たかのてるこ – ガンジス河でバタフライ

普通にOLされているというたかのてるこさんの旅日記。ひっこみ思案で自分を変えたくて一人旅に出ることにした著者が出会う「ほんまかいな?」的な珍道中 がたのしく、現地で出会うさまざまな人たちの純粋さ、やさしさ、生きている姿がいきいきと描かれていて、別にうまい文章でもなんでもないのに、ダイレクト に著者の気持ちがつたわってきて、すがすがしい気分になる。

でもほんまにこんなにええ人ばっかりにうまく出会えたりするんだろうか? もっと難儀なことになるのが普通なんじゃないかなーとかもおもったりするのだけれど、そうならないのがこの著者のもつパワーというかバイタリティーという かキャラクターのなせる技なのかもしれない。誰しもこんな奇想天外な(あるいみ漫画のような)展開があるならば一人旅にでてみたいとおもうかもしれない。

本書は著者の最初の旅、香港~シンガポール~マレーシア編と2回目の旅、インド編が描かれている。楽しい。

幻冬舎 2002

ガンジス河でバタフライ
ガンジス河でバタフライ – Amazon

石田衣良 – 1ポンドの悲しみ

著者本人いわく「三十代の恋愛」を描いた短編10編集。結局のところは解説でも著者がいうように「三十代前半だった」そうだけれど、それでもちょうどその世代にあたる自分にはダイレクトな感触のある物語だった。

素敵な恋と逃げられない現実。そのいちばん分かりやすい狭間にいるのが三十代か。いろんな恋愛のかたちがあるけれど、夢見るだけでは生きていけない。でもそこにはなにがしかの生きる原動力がある。

ほんと、小品ながらにいい話ばかり。品のよさも読み心地よくていい。

集英社 2007

1ポンドの悲しみ
1ポンドの悲しみ – Amazon

田口ランディ – ドリームタイム

わりとオカルトチックな短編集。13のいろんなお話が描かれているが、どうもほかの本のことを思い出してみると、ランディ氏本人の体験に基づいた物事から ひろいおこしてみたお話の(つまり体験談+脚色)のよーな気もするけれど、こんな体験ばっかりしてたら、まいってしまいそう。怖くはなく、どちらかという とあったかな、ありがたい気持ちになる物語ばかり。

「シェルター」の中で描かれる遊びはやってみると楽しい(辛らつかも)。「生け贄」の中で描かれる中国の不思議な村にいってみたい。「繭のシールド」着物、なるほど、なるほど。

このひとの本を読んでいると、その向こうに存在する、まだ知らない世界に気づかされ、すごく興味が湧く。エネルギーをもらえる本だ。

文藝春秋 2007

ドリームタイム
ドリームタイム – Amazon

田口ランディ – 聖地巡礼

雑誌ダ・ヴィンチに1年ほどにわたって連載された田口ランディの紀行集。彼女が”聖地”と感じる日本のあちこちに実際に赴き、そこで感じたこと、いろんな 人が示唆してくれたこと、などなどをまるで隣でおしゃべりしてるかのごとくな口語で描いてくれている。めちゃ面白い。天川の弁財天から始まり、渋谷の暗 渠、富士、下北、広島やら出雲やら熊本やら計10箇所。どれも共通しているテーマは”水”、そして神社などなど。いま自分自身もなにかひっかかるものがあ るので、一気に読んでしまった。

とかく都会やその周辺に住んでいると、自分のなかになにかが積もってしまったり、詰まったり、あるいは パワーが抜けていってしまったり、あまりいい循環でいることは難しいとおもう。若いときは自身のパワーでそれは補えるが、年とともに自家発電的なことはあ まりできなくなり、逆に大地や自然、水なんかからもらえるパワーに敏感になるのかもしれない。本当にパワー(霊的)なものに触れると、自分のなかが整理さ れてすっきりしたり、風通しがよくなって、新たなパワーがでてくる、そういう気がする。

たぶんそれぞれみんな、自分にとってそういう場所がそれぞれあって、それを「聖地」とよべばいいんだろう。

この本のなかだと、先日いった天川、そして出雲、熊本、いきたいなー。あ、屋久島も!

メディアファクトリー 2003

聖地巡礼
聖地巡礼 – Amazon

栗本薫 – 暁の脱出 (グイン・サーガ 117)

117巻。タイトルからわかるとおり、ついにタイスから脱出!10巻にもわたるタイスへの寄り道がやっとこさ終わった。

まぁ、想像どおりだったけれども、結構意外な展開もあり、そんなんずるーい!という伏線もあったりして、物語は一気にパロへすすみそう。さてどうなるのかなー。楽しみ

早川書房 2007

暁の脱出―グイン・サーガ〈117〉
暁の脱出―グイン・サーガ〈117〉 – Amazon

栗本薫 – 闘鬼 (グイン・サーガ 116)

116巻。これでタイスに9巻の長きにわたって逗留してることになるそう、すげー。

ついに実現!グインvsガンダル。手に汗握る感じだったわん。めちゃめちゃ面白かった。やっぱりグインが活躍すると読者はうれしい!

