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坂木司 – ホテルジューシー

hoteljuicy

大家族の長女に生まれて、親代わりに弟や妹の面倒を見たり、家事をしたりして育ってきたヒロちゃんは、すごくしっかりもの。何事もきちんとしていることが好き。大学の卒業旅行の費用を稼ぐために沖縄・石垣島のリゾートホテルでバイトをする日々だったが、ある日そこのオーナーに頼まれて那覇のホテルを手伝いにいくことに。それまで宿の仕事で充実していた彼女は、そのホテル・ジューシーで相当面食らうことになる。。。

昼行灯で夜中しかしゃんとしないオーナー代理(なぜかオーナーはいない)、勝手に人のものをいじったりする掃除担当の老姉妹、突然いなくなる同僚、ワケありの宿泊客などなど、ヒロちゃんは翻弄されつつも成長していく。

きちんとしていることはいいこと。でもそれが全てにおいて正しいこととは限らない。沖縄の(いささか誇張された)アバウトな感じと何事もきっちりしたい性格の間で悩むヒロちゃん。何が正しいのか、自分はどうしたらいいのか?

最初はたんなる青春ドタバタ劇っぽい内容だったり、沖縄のあの感じ(行ったことある方ならわかりますよね)がいろいろ描かれてて楽しい物語だなーとか思っていたけれど、後半に移るに従って、坂木さんが描きたかったであろう、正しいことってなんだろう?というテーマが見え隠れする。ぼくもヒロちゃんに似ているところが多分にある(もっといい加減だけど)ので、ヒロちゃんがオーナー代理に言われる言葉が心に刺さってくる。

正しくないから正したい。自分がいなければ回らないから手を出したい。主観的にはいいことだと思えても、本当はどうかわかんないし、実際物事は怒ってみないとわからないし、自分がいなくても世間はまわる。そんな単純なことをいつの間にか、一生懸命であるがために忘れてしまう。そういうことってままある。ほんと自分によくあてはまるような。

いつかまた沖縄にいけたら、もうすこしゆるりとしてみたいな、と思えた本でした。美味しそうなものいっぱい出てきたなあ。

角川文庫 2010

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