前々からのこの著書が気になっていたのだが、なかなか手に取る機会がなく、今まで読んでなかったのだが、ああ、なんで早く読まなかったんだろ!めちゃめちゃ面白いやん。古典落語+ミステリー、田中さんなんて目の付け所いいのだろ。「落下する緑」のジャズ+ミステリーってのもいいけれど(でも割とくっつき易そうな感じはするが)、こっちのほうが断然面白い。というか、ふつうに落語の世界の話としてもおもしろいし(田中さんは結構落語の世界にもぐりこんでいるらしい)、古典落語の題材と謎解きがうまく掛け合わせてあるその掛け合わせ具合も見事としかいいようないし。
師匠梅寿と弟子竜二(そののち梅駆)もすばらしくいいキャラになってるし、舞台やら楽屋やら、実際にその場にいる気持ちになってしまえるぐらいきちっと描かれた様子がすばらしい。
前からすこし落語そのものに興味があったけれど、この本でほんとに興味が湧いてきた。いっぺん観にいきたい。んで、落語によって昔の上方の空気を感じてみたい、です。
集英社文庫 2006