チャーリーニーシオ
大阪 心斎橋 大丸心斎橋劇場
Open 13:30 Start 14:00 前\4,000 / 当4,500
[出演]チャーリーニーシオ(Vo)、オリジナルハードジャズオーケストラ、ヒットパレードバンド

20140629
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福岡後記2014.4

太宰府天満宮の太鼓橋
太宰府天満宮の太鼓橋

これももう1月前のことになってしまいますが(なぜ、今頃になって書く気になったのか、自分でも不明w)、4月の終わり頃に2日ほど福岡を訪れました。もちろん演奏するためですが、その2日目のお昼間は時間があったので、移動のついでにいろいろ寄り道をしてみました。

線路は続くよー
線路は続くよー

ひとつめは大刀洗という街にある平和記念館。前回朝倉を訪れたとき乗った甘木鉄道(これがすごいいいのですよ)の途中にある大刀洗駅の駅舎の上に飛行機が乗っていて、なんだろなーと思ってたのですが、今回観光マップみたいなやつを見るとその平和記念館があるということで(大刀洗には第一次大戦頃から大きな飛行場があった)、しかもそこに零戦(32型)と九七式戦闘機があるということで、こういうものをじっくり見る機会もあまりないし、単純に飛行機見たいという気持ちと、世間が少しきな臭くなってきた今、何か知っておかねばならないのではないかという気持ちから訪れてみたのでした。

単純に零戦という美しい機体自体もすばらしかったですが、大刀洗の飛行場と街の歴史、戦時中の話、特攻隊の話(知覧とならんでここは特攻の基地にもなっていたそう)なんかをじっくり見たり読んだりして、とにかく、とてもショックを受けました。知らなかったこととか、戦争の悲惨さとかそんな簡単なことじゃなく、事実としてあったのだ、という、その当たり前に知っていたことだけれど、親からもいろいろ聞いたりもしたけれど、こういう歴史的物証を目の当たりにすると、すごく衝撃でした。その衝撃がすごすぎて、”こんな風に思った”なんて単純には気持ちを書けないです。なんか今でももやもやしています。

いくつか写真を。館内は零戦以外は撮影しちゃいけなかったのです。

その平和記念館を2時間以上かけて満喫したあと、ま、あとは博多にいくだけだったので、単純に来たルート(基山でJRから乗り換えるルート)で戻るのはおもしろくないなーと思ってたら、小郡で西鉄と乗り換えられるということで、西鉄にのって(プチ乗り鉄根性を発揮)とりあえず博多の方行こうーと各駅停車に揺られていたのですが、路線図を見てると、あ、これで太宰府天満宮いけるのか!ということに気づき、二日市駅で乗り換えて天満宮へいきました。もう10年以上前に一度博多で半日ぐらい時間あまったときにPP氏と一緒にいったことあったのですが、今回訪れてみて、こんなとこやったっけ?とw。全然憶えてなくて、逆に新鮮で良かったです。(猿回しとバナナの叩き売りだけは憶えてるw)

さすが菅原道真を祀る神社だけあって、すごく立派で堂々としていて、境内も美しくて、天気はいまいちだったのですが、訪れてよかったなーとおもいました。本殿もいいのですが、周りにある小さな神社たちも良かったです。本殿東側にある中島神社やそれに並ぶ小さな祠たちは、緑に囲まれすごく神秘的でしたし、北側の山にある天開稲荷社もよかったです。なにより、境内が自然に溢れていて、大きな樹木がたくさんあるのがすごく気持ちよく、その木々を眺めているだけでなにか厳かな気持ちになり、気が静まっていくようでした。ちょうど木々が萌えだすいいタイミングだったのかもしれませんね。

半日ぐらいでしたが、こうやって知らないものに触れることができる旅ってほんといいなーと。博多また行きたいです。あ、もちろん演奏もしましたよw

清水賢二氏(Sax)、田口悌治氏(G)らと
清水賢二氏(Sax)、田口悌治氏(G)らと