ライブ盤2タイトル

数年前に長野は松本で「信州JAZZ民」というグループが立ち上がり、それ以来各地からミュージシャンを招いて松本を中心に信州のジャズシーンを盛り上げようとしています。ぼくもいままでに2度コンサートをさせていただきました。どちらもアットホームだけれども真剣な場で、少し緊張しながら、でも楽しんで演奏できたことをよく憶えています。

その信州JAZZ民が、これまで企画したライブから5つの音源をライブアルバムとして発表することになりました。そして何故そうなったのかはさておき、その5タイトル中に僕が出演したライブが2つとも含まれることになっています。恥ずかしいやら嬉しいやらなのですが、高音質で録音されたこのライブ音源(僕のものは、ライブをしたチクマ楽器のホールの音そのまんまです)をこうしてまた形にしてくれた信州JAZZ民のみなさんにほんと頭が下がります。結構大変だったそうで。

そのアルバムはこれらです。両方ともライブをそのまま収録した2枚組です。

SJM-JLIM 150201 ■ Jazzlive in Matsumoto 1

[DISK 1]
1. I’ll Remember April
2. Moanin’
3. Moon River
4. ねこさんポ
5. Night In Tunisia

[DISK 2]
1. Impressions
2. りんご追分
3. フイルム
4. Spain
5. St. Thomas

[メンバー] 武井努Sax、牧知恵子Pf、萬恭隆B、表直志Ds
[収録] 松本 チクマ楽器 2012/11/24

SJM-JLIM 150202 ■ Jazzlive in Matsumoto 2

[DISK 1]
1. All The Things You Are
2. 大きな桜の樹の下で
3. Tears Stood In Your Eyes
4. Fables Of Faubus

[DISK 2]
1. Uran’s Song
2. もん7
3. フイルム
4. ミッドナイトコール
5. Hush A Bye

[メンバー] 武井努Sax、牧知恵子Pf、萬恭隆B、則武諒Ds
[収録] 松本 チクマ楽器 2014/4/19

あと3タイトルはそれぞれ「Jazzlive in Matumoto 3 / 藤井美智(Tp)4」「Jazzlive in Matumoto 4 / 藤井美智(Tp)4」「Jazzlive in Matumoto 5 / 俵山昌之(B)5」です。詳細は信州JAZZ民のサイトで見てくださいね。

これらのアルバムは今のところ信州JAZZ民のサイトから通販いただくか、僕から直接購入していただくか(持ち歩きますね。買ってくれるとうれしい)しかないのですが、今後販路が広がっていくのではないかと思います。また今回はCDという形(正確にはCDR)になってますが、本来の狙いはいま流行りかけのハイレゾ音源での配信だそうで、それが実現する日をこれまた楽しみにしている次第です。

愛川晶 – 七週間の闇

愛川さんはだいぶ久しぶり、というか「六月六日生まれの天使」しか読んだことがない。ので、あまり記憶にないのだけれど、その本も少しオカルトチックだったような感じがしたが、このお話も不思議な、というか人類普遍の謎である”生と死”がひとつのテーマになっていて、その中でも輪廻がキーワードになっている。

ある日大きな歓喜仏に抱かれるようにして首をつって死んでいる女性がいた。彼女は臨死体験者であり、かねてからその方面の著書もある人物であり、病気もあって間もなく自分は死ぬことを知っていたようだった。警察はこれを自殺と断定したが、本当はどうだったのだろうか?夫である画家と、後妻にはいった女。その間に生まれた子供の秘密。

時系列をすこしずつ行ったり来たりして、謎の核心に迫っていく書き方も、テーマも、全体の感じも前に読んだのと違ってすごく面白く感じられた。前はタイミング悪かったのかな。なによりもオカルトぽいところ(ここでは仏教や密教がモチーフにされている)が怖くて、でもそれは実際に僕たちの身にも降りかかるであろうことで、たんにお話として読むというより、もっとなにか諭されているような気になってしまうお話だった。

