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2016-06

桐野夏生 – 天使に見捨てられた夜

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少し前に読んだので備忘録的に。

「顔に降りかかる雨」につづく私立探偵・村野ミロのシリーズ2作目。今回はある弁護士を通して紹介された出版社の経営者からの依頼で失踪したAV女優を探す。リナと名乗っていた彼女の映像はまるで虐待を受けているように見えるという。遅々として進まない調査だったが、すすむにつれリナの暗い過去が明らかになってゆく。彼女はいまどこにいるのか?死んだという噂まででているが。。。

切れ味がいいというか、クールというか、結構しんどい目の内容だけれどそれを感じさせない軽さがあって、物語に没頭して読めた。94年の作品だけどちっとも古さを感じない。

講談社文庫 1997

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Brian Freemantle – 名門ホテル乗っ取り工作

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だいぶ前に読んだので備忘録的に。なかなか外国作家の作品は読まない。その理由のひとつは翻訳がいまいちだと物語に没頭しにくいから。あとは、文化的なものの違いによって、翻訳がうまかったとしても話がいまひとつすとんと入ってこtないことがあるので。この本も物語としては面白い感じだったけれどし、訳も悪くないとはおもうのだけれど、どうも熱中するところまではいかなかった。

新興ホテルチェーンの若くてやり手の会長が、世界最高の格式を誇っていたがやや時代遅れになりつつある名門ホテルの乗っ取りに乗り出す。あらゆる手をつかって名門ホテルに近づき、密かに株を集め、、、その乗っ取りはスムーズに、しかも好意的に進むかと思われたが、思わぬ伏兵の邪魔がはいったり、難航を極める。そして名門ホテルの創業一家との関係。ビジネス的なものと感情的なものが混じり合い、ますますややこしい様相を示す乗っ取りはうまくいくのか?

分厚いけれど、するするとは読めた。けれど、よく外国文学にあるようにキャラクターを表す代名詞がいろいろでてきて、
誰のことを指してるのかぱっとわからなかったりしたり、名前がごっちゃになったりして混乱したり。ま、読者が悪いのですが^^; もう少しスピード早いほうが好きかな。

新潮文庫 1998

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中島教秀氏(B)との新譜

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春先に二日間ほどかけて、最近ほんとによくご一緒するベースの中島教秀さんと録音をしました。二人でやるのは「in the kitchen」に続き2作品目ですが、今回もまた家内制手工業よろしく、家録でやりました。しかも今回はドラムにindigo jam unitなどで活躍中の清水勇博くんも参加してもらってのトリオです。

少ないマイク点数と割と狭くてすこしだけデッドな感じの部屋鳴りが功を奏して、臨場感のある非常に生々しい音の作品となっています。現在ミックス等の最終作業中ですが、来月半ばにまずはライブ会場などでの販売ができればとおもって作業を急ピッチで進めているところです。もちろん全国流通も行う予定です。

完成してみなさんに聞いていただける日が待ち遠しいです。続報をまたチェックしてくださいね。

 

五十嵐貴久 – RIKA

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ちょっと前に読んだ「Fake」に引き続き五十嵐さん。これも読んで時間経ってるので備忘録的に。

ネットの出会いサイト(といってもここでもネットはパソコン通信ぐらいなのだけれど)を勧められ、最初は気乗りしなかったがそのうち面白くなってはまっていく主人公・本間。適当に遊んで終わりにするつもりだったが、これで最後にしようと出会った女性がRIKAだった。話してみると気もあい、楽しくてRIKAにのめり込んでいく本間だったが、いろいろ不安だということもあってなかなか会えない。が、ようやくネットのメールではなく、電話で話したことから流れが一変。四六時中電話をかけてくるRIKA。その執拗さにあきれ、迷惑と感じるようになる本間。一旦ネットからも離れ、電話も変えて普段の生活にもどったかに見えた本間だったが、ある日RIKAから電話が。。。。

