栗本薫 – 豹頭王の挑戦(グイン・サーガ 109)

買ってたのに読むのがずいぶんと遅くなってしまった。

このところの主人公グインの変遷や苦悩、物語の大転回と、結構シリアスな場面が続いていたのだけれど、これは小休止のような楽しげな話がつづく。しかし隠すためにこんな手を使うとは。なるほどねぇ。

ニコニコして読める一冊でした。まだまだつづくけどー

早川書房 2006

栗本薫 - 豹頭王の挑戦(グイン・サーガ 109)
栗本薫 – 豹頭王の挑戦(グイン・サーガ 109)

俵万智 – トリアングル

初めて読んだ俵さんの小説。ずっと昔に彼女の短歌が流行ったころに、「このひとの文字使いって魔法みたい」とつくづく感心したことがあったが、それから触れることもなく長い時間がたってたが、今回この本を読んでみて、やはり短歌の魔法に感心しきってしまう。

2人の男との間で微妙なさざなみが起こるようにゆれる主人公の気持ちが丁寧に語られる小説。そのポイントポイントで短歌が挿入される。思わず「へーっ」といってしまうような言葉遣いがにくい。

恋愛。結婚。出産。あたいらのような今の世代の人間には選択や自由の幅がひろくて幸せだ、といえるかもしれないけれど、その分どうしたらいいのかわからない不安に常に付きまとわれているから、単に幸せね、とも言えないように思う。

中央公論新社 2006

俵万智 - トリアングル
俵万智 – トリアングル

林真理子 – 花探し

久しぶりの林真理子。

こんなひと実際にいるのかどーかわからんが、いそうな気がする。できれば出会いたくない、というか出会わないか笑。

しかしちょっと読みようによっては「林さんは欲求不満か?それともあてつけか?」と思ってしまうような内容と表現。なんなんやろ?あんまり読んでても気持ちよくなかった。その割には厚いので読むのがさいごしんどかったぜ。ふぅ

新潮社 2002

林真理子 - 花探し
林真理子 – 花探し

荻原浩 – 神様からひと言

分厚い本なのだけれど、面白くて一気読みしてしまった。目疲れた・・・・

もしあらすじを書いたりすると結構シビアな仕事の話とか情けない男のさえない恋愛話のミックスよ?みたいなことになっちゃうのだけど、登場人物の豊かさと、話の展開の仕方、興味そそられる仕事の内容等々でぐぐっと引き込まれてしまう。でも何よりも荻原さんの文体のユーモアさが随所ににじみ出てて、どんなとこでもほっとさせられるような文章で、リズムよく読めてしまう。まるでしゃべってるかのような文章。

いわゆるお客様窓口(渉外ともいうかな)ってとこってどんなところかまったく想像つかないけれど、たぶんかなりシビアな部門だと思うのだが、なぜこのひとにかかるとこうもすーっとした感じになるのかな。もっとハードボイルドな感じに描く人よーけいそうだが。

あと3度ほどでてくる「ジョン(と名づけられてる)」という人。会ってみたい(笑) なんかアドバイスしてもらえそう。

光文社 2005

荻原浩 - 神様からひと言
荻原浩 – 神様からひと言

田口ランディ – 根をもつこと、翼をもつこと

ランディさんのとくに原爆や放射線被害、水俣病、その他のなんていうんやろ、なにかの被害を受けた人へのレポートとかを中心にして描かれた短編というかエッセイ集。

原爆とか社会による受難だとか、戦争とか、個の力では避け様のなかったような大きな痛手。それらを受けた人たちの気持ち、とうていおなじように感じることはできないけれど、それをどう受け止めるのか、どうしたらいいのか。まったくわからないが、普段はそんなことは忘れて生きている普通の人たち。それでいいのか、どうしたらいいのか?よくわからない。ランディさんも同じ悩み。・・・・考えても感じられないから、やはりわからないけれど、理解することから始まるのかもしれない。

興味あることに引き込まれるようにその世界へ足が向く作者。その直感というか正直さにはほんと心がびくっとする。感じたとしても正直にコトバに表現することはとても心が痛いし、難しい。でもこのひとはそれに挑戦し続けている。それが文章から飛び出てくる。苦しい。