チベットの「死者の書」って読んでみたいなあ(たぶん章ごとに引用されてるのがそれよね、たぶん)、でも、ちょっとこわい。

タイトルで最初に気づくべきだったなあ。7週間ということは49日だもん、そういう系の話かってわかるよね。うまいタイトル。

文集文庫 2010

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上橋菜穂子 – 夢の守り人

上橋さんの守り人シリーズ三作目。人の夢を糧として育つ異世界にある花。そしてその花に誘われ次々に夢見たまま起きなくなってしまう人々。彼らは現実から逃避するために夢見ることを選んだのだった。そんな花に新ヨゴ皇国の第一妃、そして第一王子のチャグムまでが囚われてしまう。そして同じく幼なじみが囚われてしまった呪術師のたまごタンダは彼女を助けに行くのだが、逆に囚われその花を守るものに変化させられてしまう。

そんなタンダを救うべく立ち上がるバルサとタンダの師匠である呪術師トロガイ。ひょんなことからバルサが救った歌うたいユグノが実はこの一連の事件に深く関わっていることがわかる。この男の招待とは?明かされるトロガイの過去。バルサとトロガイはタンダやその他のものたちを救えるのか?

いままでの二作品も現実世界と並行して存在する異世界に関わる部分も描かれてきたが、今回はかなりどっぷり描かれているので、想像力がいるというか、ファンタジーだけれどファンタジーのなかにまたファンタジーがという感じがする。そういう現実でない世界にさらにその現実でない世界を混ぜ入れて、混乱しないように描けている上橋さんさすがだなぁ。

今回のテーマはほんと誰もが一度は思うような、現実逃避してこのまま眠っていたい、という願望。そして、でもそれは願うべきではなく、どんなに辛くてもちゃんと生きて進んでいくべきなんだ、という現実に対する生き方。「もうこのまま全て忘れて寝てた方が楽」なんて思うことよくあるのだけれど、そうしたって何も解決しない。ちょっと先に延びるだけだし大概自体は悪化する。勇気を持って前に進め、と上橋さんに言われた気がする。

養老孟司氏の解説がとてもいい。ファンタジーとは何か、ということにとても簡潔に、潔く書いてくれてる。養老さんの本も読んでみたくなった。

新潮文庫 2008

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オバスカドン

大阪に”オバチャーン”というおばちゃんのアイドルグループがあって、いままでレゲエやヒップホップの曲をリリースしているのですが、実はTHE MICETEETHとコラボで第4段となる音源を作ることになり、4月にレコーディングをし、5月に撮影をしました(ほんとはもっとはやくやる予定だったのだが、おばちゃんたちが振りを憶えられなかったとかとかw)。

その音源配信とYoutubeでのMV配信が本日6/3に始まりました。うっとおしい季節にぴったりな元気でる曲ですよ。楽しいからぜひ見てくださいね!

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オバスカドンiTunesにて配信中↓
https://itunes.apple.com/jp/album/oba…
~大阪のオバチャンパワーで世界を元気に~
オバチャーン公式第四弾曲「オバスカドン」の公式MV!
なんとTHE MICETEETHとのコラボスカソング!
落ち込んだときにはオバスカドン聞いて元気になってやー!

オバチャーンオフィシャル http://www.obachaaan.com/
マイスティースオフィシャル http://miceteeth.jp
オバチャーンFacebook http://www.facebook.com/obachaaan

