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江國香織 – 犬とハモニカ

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江國さんの短編集。空港への到着からロビーまでの同乗者たちそれぞれから見た人生の一瞬のかさなり「犬とハモニカ」、素晴らしくうまくいっていた恋はずの恋人からの突然のわかれ「寝室」、愛しくてやまない男「おそ夏のゆうぐれ」、近しいのにどこか決定的にずれていて僕をみていないような気がする「ピクニック」、源氏物語の超意訳版「夕顔」、夏のバカンスに訪れるゲイのカップルとそのコテージや街での人間模様「アレンテージョ」

いつも江國さんの物語はその最初の一行から彼女の世界にすっと入るという感じじゃなくて、その空気感に掴まれて身動きできなくなって、そのまま物語の傍観者や登場人物にさせられてしまう力がある。そしてどんな爽やかさの中にもひそむ濃い湿度。それが魅力でもあり魔力でもあり、少し怖い。

とても非現実的な感じがするのに、でもそれらは普段のぼくたちのすぐ隣や自分自身に起ることのよう。だれもが持つ、どうしようもない感情、欲望、あきらめといったものが、濃くなったり薄くなったりしてぼくたちと包み込んでいる。そこらに垣間見えるその模様を織り取ったかのような江國さんの物語たちは、お話としてはときに楽しく、ときに悲しく、ときにへんてこに読ませてくれるけれど、どれもが気づいてない心の隙間に忍び入ってくる感じがして、それが怖くもあり気持ち良くもあり、とても不思議な体験をする。江國さんの物語を読んでいるときだけ、時間が遅く流れたり、ここではないどこかに行ってしまっている気がするのは、選ばれる言葉の魔力もあるけれど、そういった体験をするからだろうなと思う。

川端康成賞受賞作(2012)

新潮文庫 2015

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