新潮社 2006

田口ランディ - 根をもつこと、翼をもつこと
田口ランディ – 根をもつこと、翼をもつこと

野沢尚 – 深紅

なかなか凄い設定のミステリー。ある一家惨殺殺人事件を中心にその犯人の娘と惨殺された一家の生き残りの娘の生きる姿を描く。人を殺す・殺されるということは、いったいどういう経緯から生まれるのか、それを背負った家族はいったいどう生きていくのか?そんなこと想像すらできないし、考えたこともない。

現実には毎日のように人が死んでいく。報道ではその事実のみしか伝えはしないが、その向こうに被害者と加害者、そしてそれに翻弄されるのであろう数多くの人がいるというあたりまえのことをいまさらながらに思い知らされた。きっと事件の数よりその人数のほうが圧倒的に多いと思う。

怖い、ただただ怖い。

講談社 2003

野沢尚 - 深紅
野沢尚 – 深紅

江國香織 – 薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

ひさしぶりに江國さんの本。結構長編。9人の女性たちの恋、愛、情事などなどが、まるで最近のアメリカのテレビドラマのように(っていう表現しか思いつかない、ひとつの話の中で、時系列に、いろんな人物の視点で描かれてる)とつとつとつと書かれていく。そのなかで一人一人微妙にゆれて、それでも生活して、生きていってる。そんな普通の生活(?)の中にある微妙な心の変化、環境の変化、それらがふわっと描かれてる。

設定がややこしい割には(最初はわーっとたくさん人物がでてくるので誰が誰だか理解できなかったが)、江國さんの本にしては読みやすいように思う。一生懸命に行間を読んだりする必要がないからかも。

こういうのん読んでたら、女性ってやっぱりわかんないなーと思ったりしちゃう。男って単純、ほんと、わかりやすい。でも女性は普通に矛盾してたりする。それでバランスとってみたり、安定を求めても不安定でいたり、よくわからない。でもそういうのが魅力なのかもな、とか思う。

この話には9人の女性がでてくるが、これが見事にいろんなパターンの女性を演じていて、こういうのもあれば、こう考えるのもありよねー、とか思えて、すべての登場人物にシンパシーを感じてしまう。面白かった。ふわっと読めた。

集英社 2003

江國香織 - 薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木
江國香織 – 薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木

わかぎえふ – 大阪弁の秘密

最近シリアスな本ばかり読んでたので。わかぎゑふさんの本の大阪ネタの本て、きっと大阪の人間しかわからんことしか書いてないだろーけれど、かなり好き。この本は大阪弁のいろんな単語について、彼女なりの解釈(といっても、なるほどうんうんわかるわかるやん!と思えるのよ)で説明されたもんだけど、改めて活字になった大阪弁を見てみると、えぇコトバ(サウンド)多いのよね。

「あほ」「まいど」「かんにん」「ちゃう」なんかなんか、ふつーに使ってるけれど、サウンドとリズムいいよねぇ。さすが日本のラテン。

集英社 2005

わかぎえふ - 大阪弁の秘密
わかぎえふ – 大阪弁の秘密

乙一 – GOTH 僕の章

「夜の章」の続き(で、ええんかな?)となる作品。短編集。また不思議に怖い話がつづく。やっぱり人間の普通の感覚で、普通に存在している影の部分、そんなものがいってしまえば犯罪という形ででてくる、それを淡々と語る文体が、やっぱり怖い。今回もふつーに人が死ぬ。

しかし本格派(だったか?)ミステリー大賞をとるだけあって、文章中のトリックも見事で、一度読んで「あれ?」と不思議な感じになるやつもある。面白い。でも怖い。

角川書店 2005

乙一 - GOTH 僕の章
乙一 – GOTH 僕の章

乙一 – GOTH 夜の章

久しぶりに乙一。続き物となるように書かれた短編もの。今回ものっけから淡々とヒトが死んだり傷ついたり。あまりの起伏のなさがあまりにも怖い。

現在生きる人たちの、とくに若い人たちの、闇の部分と言うか、普通に隣り合わせに持ってしまっている、ふつうなら子供のときにもっていても失ってしまう、感情のない残酷さが、鋭く描かれてると思う。こわい。

角川書店 2005

乙一 - GOTH 夜の章
乙一 – GOTH 夜の章