2015.6月のスケジュール

2015.5 2015.7 >

201506

※先の予定は随時変更されることがあります。

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6/1(Mon) Ensemble Shippolly [アンサンブル・シッポリィ]
大阪 天満 バンブークラブ 078-251-7049
19:30~
[メ] 西島芳(vo,pf)、武井努(cl,ts,ss)、中山雄貴(tb)、有本羅人(tp,bcl)
しっぽり;
1 ぬれて十分に湿りけを含むさま。
2 男女の情愛のこまやかなさま。
3 落ち着いて静かなさま。しみじみ。
「デジタル大辞泉」より
20150601
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6/2(Tue) Ensemble Shippolly [アンサンブル・シッポリィ]
神戸 三宮 Big Apple 078-251-7049
19:30~ 前\2,500 / 当\3,000
[メ] 西島芳(vo,pf)、武井努(cl,ts,ss)、中山雄貴(tb)、有本羅人(tp,bcl)
20150601
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6/3(Wed) 武井・馬田DUO
兵庫 西宮 Three Codes 0798-55-5184
19:30~ \1,500 (つきだし\500)
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)
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6/4(Thu) 松田一志
大阪 西成 難波屋
Open 18:00 / Start 19:00
チャージ \2,500-(1drink+1アテ付)
[メ] 松田一志(vo)、武井努(sax)、城野淳(Gt,cho)
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6/5(Fri) 松田一志
■ soma8周年 – ACE meets 大阪SOUL
大阪 東心斎橋 SOMA 06‐6212‐2253
Open 19:00 / Start 19:30
前\4,000 / 当\4,500 (1ドリンク代別途500円)
[出] ACE / Kazushi’funky’Matsuda(武井努(sax)/城野淳(G&cho))
[チケット販売] ローソンチケット / Lコード : 52931
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6/6(Sat) 名古屋アートフェスタ 2015
愛知 名古屋 栄 オアシス21 銀河の広場
9:00-19:00
[ライブペイント] 左右田薫 / YOICHIRO / ハタヤママサオ and more…
[ステージイベント] KONISIHIKI&TAUPOU / 大桃美代子 / 武井努トリオ(武井努sax、徳田智史b、清水行人gt) / フイ・フラ・オ・レイアロハ / 中谷文美
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6/9(Tue) 藤井郷子Orchestra KOBE!!
神戸 三宮 Big Apple 078-251-7049
19:30~ 前3,000 / 当3,500
[メ] 藤井郷子(pf)、田村夏樹、瀬戸一成、James Barrett、有本羅人(Tp)、三原智行、今西祐介(Tb)、岩田江、水谷康久(As)、荒崎英一郎、武井努(Ts)、登敬三(Bs)、吉野竜城(Tuba)、清野拓巳(Gt)、船戸博史(B)、井崎能和(Ds)
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6/11(Thu) うたことせいめんたい
■ 教秀シェフの賄いチャーシュー撈麺 対 武井手打ちうどん!付き 華麗なる麺対決
神戸 三宮 Big Apple 078-251-7049
19:30~ \前2,200 / \当2,500
[メ] 中島教秀(B)、武井努(Sax)、山内詩子(Vo)
※前回好評につき、またまたやります。まかない麺付きライブ!!!食べてよし聴いてよし!
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6/13(Sat) 世界のパール鈴木祭り
神戸 三宮 Chicken George 078-332-0146
OPEN 16:50 / START 17:30
\2,500 (別途ドリンク代\1,000)
[出演] SEX LESS MACHINGUNS【MIFFCHANG(Vo&Gt),ダイ・サトリアーニ(Gt),Takenoizy(B),テツオタ・ナガヤン・ジョー(Dr)】 / ブリンセス ブリンセス【SASA(Vo),アッキ(Gt),リョウ(Key),エリック(B),恵美姉(Dr)】/ つれづれん【石村亜万菜(Key),笹尾晴海(Gt),森健太郎(Dr),松野泉(Vo)】 / WRATH GRAVE featuring Atsuki-view【Atsuki-view(Vo),りょう(Gt),マーくん(B),はると(Dr)】/ プロペラ_Ki featuring パール鈴木【パール槻舘(Dr),パール田中(B),パール江部(Gt),パール山田(Kye,Vo),パール鈴木(Vo,Gt)】/ ヤマハスピードスターズ【原田けいすけ(Vo,Tp),山本ひろしげ(Vo,Gt),古川ひでのり(Ag),村上ゆうた(Gt),酒井けんた(B),芳野あいこ(Key),中尾たかなり(Dr)】/ Pearl Wind & Fire with ロイヤル中安グループ【パール鈴木(Vo),まんぞう(Dr),武良匠(Gt),西村有布(Gt),Zingoro(B),ぢゅんこっこ(Key),チーチョ西野(Perc),福谷誉樹(Tp),高瀬一也(Tp),武井努(ASax),北島レイコ(BariSax),山田大記(Tb),ロイヤル中安(Vo),ユリ(Cho),ジョッキー(Cho)】
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6/14(Sun) 中島教秀3
豊中 我巣灯 06-6848-3608
19:00- \2,000
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
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6/17(Wed) MITCH
大阪 梅田 ニューサントリー5 06-6312-8912
Start 19:30 \1,800
[メ]MITCH(Tp,Vo)、武井努(Sax)、時安吉宏(B)、永田充康(Ds) ほか
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6/20(Sun) 仁川ファイト倶楽部セッション#7
宝塚 仁川駅前 さらら仁川 北館3F 音楽スタジオ
14:00〜20:00 参加費\500
※どなたでも参加できるジャムセッションです。特定のホストバンドはありません。ですので積極的に自由に演奏に参加してもらえる場になればと思います。ぜひぜひ奮ってご参加を。
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6/22(Mon) 中林憲昭 追悼Live!
大阪 アメリカ村 Soap Opera Classics 06-6121-6688
19:00- \2,400+1drink\600
[参加ミュージシャン] 平山修造(Vo,Gt)、清水武志(Pf)、西島芳(Pf)、島田篤(Pf)、泉尚也(B)、梅本啓介(Ds)、平山国次(Gt)、清水興(B)、沢村光(Eng)、武井努(Sax) ほか
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6/23(Tue) 中島教秀・武井DUO
兵庫 尼崎 JAMMER 06-7177-7501
20:00〜 カンパ制
[メ]中島教秀(B)、武井努(Sax)
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6/27(Sat) 北川真美
大阪 放出 Dear Lord 090-8141-7309
[メ] 北川真美(Vo)、野江直樹(Gt)、武井努(Sax)
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6/28(Sun) チャーリーニーシオ
■ Charlie’s Hit Parade 2015
大阪 大丸心斎橋劇場 06-7711-7600 (10時-18時)
(心斎橋大丸 北館 14F)
開場 13:30 / 開演14:00 (終演予定16:30)
前\4,000 (高校生以下\2,000) / 当4,500 (高校生以下\2,500)
[メ] チャーリーニーシオ(Vo)、村上剛(Pf)、福栄宏之(B)、多田明日香(Ds)、酒井ヒロキ(Gt)、武井努(Sax)、田口愛理(Key)、梶川ようこ(cho)
[問] チャーリーニーシオ 090-3274-4236

