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田中啓文 – UMAハンター馬子 完全版

 

UMA – 未確認生物、それらを追っている訳でもないのだが、いく先々(あることを探し求めている)でUMAらしきものやそうでないものに出会う、ただひとり”おんびき祭文”の伝承者を名乗る、蘇我屋馬子とその弟子イルカ。彼女たちのいく先々で出会うものは、ネッシー、ツチノコ、雪男、クラーケンなどなど、UMAとしてその正体も存在も謎だとされる生き物たち(なかには魔界のモノも混じってくるけど)。それらをなぜかやたらと湧き出す知識によって暴いていく馬子。そしてそこにつきまとう謎の男。彼らはなにを探し求めているのか。そしてそれはどういう結果を招くのか?

怪獣やら異形のものやら呪いやらジャズやらなんやら、サックスを吹いていてもまるで叫びか呪術かのような音を追い求めている、そんな田中さんはきっとオドロオドロしいものに興味を惹かれるんだと思う。そして同時に未知なるモノへのロマン。ネットやらなんやらで地上のことはいろいろ明るみにされていってるけれど、いやいや実は我々が見知ってることなんて宇宙のほんのちょっと。でも、そういうことさえ忘れ去られて、なんでも指先一つで調べられてしまうと思い込まされているこのご時世に、ああ、こんな世界がたしかにあった、いや、あるんだ、ということを再認識させてくれるのがこの馬子たちなのかも(大げさ?)

各エビソードはさておき、煮しめたような、皆が想像する最大公倍数的な典型的な大阪のおばはん、馬子のキャラが強烈で、それを読んでるだけでおもしろい。でもこれ面白いって思えるの関西や大阪の人間だけなのかなあ。こなもんやの馬子はもうちょいおとなしいというか、小学校の近くにあった駄菓子屋のおばちゃんぽい感じやったけど、ここでの馬子はもう怪獣のよう。実は小学校のときにお世話になった先生に被るのよねえw

各UMAに対する憧れも、それを現実的にみた正体らしきものも、いろんな夢やロマンを馬子の口を借りて田中さんが語っていくのが楽しい。そして最後にアレがでてきて、ウルトラQだかなんだかのような展開になるのがもう笑うしかなくてー。やっぱり大阪城や高いビルは破壊されなきゃならないですよねえ。完全に最後の方は脳内映像再生になってました。

各章の間に挟まれる解説というか私見もおもしろく読ませてくれるし、このUMA愛に溢れた作品とてもいいです。この完全版ができるまでに紆余曲折しまくったようだけど、よくぞ最後までいってくれたって感じ。なんかうれしい。馬子はそして幸せになれるのかな、石切あたりで商売やってたりするんかなあ、なんて思いながら街をいきかうおばはんを眺める日々なのでした。

ハヤカワ文庫 2005

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