物語の半分以上を延々と占めるRIKAの執拗ないやがらせやしつこさにどんどん怖くなってくる。実際ここまでのことはないだろうと思えるけれど、いやいや、もしかしてとも思ったり。想像の世界だけれど、ここまでの執拗さは本当に怖い。さすが第二回ホラーサスペンス大賞受賞作。

出版時にはなかったのだが、この文庫本版にはエピローグが書き足されている。本編が「ああああ、、、どうなるのだ?!」的な終わり方なので、その先を描かれると「そうだったのか」と腑に落ちて終わるというのが普通だけど、五十嵐さん、さらに恐怖を煽る設定にしてからもう。。。。もしかして続くの?!エンディングを書き加えてダメになるどころかより一層怖くできるとは、恐ろしやです。参りました。もう怖くて二度と読みたくないw

幻冬舎文庫 2003

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万城目学 – プリンセス・トヨトミ

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随分前に読んだので備忘録的に。万城目さんははじめて。万城目っていう字を見るとどうしても20世紀少年を思い出しちゃうけど、それは置いておいて。

この物語に関してはDVDで映画をみたのが先だったけれど、何もかもすっかり忘れてて(まあ、物語の骨子ぐらいは覚えてたけれど)新鮮な感覚で読むことができた。また舞台になっているのがお城のまわり、とくに空掘商店街なんかがでてくるのでえらく親近感が沸いてしまう。そんなに空掘商店街にいったことがあるわけではないけれど、大阪の街というのはうまく描写してもらえたらすごくイメージできるので。物語としても面白いけれど(まずはアイデアが面白いなとおもった。もしかしたらこれってイエス・キリストの子孫の話<ダヴィンチ・コードがこのパターンよね。でも戦国武将のそれ自身や子孫が落ち延びて〜系の話ってまあまああるか)、大阪の文化や風俗、街や人の気質なんかをうまく描いてるところがいいなと思う。

大阪の大人の男だけが知っている秘密 ー それは秀吉直系の子孫がいて、それを守っている組織がある。それこそが大阪国という国である。そして大阪の大人の男たちは一人一人役目をもち、非常時に備えているのだ ー それにふとしたことから近づいてしまった会計検査院の調査官たち。国の予算の中に計上される謎のお金は明治維新のときに日本政府と大阪国が交わした密約によるものだった?!謎が明らかになるとき、大阪城が真っ赤に染まり、全大阪が停止する。。。。

まっすぐに切り込んでいこうとする検査院の男と、秘密を大阪国をまもろうとする男たち、その駆け引き、人間のぶつかりあいがとても胸を熱くする。本当にこんなことがあったら、、、もしかした本当のことなのか?とまでおもってしまったりするのは大阪の人間だからかw 実際大阪城が真っ赤になったり、大阪じゅうの男が大阪城に集まったりしたら、壮観だろうなあ。想像をはるかに超えちゃうけど。この”すごいやろなあ”と思う感じを失いたくないので、映画はきっと見ない。

それと、ときどきでてくるからか、お好み焼き食べたくなるのよねえ。

文集文庫 2011

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柴田よしき – 消える密室の殺人(猫探偵正太郎上京)

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はじめましての柴田さん。この本いただいた本の一冊なのだけれど、猫の絵が表紙なので手に取ってみた。するとシリーズ物で主人公(猫?)正太郎が探偵よろしく事件を解決する手助けをするという(もちろん実際に解決するのは人間なのであるが、その糸口をみつけたり、答えを教えるのは猫たちなのである。そして大半が猫一人称の本)もので、これはシリーズ二冊目らしい。ああ、1冊目から読みたかったけれど(ときどき前のエピソードを引きずったりしてる)読み始めたから仕方ない。