20150628
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6/29(Mon) 武井・馬田DUO
寝屋川 萱島 OTO屋 080-6126-1529
20:00~ 2,500
[メ]武井努(Sax)、馬田諭(Gt)
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6/30(Tue) E.D.F.
大阪 芦原橋 cafe Make 06-6562-3294
19:30~
[メ]清水武志(p)、武井努(Sax)、田中洋一(Tp)、西川サトシ(B)、光田じん(Ds)
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奥田英朗 – 東京物語


1978年、名古屋出身の18歳の青年が上京する。なれない大都会、学生時代の淡い恋、仕事に追われるだけの日々、少し得意になっていてもまだまだと実感する20代半ば、そして30歳を前にして思うこと。友人と、恋人と、仕事の仲間と過ごす青春の日々。そのときどきにはその時代のトピックがあった。ジョンレノンの射殺、キャンディーズの解散、ベルリンの壁崩壊などなど。80年代を経験した人は(そうでないひとも)あのころのことを追体験するような時代の匂いがする小説。

奥田さんの作品でも初めての感じ。これとてもいい。まあたんにこの時代が懐かしいからというのもあるのかもしれないけれど、バブルにむけて時代が大きく派手に動いていた時代、みんな忙しくも楽しく輝いて生きていた。なにもすべてが良かったというわけじゃないけれど。そういう気持ちをすごくよく思い出させてくれる。とくにキャンディーズの解散は懐かしい、70年代が終わったって感じしたもんなぁ、幼かったけど何か変わるんだって感じた。

まあ20代ってほんと甘酸っぱかったり青春って感じで、誰も大なり小なりこういう経験してきているとおもうけど、僕らぐらいの年代の人間にはさらにその青春に80年代というのがかぶさると堪らない気持ちになってしまう。懐かしい、ほんと懐かしい。いい時代だったとおもう。読みながらあのころの空気の感じとか、街の変わっていく様子とか、音とか、匂いとか、いろいろフラッシュバックしてしまう。

またなんとなーく片岡義男っぽいところもあったりして(ブランド名の出てき方とか、服装の描き方とかとか)それもまた好きな要因かな。「彼女のハイヒール」なんてタイトルそのまんまぽいもんw

楽しかった。

集英社文庫 2004

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池井戸潤 – 株価暴落


半沢直樹シリーズとおなじ銀行もののお話。ただしこっちのほうが半沢シリーズより前にかかれたのかな。巨大スーパー・一風堂が爆破される。それは企業テロだった。顧客は不安になって店から離れていく。拡大路線一筋だったこのスーパーはまさにいま業績不振からの経営テコ入れ、銀行融資を受けたところだったのに、事件によってさらに業績は悪化、株価は下がっていく。こんなときその主力銀行はどうすればいいのか。倒産を免れるために支えるのか、それとも・・・。融資を審査し苦い反応をしめす主人公・坂東と銀行経営を上手く行かせたい企画部の二戸は正面衝突する。

そしてこの事件の犯人と目された人物の親は一風堂出店により軋轢が生じた小さな商店街で反対運動をした男でだった。その男は自殺をしていた。これは恨みからの犯行なのか?