早川書房 2007

闘鬼―グイン・サーガ116
闘鬼―グイン・サーガ116 – Amazon

辻仁成 – TOKYOデシベル

騒音?とういか音関係の短編2つとほか1編。

音関係である「音の地図」と「グラスウールの城」は両方とも別に単行本として読んだことがあったのだけれど、手にとって読み出したらそのまま止まらずに全部読んでしまった。

3つの短編どれもが、すこしゆがんだ、すこし暴力的だけれど、おとなしい、やはり自分を破壊してしまう方向にすすんでしまいそうな、そんな主人公の男性たち。少し心にかげりがあったり、病んでいるときには、すごく共感してしまいそうになる。共感というより共鳴か。

あ まりにもたくさんのモノ、音に囲まれすぎていて、僕たちはすべてのものを見失ってしまっている、そんな気がする。いや、実際気がしているのではなく、そう なのかも。そんな日常が普通に流れていくのが怖い。どこか間違っている、けれど正せない。そんな狭間で現代人たちは知らずに苦しんで、そのはけ口を間違っ た方向に見出してしまう。

悲しい。

文藝春秋 2007

TOKYOデシベル
TOKYOデシベル – Amazon

石田衣良 – 約束

不幸なできごとのために、人生の時がとまってしまったひとたちが、またその時をきざみはじめる、そんな様子を描いた短編7本。

これ、も のすごくいいお話ばかり。いい、というか、勇気付けられる、というか、心のどこかや背中のどこかのスイッチを押されるような感じがする。大げさでなく、小 さな、でも深刻な、日常にありそうな、そんな悲しい不幸な出来事。それはそれを体験した人にしかわかんないだろうけれど、大なり小なり他人も共感できる。 そういった共感者になれる、そんな本。

個人的には「夕日へ続く道」と「ハートストーン」がすき。

こんなことめったに思わないのだけれど、折に触れて読み返したい本。

角川書店 2007

約束
約束 – Amazon

よしもとばなな – なんくるない

吉本ばなながよしもとばななと改名したの、気づいてなかった(^^ゞ

彼女が「おきなわ」というくくりで書いた短編4つからなる本。ひさ しぶりばななの本を読んだけれど、こんなにスピード感ある文体だったけな?と思うほど、文章のスピードがはやい。読みやすくて読ませる感じじゃなくて、 せっぱつまって思いをぶちまけるために早口になってるような感じ。その感じが内容も伴ってぐっとせまってくる。

4人の主人公をとおし て、そしてばななさんをとおして、おきなわ、その土地、空気、ひとたちがはいってくる。素敵とかやさしいとか愉しいとか、そんな言葉たちでは到底表現でき ない何か。それを体感した人間のみが語れるような言葉とテンポで読者をいざなう。沖縄に行ってみたくなる本。

この本を読んでるとき、 ちょうど沖縄にいたので、主人公たちが感じているように沖縄を感じたかったが、ばたばたすごす中では難しい。やっぱりゆらゆらとした時間をもっとすごした かったな。でも時間が経つにつれ、体の中の何かが入れ替わったり変化したりして、この土地になじんでいく感じはなんとなくした。ふらふらっと歩いて偶然た どり着いたお店がよかったり、見ず知らずのおっちゃんに家に招き入れてもらったり。不思議な土地。やさしい街。慌しい観光ではわかんないことがたくさんあ る。もっとその土地の時間に自分をあわせないと。

新潮社 2007

なんくるない
なんくるない – Amazon

江國香織 – 思いわずらうことなく愉しく生きよ


それぞれ異なった恋愛感をもつ3姉妹、そしてその両親、そして彼女たちを囲む男たちのおはなし。

のっけから江國ワールド全開という感じ で、その特徴あるというか独自なテンポ・行間の物語にどんどんひきこまれる。が、それゆえに物語の主人公である3姉妹の生き方・考え方なんかに息苦しく なってしまうというか、あまりのストレートさ、正直さ、文章中の言葉で言うならそののびやかさに圧倒されてしまう。

彼女たちの言い様、 生き方が、頭ではというか、まぁ少しだけ感覚的には理解できたとしても、実感として、ストレートに、は、理解しがたい。女性にはわかるのかもしれないけれ ど、男性にはつらいなぁ。でも実際この物語にでてくる女性像、世の中の女性たち誰もがどこか自身とかぶってると思えるんじゃないかな?そんなことしか想像 できない。

男なんて女のできそこない、かもしれんしね。

光文社 2007