正太郎の飼い主(猫は同居人と呼んでいる)でミステリー作家でもある桜川がちょっとしたトラブルから出版社に出向きに上京したことから、タイミング悪くその出版社で起こった殺人事件に遭遇する(実際に遭遇したのは猫のほうだったりするのが面白い)。そこから謎解きがはじまるのだけれど、警備もちゃんとしていて出入りが自由でなく、しかもビルの中につくられた中庭に面する掘建て小屋で起こったものだから、まるで密室の殺人事件の様子。猫は殺人なんて興味ないのだけれど、たまたまその被害者の横で知り合いの猫が死んでいたものだから、正太郎とその出版社で猫の写真集の撮影に駆り出されていたモデル猫たちが事件解決に踏み出す。

まあ事件のトリックやらいろいろも面白いのだけれど、猫好きとしてはどうしても猫の描写ばっかりに目がいってしまうのだけれど、この柴田さん、ほんとよく猫の性質とか行動を知ってるみたいで、いちいち猫が一人称で語る言葉にうなづいてしまう(笑)。一冊目も探さなくてはw

角川文庫 2001

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桂米朝 – 落語と私

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先日テレビで今年亡くなった桂米朝さんの追悼のための舞台「地獄八景亡者戯」を見た。主人公をざこばが、閻魔様を南光がやっててそれはそれで面白かったのだけれど、その舞台の最後のシーンで米朝さんの写真に重ねてある文章が掲げられたのだけれど、それがあまりにも「うーん」と唸る内容だったので、その文章が記されているという本書を手に取った次第。

あちこちに書かれているようにこの本は落語初心者(もしかすると中高生とか)向けに米朝さんが書いた解説本(入門書)で、落語の歴史から、上方と江戸の違い、ネタの話、落語家の所作振る舞いの話などなど、落語をこれから知ってみたいという人に最初の知識を与えるという意味では、とってもよくできた本。おかげでなんとなく敷居の高い感じがする落語の世界も、また違った見え方をするような気がするし、ほんとこれから寄席に足を運びたいと思わせてくれる本だった。

で、その感銘を受けた文章は、一番最後に記されていて、米朝さんが師である米団治から言われた言葉だそう。そのまま引用すると、

『芸人は、米一粒、釘一本もよう作らんくせに、酒が良えの悪いのと言うて、好きな芸をやって一生を送るもんやさかいに、むさぼってはいかん。ねうちは世間がきめてくれる。ただ一生懸命に芸をみがく以外に、世間へのお返しの途(みち)はない。また、芸人になった以上、末路哀れは覚悟の前やで。』

まったくほんとその通りで、これほど的確に明確に書かれてしまうと、ぐぅの音もでないし、姿勢を正していまの自分を見つめ直さされてしまう。これは落語の世界だけじゃなく、いわゆる芸を扱う人間にとってはまさに至言。”むさぼってはいかん”ってなんてその通りなのか。芸がよければすべて良しというわけではなく、人間もできていかないと、やはり芸もできないのだ、ということか。そして、一番畏れることであるけれど、文末の言葉は、ほんと、覚悟かと。そうでなければ貫けないかと。何度読んでもうーんと唸るばかり。

ほか、米朝さんの言葉でなるほどなと思わされたのは、寄席のハコの大きさによって音響をつかうか否かというような話題の中ででてきた、

『マイクロホンを通した時、声は音になります。』

という言葉。これは音色が変わってうんぬんっていう意味ではなくて、生声でやってるなら効果がでるようなちょっとした所作の雑音や聞こえるか聞こえないかのような捨て台詞などが台無しになる場合がある、ということ。また聞き手のためとおもって音を大きくすることが決していいことではなく、使ったとしても必要最小限であるべき、ということ。その後に書いてあるように「(前略)すべて話というものは、聞こうとつとめないと聞こえないという、つまりすこし低い(小さい)ぐらいの時は、かえって身を乗り出して聞き手は集中してくるものです」というのは音楽でもまったく同じことだなと思える。

まじめに落語一筋に貫いてきた人だからこそ、上方、そして落語界を憂う感じがひしひしと伝わってきて、なんとなく興味あるなーと思っている落語に拍車をかけてくれた本だった。

文集文庫 1986

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