長年に亘って築かれたシステムを守るのが大事なのか、それともあくまでバンカーとしての姿勢を貫くことが大事なのか。テーマはお金に翻弄され人生を狂わされる人たちや社会を守ること、そしてやもすればそれと対立する銀行という私企業のあり方、それらが天秤にかけられることが描かれる。今が大事なのか、先のことを考えるべきなのか、お金というものの力を思い知らされる。たしかにこれは判断するに難しいこと。大企業の倒産というのはそれだけでたくさんの人を巻き添えにすること。でも一方銀行は金を正しく運用することが一番大事なこと。これらは時には相反する。

そこで悩む主人公。根回しして主人公を追い落そうとする誹機の中の敵。企業テロの陰に見え隠れする別の顔。一体犯人の狙いは何なのか?

銀行のことは組織もなにもわからないので組織名や役職を読んでもぴんとこないので、最初は少々読み解きにくい部分もあるけれど、まあなれたら大丈夫。でも、読めば読むほど銀行っていうのは特殊な組織・体質なのだなと思う。彼らは実際には何かを産んだりしないもんな。だからこそ権力を握ろうとしたりするんじゃないだろか。バブル以降、銀行も潰れるというような世の中になってさえ、やはり銀行はどこか違う地平にあるような気が、読んでいてする。

銀行の組織の話、そして企業との関係、そしてテロとそれにまつわる企業の評価の推移。それらをうまくつなげて犯人は見事な作戦を練り上げている。それがどう解かれていくのか、そのあたりもスピード感あってぐんぐん読めて面白い。でも、もう少し(銀行というところを描こうとするからそうなるのかもだけれど)スムーズに読めるといいんだけどなあと思う。ムズカシイ言葉がおおいから、か。

あと最後ももうひとつ物語欲しかったなぁ。ラストがだいぶ急いだ感じするから、ちょっとだけでも頭取という人間を見てみたかった。

文集文庫 2007

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田中啓文 – 猿猴


「大きな猿が世に生まれだして人類を食らうだろう」という聖徳太子の予言から話は広がっていく。雪山で遭難した主人公奈美江が助かったのは偶然転がり込んだ土仏が並んだ奇妙な奇妙な洞窟のおかげだった。その失敗を拭おうをもう一度雪山にチャレンジした奈美江だったがやはり遭難してしまい、同じ洞窟にまたたどり着き、猿人のようなものに襲われる。まるで猿のような子供、猿の仮面をかぶった男たち、、、猿にまつわる奇妙な物事が奈美江をとりまいていく。

物語が進んで、いろんな謎が謎を呼んでいくなかで、「このままギャグ落ちだったらどうしよう」とか思ってしまったけれど、すごくシリアスな展開のまま最後まで怒涛のように進んで一気読みしてしまった。エピローグもいい感じ。なんか映画・猿の惑星を思い起こさせる(物語中にも何度か猿の惑星でてきた)。

聖徳太子、豊臣秀吉、出雲の国譲りの神話、中国の秘境などなど、田中さん、また今回もいろんな世界を見せて、教えてくれる。しかしこのたくさんの知識をどっからもってきて詰め込んでるんだろう。ほんとに中国いったんかなー。まるで見てきたかのように文章から絵が浮かんでくる。すごい。田中さんが見せてくれるいろんなものからまた別の興味が湧いたり、知らなかったことを知りたいと思ったり。今回も日本の神話の下りや(自分の国の創世の物語をしらないのは日本人ぐらいではないか、という指摘もあった、その通りかも)、聖徳太子あたりの時代の話なんかはとても興味惹かれる。知らずにいままできたけれど、もっと色々知ってみたい。大いなる秘密というか、神秘的なもの、でもそこにも人間がいただろうし、もっと自然は過酷だっただろうし、そういうものを知らしてめてくれる昔話をもっと知りたいなと思った。

あー、面白かった。

講談社文庫 2012 書き下ろし

猿猴 (講談社文庫)
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[猫日和]2015.5.19 Pちゃん

Happy Birthday!!! 2nd Anniversary!

