鍋奉行シリーズの7冊目。今回も大坂西町奉行・大邉久右衛門が食べまくり、、、挙げ句の果てにお腹壊すの巻?
市中見回りをしていた同心村越が武家たちが何かをやっている現場に出くわすが、それを押さえようとしたときに手傷を負わされた。それは手裏剣だった。この平穏な時代に忍びのものが暗躍しているのか?時を同じくして街では老舗の味を盗む味泥棒も暗躍し、畏れ多くも西町奉行所の糠床を狙ってくる。奉行を毒殺しようとするものもあらわれ、、、、裏で糸を引く武家とは?忍びはいるのか?などを描く「忍び飯」。そして演技は素晴らしいのにサル顔だというだけで看板役者になれない役者が泣きつき、そして久右衛門の天敵のような講談師が繰り広げる大食い騒動「太閤さんと鍋奉行」。広い街からたった一匹の猫を探す羽目になる村越たちと、まるで公家のような者たちが飼うその猫が握る秘密とは「猫をかぶった久右衛門」。いやー、三本ともおもしろい!そして三本とも美味しそう!
ほんと毎回大坂の描写が素晴らしくて、読んでいてウキウキする。村越がどこを歩いているのかとか、寺町はそうやってできたのかーとかとか。とくに歴史に詳しくなくても、こうやって見せてくれると、江戸時代といまが地続きなんだなと実感できる。そして街々だけでなく、人々もいまと脈々と続いてるんだなと思える。
猫好きとしては猫の話に食いつきたいところだが(笑)、今作では太閤さんの話が面白かったなあ。講談師っていうのはまだ拝聴したことないけれど、テレビの連続ドラマより絶対おもしろそう。こんな芸(というとおかしいかもだけど)あるなら、学校の歴史の事業はこれにすればいいのにね。こっちのほうがよっぽど頭に入るというか、人物が像を結びそう。数字や文章では何もわからないもんな。一回聞いてみたいなあ。毎日通っちゃったりするかなあw
太閤さんだけじゃなくて、いろんな人物のものを聞いてみたい。それこそ平家物語とかああいうの語りきかせてもらいたいなあ。。。そっか、震災とかの記憶を語りつぐ語り部も、やはり語るから伝わることがあるのか。文章もいいけど、人が語ったり、音がでたり、同じ時間を共有して目の前で繰り広げられるものというものは、芸がよければより印象的に伝わるものなのだろうな。ということを本の感想に書くというのは如何なものかってのもあるけど^^;
おおや・ひろこさんの解説も素敵。
面白かった。次巻も楽しみ!
ps
桂歌丸師匠が亡くなった。粋な人がまた一人。寂しいな。ご冥福を。
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