村上春樹 – 東京奇譚集

tokyokitan

奇譚集というぐらいなので、すこしおかしな(という表現はおかしいか。すこし歪んだ、ズレた感じのする、すこし非現実的だけれど、でもありそうな話、ような感じか)話が5編。「レキシントンの幽霊」のときのように”本当の話じゃないような気がするかもしれないけれど、実際にあって聞いた話で”のような感じもするけど、これは創作よねえ。

孤独な同性愛者のピアノ調律師の日常「偶然の旅人」、サーファーの息子を無くした母親がその浜辺で夏を過ごす「ハナレイ・ベイ」、すぐにありそうなのになくなってしまったものを探しに「どこであれそれが見つかりそうな場所で」、移動する不思議な石の話「日々移動する肝臓のかたちをした石」、思い出のものと一緒に人の名前を盗んでしまう猿「品川猿」。もうだいぶ前に読んだのであまりおぼえてないのだけれど、パラパラめくってみると、文章のそこかしこから村上節というか、彼の文体の匂いが立ち込めてくる。「ハナレイ・ベイ」と「品川猿」が好きだったな。

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