P3rdHPD
Pちゃん、2歳の誕生日おめでとう!!すっかりでかくなってしまって、来た当時の可愛さはどこへやらだけれど、甘えたでやっぱり可愛いです。
P3rdHBD-2
で、大きさ比較。右のアイロンは普通の大きさです。アイロン台になんとか載ってる大きさです。でか!

 

ケース

newcase
Walt Johnsonのケース。またたくさん働いてもらいます。で、大事にします。

テナーのケースを新調しました。新調といっても中古なのですが。同じものが良かったのですが気に入って使っているWalt Johnsonケースはもう作ってないのだそうです。というのも最近は作りがよくなくてクレームが多かったからだとか(じゃあちゃんと作ってよ、という話なのですが)。なので新品を入手することもできないし、中古にするならばできれば昔の(10年以上前の)作りよかった頃のものが欲しかったのです。で、いろいろ探していたらたまたま中古品でいいものがでたので早速入手しました。毎回ケースを選ぶときは、軽さや見た目よりも丈夫さ(移動も多いし扱いも荒いし。飛行機もあるし)を重視して、そのとき一番頑丈そうだなと思えるものを選んでいるのですが、それでも壊れるんですよね。

それに伴い、今まで使っていたケース(これもWalt Johnson)や、その前に使っていてほったらかしになっていたもの(Jacob Winter 壊れかけてる)、だいぶ前に買い換えたて使ってないバリサクのケース(これも壊れかけてる&ハードケースで重い)などを処分することにし、粗大ごみとして処分場に出してきました。

これまでにケースを捨てたことは確か一度だけあった(さらにその前につかってたテナーのケース、これもwinter)のですが、このときはどうやって捨てたのか忘れてしまいました。が、今回は粗大ごみとして持って行ってもらうのではなく、直接処分場にいったので、目の前でゴミになって、他のガレキと一緒くたに粉砕処分待ちのゴミ捨て場に投げ入れられるのを見て、心が痛くなりました。たかがケースなんですけどね。楽器と違って。ケースは楽器を守るもの、ケースが壊れても楽器を守ってくれたらそれで十分役目を果たしてくれている、そういう性質のものなのですけど。なぜか「あああ」とか思ってしまいました。そして、もしかしたら別の場所では同じように廃棄されていく楽器たちもあるんだと思うとさらに「ああああ」と思ってしまいました。正しく人の手がかかって産まれてきたモノが粉々になるのは忍びないです、たとえそれが十分に役目を果たした後だとしても。

もちろん楽器が大事なわけですけれど、ケースも長い時間一緒にあって、あちこちへ一緒に行ったりしてるわけです。楽器があるところ、つまりぼくがいった場所にはケースも行ってるわけですよね。一番重労働させられて、それで傷だらけになって、テープで補修してあったり、懐かしい公演のシールが貼ってあったり。そんなケースを初めて愛おしいというと変だけど、そんな気持ちになりました。

ケースだけに限らず、モノってお金と交換したらどういうように使おうが自分の勝手だ、というのが普通の感覚かなと思うけれど、例えば時計とか服のように嗜好品として愛用するものとは違って、明らかに消耗品/耐久品であるこういうケース(鞄とかはまた扱い違うのかもしれないですが)などにも同じように思えたら、もっと世の中、いわゆる「もったいない」の精神が広まると思うのですが、どうでしょうか。

ちょっと話は逸れますが、その処分場の帰り道にラジオで、外国語の文化すなわち(とくに英語)いろいろ口にして説明する文化について話題になっていたのですが、何かを口に出して相手に気持ちを伝えたり説明したりすることはとても大事なことですが、一方口に出さないことは思ってないのと一緒、というようになってしまってるんじゃないかと思います。主張しないことは存在しない、のような。東洋圏ではなんとなく伝わる以心伝心の文化があって、口に出さずに察して伝わるという文化(もしくは察しさせられる)がありますけど、これはとてもいい文化だと思っています。察すること、は、思いやることに通ずるんじゃないかと。もちろん両者とも長所短所あってどちらがいいとは言えないですけど、ケースを処分したときに、もの言えないモノがもつ何かの雰囲気、どんなものにでも魂が宿ると考える我々祖先からの価値観なんかが、ふっとよみがえってきて、大事にしないと(気持ちもモノも)なと思ったのでした。

たくさんのケースたち、いままで長く付き合ってくれてありがとう。新しいケースも大事にします。