愛川さんはだいぶ久しぶり、というか「六月六日生まれの天使」しか読んだことがない。ので、あまり記憶にないのだけれど、その本も少しオカルトチックだったような感じがしたが、このお話も不思議な、というか人類普遍の謎である”生と死”がひとつのテーマになっていて、その中でも輪廻がキーワードになっている。
ある日大きな歓喜仏に抱かれるようにして首をつって死んでいる女性がいた。彼女は臨死体験者であり、かねてからその方面の著書もある人物であり、病気もあって間もなく自分は死ぬことを知っていたようだった。警察はこれを自殺と断定したが、本当はどうだったのだろうか?夫である画家と、後妻にはいった女。その間に生まれた子供の秘密。
時系列をすこしずつ行ったり来たりして、謎の核心に迫っていく書き方も、テーマも、全体の感じも前に読んだのと違ってすごく面白く感じられた。前はタイミング悪かったのかな。なによりもオカルトぽいところ(ここでは仏教や密教がモチーフにされている)が怖くて、でもそれは実際に僕たちの身にも降りかかるであろうことで、たんにお話として読むというより、もっとなにか諭されているような気になってしまうお話だった。
チベットの「死者の書」って読んでみたいなあ(たぶん章ごとに引用されてるのがそれよね、たぶん)、でも、ちょっとこわい。
タイトルで最初に気づくべきだったなあ。7週間ということは49日だもん、そういう系の話かってわかるよね。うまいタイトル。
文集文庫 2010