百田尚樹 – モンスター

久々に百田さんの作品。世間でいろいろ騒ぎを起こしていたりもするけれど、その真意や賛否についてはここではおいておいて、純粋に作品を楽しみたい。

田舎の町にうまれ、悲しくも持って生まれたあまりの醜さにバケモノ扱いされ、それでも強く生きていこうとする主人公・和子。ある日思い悩んだ末に起こした事件をきっかけに彼女は家族からも縁を切られ、町を追われる。その後もひっそりとまじめに暮らす彼女であったが、ある日目の整形をしたことをきっかけに自身の容貌を作り変えることに目覚める。

莫大な金額をかけ完璧な美人に生まれ変わった彼女(名前も未帆にした)はそれまでとは全く違った人生を歩めるようになる。やがて彼女の心によみがえってきたのは、若いときに起こした事件の原因となった男への情熱だった。そこで彼女は長い年月ぶりに生まれ故郷に帰り瀟洒なレストランを開いたのだった。。。。

結構分厚い作品だけれど、これもスピード感あってあっという間に読めた。整形して美人に生まれ変わった女が昔の関係者に復讐する、というパターンの話なら山ほどあるだろうけれど、これはだいぶテイストが違うような。それは最後まで読んでのお楽しみ。モンスターというタイトルはわりとそのまんまだけれど。

面白いなーと思ったのは人の顔に関すること。人の印象というのは最初に見たときに8割ほど決まってしまうという説もあるけれど、顔のパーツがどういう風に配置されているかで随分印象が違うそう。それらが(物語上では)整形の話に付随するように解説されてておもしろい。それに表情や化粧、髪型などなど。男性はあまり頓着しないけれど、女性が自分を魅力的にみせたり、印象的にしたりするには、持って生まれたものもあるけれど、化粧などをつかても随分変えられるよう。怖いような、いいような。

いまは昔のように絶世の美女(もしくは絶対的な美女)というのはなく、個性的な美人が多いらしい。均整のとれた顔よりも、少し偏った、でも魅力的なパーツがあるひとが好まれる傾向にあるとか。ぼくたちにとって随分違うようにみえる顔でも、実は計測すると数ミリも違わないらしい、目が大きいとか、口角とかとか。不思議なもの。

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